──言葉、セリフがすごく印象的な作品でもあります。
人の心に訴えかける部分がすごくある作品だと思っています。整くんは淡々とではあるけれどすごくよく喋るし、与えられる情報も多いけれど、ちゃんと刺さるんですよね。言葉のチョイスは本当に素敵で、ユーモアや気づきがあるのも作品の魅力だと感じています。
原作の言葉をかなり忠実に実写化している作品で、演じる立場でも原作の良さを実写にどう落とし込めば、より魅力が伝わるのかは常に考えていました。
推理の部分と訴えかける部分が偏らずに、要所要所に原作の良さを散りばめながら推理的な部分以外もうまく回収していく。そんなところが作品の魅力であり面白さを感じる部分だと改めて思いました。
──整くんのおしゃべりは独特の魅力がありますよね。
すごく喋っているけれどどこかクールな感じもして、散りばめられた言葉は聞きたくなるものが多いから、耳にも頭にも残る。情報が多い中できちんと残るように伝えているところに、推理的なロジックだけじゃない面白さを感じます。
──萩原さんの広島弁もとても印象に残りました。
方言指導の方についていただき、ひたすら繰り返して練習しました。合っているのかどうか自分では判断できないので、方言には実は苦手意識があったんです。
言えているような気もするし、言えていないような気もする…という繰り返しでしたが、失敗を恐れずにやるしかないという思いで頑張りました(笑)。
──これまでも共演経験のある菅田さんは萩原さんの憧れの存在と、機会があるごとに伺ってきましたが、この現場で新たに学んだことはありましたか?
『帝一の國』(2017)、『あゝ、荒野』(2017)と本作とでは、驚くほど現場での雰囲気に違いがあって(笑)。今回の現場にいる菅田さんが、これまで見た中で一番フラットな気がしました。
毎回印象が違う中で、今回の共演で得たのは座長としてのあり方です。ちょうどこの現場の前後で僕自身が主演作品に参加していたこともあり、座長としての存在の強さのようなものを見せてもらった気がします。
人が自然に寄ってくるというのは、僕の中では座長としての理想の形。気配りもできて、みんなが寄っていき、ついていきたいと思わせるのは座長として素晴らしいことだと思います。
僕がちょっと迷いのあったシーンでの芝居も絶対に見逃さない。見透かされた感がありハッとしましたが、もっと(芝居で)戦わなきゃという気持ちにもなりました。
──菅田さん演じる整くんは「僕は常々思うんですが」が口癖で、気になる事があると相手構わず思ったことを喋り出します。萩原さんにはそういった口癖はありますか?
たまに指摘されることはあるけれど、パッと思い浮かばないくらいだから、大した口癖じゃないのかもしれません。ただ、喋る時には自分が思っていることを100パーセント伝えたいという気持ちで話しています。
思っていることを言語化するのは、セリフでも難しいことだけれど、自分のこととなるとさらに難しくなる気がしていて。自分の内側を全部言うのは本当に難しいと日々痛感しています。
こういう仕事をしていると、伝わり方はすごく意識せざるを得ないし、きちんと伝えなきゃという思いが染み付いている気もします。インタビューはもちろん、日常会話でも過剰に伝わることが好きじゃなくて。
自分の思っている以上に伝わってしまうこと、何か過剰に意味を持ってしまわないように、感情的にならないように心がけています。
──意識してコントロールしている感じでしょうか?
してます! 人間だから、イラッとくることもあるし、トーンダウンしているときもあるけれど、それを出してしまったら、自分の思い以上のことが伝わってしまいがち。
後から感情的になってよかったと思うことなんてないから、意識してコントロールするようにしています。