『バルカン超特急』(1938)
突然姿を消した乗客は最初から存在しなかった?
サスペンスの神様アルフレッド・ヒッチコック監督の英国時代の傑作。ロンドン行きの列車に乗ったアイリスは、ある老婦人と知り合うが、アイリスがひと眠りして目を覚ますと婦人の姿が消えていた。
不思議なことに他の乗客たちはそんな人は最初からいなかったと証言する。不安を覚えたアイリスは婦人の行方を探し始めるが……。
ジョディ・フォスター主演『フライトプラン』(2005)などこのプロットを応用した作品も後に多く作られている。
『情婦』(1957)
絶対不利の殺人容疑者は無罪か、有罪か?
金持ちの未亡人が殺される事件が発生。容疑者となったレナードは、状況が極めて不利だったため、ベテラン弁護士のロバーツに弁護を依頼するが、検察側の証人として法廷に立ったレナード夫人のクリスチーネは思いがけない証言を口にする。
クライマックスのどんでん返しだけでなくミステリーとしても見事な傑作。原作はアガサ・クリスティーの小説で、映画化に当たって名匠ビリー・ワイルダーと名優たちが素晴らしい仕事ぶりを発揮。
『悪魔のような女』(1955・1996)
殺した後、隠したはずの遺体が消えてしまった!
寄宿学校の校長ミシェルの夫人クリスティナは、ミシェルのあまりの横暴ぶりに心労がたまり、なんとミシェルの愛人である教師ニコルと共謀して夫の殺害を図る。
だが殺したはずの夫の遺体は消え、クリスティナの周囲で異様な出来事が起こるように……。
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の名作スリラーで、その強烈などんでん返しは初公開当時、映画史上最もショッキングなものと評価されたほど。1996年にはリメイク版も作られた。
『名探偵登場』(1976)
名探偵たちが招待された屋敷内で殺人が発生!
ポアロやサム・スペード、ミス・マープル、チャーリー・チャンなど有名名探偵のパロディ的なキャラクターたちが、ある豪邸に集められ、ミステリー・マニアの大富豪が仕掛けた奇妙な謎を解く挑戦を受ける異色コメディ。
あの「そして誰もいなくなった」をプロットに拝借したストーリーは少々荒唐無稽気味だが、我こそがナンバーワンと自称する探偵たちが次々に明かしていく驚きの真相と共に、最後の最後に明らかになる犯人が意外!
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『真実の行方』(1996)
大司教殺害の容疑者は気弱そうな青年だった……
大司教が自宅で全身を刺されて殺害される事件が起き、その容疑者として現場から血まみれで逃走した19歳のアーロンという青年が逮捕されるというスキャンダラスな事件の弁護を買って出たのは、売名家ともいわれるマーティン弁護士。
アーロンは純粋なタイプの青年でマーティンはそれを弁護作戦に利用しようとするが、次々と不利な証拠が提出される。果たしてその真相は? ラストにぞっとさせられるという感想も相次いだ法廷もの。