マスクが手放せず、周囲の空気を読みながら、クラスに溶け込もうとしている“優等生”の茜。絵を描くことを愛する青磁は自由奔放だが、クラスの中で一目置かれている。そんな2人が少しずつ距離を縮めていくうちに過去が重なり合い、誰にも言えなかった想いがあふれ出す。「JO1」白岩瑠姫と久間田琳加W主演の『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は汐見夏衛の同名恋愛小説の実写映画化です。メガホンを取った酒井麻衣監督にインタビューを敢行。作品に対する思いやキャストについて語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

本番で一瞬のきらめきがしっかり出せた白岩瑠姫

──深川青磁を演じた白岩瑠姫さんは本作が映画初出演・初主演です。青磁を演じてもらうにあたって、どのように演出されましたか。

まず、直接お会いして、原作を読んでどう思ったかを聞いたところ、白岩さんは青磁にとても共感していました。その気持ちをベースにして、脚本はどう読むのかを一緒にやっていったのです。

人はいろいろな面を持っているので、言葉(台詞)に出している通りの感情があるわけではありません。例えば、冒頭で青磁は茜に向かって「大嫌い」と言いますが、心の奥底では何を思っているのか。そういったことをシーンごとに確認して、お芝居に繋げていくよう伝えました。

白岩さんは脚本を一生懸命に読み込み、本番では一瞬のきらめきをしっかり出してくださったと思います。

画像1: 本番で一瞬のきらめきがしっかり出せた白岩瑠姫

──丹羽茜を演じた久間田琳加さんはいかがでしょうか。

初めてお会いしたとき、とても真面目で素直な子だなと思いました。ちょっと不安そうな表情をされていましたが、それは意気込んでいるからこそのこと。むしろ、そこは冒頭の茜にとても似ていると思って、「久間田さんが感じている不安は茜と似ていると思います。それを大切にして茜に寄り添ってください」とお伝えしました。

画像2: 本番で一瞬のきらめきがしっかり出せた白岩瑠姫

──現場での白岩さんと久間田さんはいかがでしたか。

2人とも真摯に取り組んでくださいました。

白岩さんは大事なところで絵を描くシーンがあったので、絵画監修に入っていただいた朝霧レオさんから準備期間中に何度か絵画をご指導いただきました。それだけでなく、一式持ち帰って、自宅でも練習してくれていたようです。その成果が本番に出て、青磁が絵を描くシーンは躍動感があり、すごく様になっていました。

茜はノートをパッと見ると、いつの間にか可愛らしいイラストがいくつも描いてあり、久間田さんの素直で天真爛漫な様子が感じられました。

家族との距離感をロケーションでも表現

──冒頭に登場する茜の部屋は女の子の理想がすべて叶えられたかのような素敵なデザインでした。また、自分の部屋から出て、家族で食事をするところまでの動線が思っていた以上に長かったです。

ロケハンをしているときに大事にしていることが2つあります。1つはキャラクターの今までの歴史が映し出される場所であること。もう1つは“こういう風景を見たかった”というお客さんの心の扉を叩くような、素敵な場所であることです。

茜は母親が再婚し、新しい父親が喫茶店をしている家に引っ越してきて、それから妹が生まれたという設定です。そうなったときに、思春期の茜に両親は個室を用意してあげたいと思うはず。しかし、いきなり新しい父親の家に来たので、都合のいい部屋はなかった。そこで屋根裏の倉庫みたいなところを茜の部屋にしたのです。

さらに、1人の空間から家族のいるところまでに長いストロークを作り、茜がまだ家族に馴染みきれておらず、茜自身が壁を作ってしまったことを見た目でわかるような仕掛けにしました。

──学校の屋上は十分な広さがあるだけでなく、行くまでのルートに冒険心を感じました。

“柵のない屋上で、梯子で上がっていく”というリクエストに、制作部さんが見つけてきてくれました。専門学校でして、一目惚れしました。

屋上は青磁の秘密基地。そこに行くまでにはいろんなところを通り、ようやく辿り着ける。他の人は簡単に行けない。そんな屋上に青磁は茜を連れて行くようにしたかったので、体育館倉庫裏の窓から梯子を上るという動線にしました。

──これからご覧になる方に向けてひとことお願いします。

言いたいことが言えない。それはけっしてダメなことではないと思います。言いたいことが言えずに、つらい思いをしている人がいたらそっと寄り添いつつ、背中を優しく摩るような映画になったらと思って作りました。

純度が高く、心が洗われるような物語です。見てよかったなと素直に思っていただけるのではないかと思います。日々の生活の中で鬱屈とした思いを感じたときには、ぜひ映画館に足を運んでいただき、この作品をご覧いただけますとうれしいです。

<PROFILE>
監督・脚本 酒井麻衣

1991年生まれ。2017年『はらはらなのか。』で商業映画デビュー。「映像作家100人2020」に選出される。代表作に、映画『劇場版 美しい彼~eternal~』(23)、ドラマ「恋のツキ」(18/TX)、「ぴぷる-AIと結婚生活始めました-」(20/WOWOW)、「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(20/MBS)、「明日、私は誰かのカノジョ」(22/MBS)、「美しい彼」(21・23/MBS)、MVなにわ男子『初心 LOVE(うぶらぶ)』、優里『レオ』、Nissy『I Need You』など、多岐にわたって活躍する。

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』絶賛上映中

画像: 『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』予告60秒【9/1(金)公開】 youtu.be

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』予告60秒【9/1(金)公開】

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<STORY>
マスクが手放せず、周囲の空気ばかり読んでしまう「優等生」の茜。
自由奔放で絵を描くことを愛する、銀髪のクラスメイト・青磁。
何もかもが自分とは正反対の青磁のことが苦手な茜だったが、彼が描く絵と、まっすぐな性格に惹かれ、茜の世界はカラフルに色づきはじめる。
次第に距離を縮めていくふたりの過去はやがて重なりあい、初めて誰にも言えなかった想いがあふれ出す――。

<STAFF&CAST>
原作:汐見夏衛「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)
監督:酒井麻衣
脚本:イ・ナウォン、酒井麻衣
出演:白岩瑠姫、久間田琳加、箭内夢菜、吉田ウーロン太、今井隆文、上杉柊平、鶴田真由
音楽:横山克 濱田菜月 主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment)
製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会 制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
© 2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
公式サイト:https://yorukimi.asmik-ace.co.jp/

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