萩原利久
1999年2月28日生まれ。埼玉県出身。2008年芸能界デビューし、以降テレビドラマから映画、CM、バラエティまで幅広く活躍。
2023年は映画『劇場版 美しい彼〜eternal〜』、ドラマ「月読くんの禁断お夜食」に主演。さらにドラマ「真夏のシンデレラ」や映画『おとななじみ』、『キングダム 運命の炎』など話題作への出演作が続いている。
“人の心に訴えかける言葉のチョイスは本当に素敵で、この作品の魅力だと感じています。”
──原作も読んでいてドラマも楽しんでいたとのこと。出演が決まった時はどのような気持ちになりましたか?
すごく気合が入りました。出演が決まった段階から、なんとなくですがこの作品を1つの着地点のように捉えて、クランクインを迎えたような気がします。
広島弁を話すキャラクターなので、いつも以上に準備することがあるとは思いましたが、クランクインまでの日を、カウントダウンしながら過ごすくらい楽しみにしていました。
──原作でも人気エピソードの通称“広島編”。原作を読んでいた萩原さんは、どんな印象を持っていましたか?
演じるとなると1回読んだだけでは自分の中に落とし込みきれないと思いました。さまざまなことを理解するために、感情がここまで行ったり来たりを繰り返す作品は、思えば初めてかもしれません。
これまでロジックが大事なミステリー作品をやったことがなかったので、普段の演じ方とはちょっと違うというか。もちろん、演じるという意味では大きく変わらないけれど、“演じることプラス理解”が必要になると思いました。
例えば、料理人を演じるときには、演じることにプラスして料理もする、バイオリニスト役なら演じることにプラスしてバイオリンも弾く。
僕にとってミステリー作品への出演は、演技にプラスしていろいろな理解が必要だったから、いつもよりやることが多いと感じました。
──その“理解”の内容を具体的に教えていただけますか?
現場に入ったらより“理解”の必要性を感じました。例えば、自分のふとした目線の芝居が意図しない伏線を張ってしまうのは、ミステリー作品ではあってはならないこと。
伝えるべきものと、見せたくないもの、見せたいもののために、自分の理解に加え、誰が何をどこまで理解しているかを共有する必要があると感じました。
役者がお互いに共有していないと見え方の印象が全然変わってしまうと学びました。それはミステリーの難しさでもあるし、面白いと感じた部分でもあります。
──イメージの共有のために現場は綿密に話し合いをしたのでしょうか。
最初は整くんの視点で物語を追っていく人が多いだろうけれど、別のキャラクターの視点に立って、この人はここまで知っていたからこういう言動だったのかと分かった時の面白さって、ミステリーの魅力でもあると思うんです。
原作を読んでいる方や映画を2回目以降に観る方だと、そう言ったところに面白さを見出すこともあると思うんです。そう考えると見せ方ってすごく大事だし、そのための共有はとても重要です。
今回の現場は役者同士が意識を共有し、話し合う時間がすごく多くて、充実していました。間違ったところでフラグを出したり、意図しないものが伝わるのは避けたい。ミスリードする楽しさもあるけれど、そこも含めてきちんと導くためにもとことん話し合いました。