その誕生から現在まで長きに渡ってエンタテインメント映画の頂点に君臨する「007」シリーズ。第1作『ドクター・ノオ』の日本公開から60年となるこのアニバーサリー・イヤーに、これまで製作された全25作品のうち、4Kレストアを施した10作品が日本のスクリーンに復活することが決定。歴代6人の男優が演じてきた“世界一有名なスパイ”ジェームズ・ボンドを、それぞれの魅力で一挙に味わうことのできる貴重な機会だ。そこで6人のボンドたちそれぞれの魅力を再確認してみよう。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

「BOND 60 007 4Kレストア」第1弾の5作品は2023年9月22日(金)より、第2弾の5作は2023年11月17日(金)より全国順次公開。
配給はREGENTS、提供は「007 4K」配給委員会。

※『スカイフォール』『ノー・タイム・トゥ・ダイ』はレストア版ではありません。※上映環境により2K上映となる場合があります。

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2代目ジェームズ・ボンド
ジョージ・レーゼンビー

画像: 2代目ジェームズ・ボンド ジョージ・レーゼンビー

1939年、オーストラリア生まれ。

圧倒的人気のショーン・コネリーに続いて2代目に起用されたのは、オーストラリア出身(歴代で唯一のヨーロッパ以外の俳優)のレーゼンビー。公開当時30歳と若く、現在でも史上最も若いジェームズ・ボンドだ。

ロンドンに渡ってCM出演で人気を呼んでいたが演技は初体験だった。オーディションでは関係者に積極的にアピールし、製作者の一人アルバート・R・ブロッコリはあまり気に入らなかったようだが、もう一人のハリー・サルツマンと監督のピーター・ハントのプッシュで合格。

その理由の一つは彼がスキーの腕前が抜群だったこと。この特技は映画の中で生きた。またコネリーと違う「真面目な恋するボンド」とうキャラ設定も彼に味方したようだが、残念ながら1作きりで降板となった。

第6作『女王陛下の007』(1969)

画像1: 第6作『女王陛下の007』(1969)

9月22日より上映

ボンド役がコネリーからレーゼンビーに代わり、第2班監督だったピーター・ハントが演出を担当した第6弾で、これまでより原作に近づけようと、従来の007とはテイストが異なる点で貴重とされるせいか、公開時より現在の方が人気が高い作品。

『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも使用された主題歌「愛はすべてを越えて」We Have All the Time in the World(ルイ・アームストロング歌唱)は必聴。

宿敵ブロフェルドを追っていたボンドはスイス・アルプスの秘密基地に潜入すると、そこでは細菌兵器を使った恐るべきスペクターの世界破滅計画が進行していることをつかむ。一方でボンドは欧州の組織ユニオン・コルスの首領の娘トレーシーと真剣に愛し合うようになっていた……。

画像2: 第6作『女王陛下の007』(1969)

『女王陛下の007』
監督:ピーター・ハント
出演:ジョージ・レーゼンビー 、テリー・サヴァラス
時間:2時間22分

3代目ジェームズ・ボンド
ロジャー・ムーア

画像: 3代目ジェームズ・ボンド ロジャー・ムーア

1927年、英ロンドン生れ。2017年死去。

レーゼンビーが1作限りでボンド役を降板したため、続く1作のみ(『ダイヤモンドは永遠に』)コネリーがボンドに復帰したが、満を持して3代目に選ばれたのは、実はコネリーより年上のムーアだった。

しかしコネリーとは違うスタイルのボンド像を追求し、スマートでユーモアもある、言い方を変えるとやや漫画チックな007を生み出し、世代によってはムーアこそ我がボンド、という声も生み出すほど愛された。

製作側にも人柄などで好評だったムーアは計7作品に主演する。コネリーを意識していたムーアは、クイーンズ・イングリッシュで台詞を話し、タバコではなく葉巻を吸い、アストン・マーティンには乗らないなど様々な相違点がファンから指摘されている。

第10作『007/私を愛したスパイ』(1977)

画像1: 第10作『007/私を愛したスパイ』(1977)

9月22日より上映

ムーア主演の「007」では第3作だが、シリーズとしては記念すべき10作目。製作者からサルツマンが離れ、アルバート・ブロッコリの単独になり、マンネリ気味だったシリーズのスタッフを一新、海底要塞のセットなどに製作費もアップしてこれまで以上のアクション大作となり、最高ヒットを記録した。

イギリスとソ連の原子力潜水艦が行方不明になる事件が発生し、ボンドに調査が命じられる。KGBからは女スパイ、アニヤが派遣され、調査のためカイロに向かった2人は殺し屋ジョーズに襲われ、やむなく共闘することに。

やがて一連の事件に海運王ストロンバーグの恐るべき野望が隠されていることがわかり、ボンドたちは彼の海底要塞に乗り込んでいく……。

画像2: 第10作『007/私を愛したスパイ』(1977)

『007/私を愛したスパイ』
監督:ルイス・ギルバート
出演:ロジャー・ムーア 、バーバラ・バック
時間:2時間5分

4代目ジェームズ・ボンド
ティモシー・ダルトン

画像: 4代目ジェームズ・ボンド ティモシー・ダルトン

1946年、ウェールズ生れ。

7度もボンドを演じたムーアの後だっただけに、007に対する世間のイメージはかなり固定されていたが、ダルトン版のボンドはキャッチフレーズが「これまでで最も危険なボンド」で、荒唐無稽な方向に傾いていたシリーズをシリアスでハードなアクションに引き戻す作戦がクールなダルトンの個性にはぴったり当てはまった。

実はダルトンには4代目に決まる前にも何度かボンド役への打診があったものの実現していなかった。それほどボンド役に望まれていた彼は、英演劇界でも一目置かれる俳優で、真面目な素顔が有名。ボンドの役作りのためにも原作を読み返して研究していたらしい。

契約の関係で残念ながら2作のみで降板となってしまったのが惜しまれる。

第15作『007/リビング・デイライツ』(1987)

画像1: 第15作『007/リビング・デイライツ』(1987)

11月17日より上映

4代目ボンド、ダルトンのデビュー作は、当初ボンドの過去が描かれるというプランもあったが、結局短編の一部を使った形で脚本が進行。監督は『ユア・アイズ・オンリー』から4作連続でジョン・グレンが担当。また本作でボンドカーがアストン・マーティンに復帰。

任務を受けKGBのコスコフ将軍の亡命を手助けしたボンドだったが、イギリスに渡った将軍がソ連の西側のスパイ皆殺し計画の存在を告げた後、何者かによって拉致されてしまう。

タンジールでKGB議長に会ったボンドは、コスコフが武器商人ウィテカーと結託して、事件の裏で糸を引いていたことに気づく。危機に陥ったボンドだが、アフガニスタンの反共レジスタンスの協力を得て反撃を開始する。

画像2: 第15作『007/リビング・デイライツ』(1987)

『007/リビング・デイライツ』
監督:ジョン・グレン
出演:ティモシー・ダルトン 、マリアム・ダボ
時間:2時間11分

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