映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』は2016年に日本テレビ系列で放送された連続ドラマ「ゆとりですがなにか」の映画化である。ゆとり世代の葛藤を笑いに包んでリアルに描き、世代を超えて共感を呼んだ。松坂桃李が脚本を書いた宮藤官九郎に「ゆとりで『ハングオーバー!』みたいなの、やれませんか?」と提案し、映画の企画がスタートしたという。連続ドラマから引き続き演出を担当した水田伸生監督に脚本開発やキャストについて話を聞いた。(取材・文/ほりきみき)

フィクションの中の類まれなるノンフィクション

──監督から宮藤さんに何か提案をされましたか。

Z世代を意識しましょうといったくらいです。

正和たちゆとり世代は世の中からこんな目で見られているというのが連ドラのスタートにあり、人にはそれぞれ個性があり、世代で一括りにしてはいけないということを描いていました。時代は変化し、今となっては正和たちだけでなく、山岸さえも理解できないジェネレーションがある。それを示すためにもZ世代は必要でした。

ジェネレーションギャップはこうやってずっと繰り返されてきたのです。かつて、おじさんたちが「今の若い奴らは…」と言っていたのと全然変わりません。それを指摘するのではなく、その時代、その時代のスピードやテンポ、変化についていこうともがき苦しんだり、むしろそれを楽しんでいたりすることをできるだけ映画に織り込んで、みなさんに面白がっていただくことを心掛けました。我々の仕事はエンターテインメント作品を作ることですから。

画像1: フィクションの中の類まれなるノンフィクション

──今回の撮影で苦労されたことはありましたか。

準備をしっかりしていれば苦労することはありません。唯一、撮影当日までどきどきしたのは、正和と山岸たちのリモート会議のシーンです。別々に撮って、あとからはめ込むのなら苦労しませんが、お芝居は同時にやるのがベスト。別の部屋でリアルにリモート会議をやることにしました。ただ、映画ですから、パソコンの内蔵カメラの映像ではなく、それぞれに撮影用のカメラを置いて撮りたい。それを分配して画面に出すことにしたところ、途轍もない容量が必要になりました。ロケでお借りする場所に何度も足を運び、Wi-Fiを持ち込んで本番と同じようなシステムを組んでテストしましたが、成り立たせるのが想像以上に大変で、緊張感がありました。

画像2: フィクションの中の類まれなるノンフィクション

──最後に岡田さん、松坂さん、柳楽さんの俳優としての魅力をお聞かせください。

将生くんは日本でいちばん共演者の力を引き出す俳優です。自分が主演なのに共演者の力を120%引き出すことができる。それくらい共演者への気配りやリスペクトが強い。

桃李くんは物事を俯瞰で見ることができる司令塔のような人。大勢でやると芝居のアンサンブルが崩れそうになるときもあるのですが、桃李くんがいると必ずすっと立て直してくれる。すごい能力です。

優弥くんは人間という矛盾を孕んだ生き物について、深く考えています。早く結婚して家庭を持ったこともあるかもしれませんが、将生くんや桃李くんが優弥くんに人生相談をしている姿を見ると本当に微笑ましいというか、「これが共演者を超えた人間関係なんだよなぁ」と心が熱くなります。

画像3: フィクションの中の類まれなるノンフィクション

3人に共通して言えることは、現場に入ってくるまでの準備の質が高い。その上で、共演者と何か生み出そうとする。その心根が素晴らしいですね。しかも、3人は劇中の友情を超えて、本当に友だちになってくれた。映画という大きなフィクションの中にノンフィクションとして彼らのリアルな友情が入っているので、作品に深みが生まれました。感覚ピエロが映画のために主題歌を書き下ろしてくれましたが、タイトルの「ノンフィクションの僕らよ」にはそういう意味を僕は込めています。やっぱりフィクションの中の類まれなるノンフィクションが彼らそのものですから。歌っている感覚ピエロはまた違う気持ちだろうけれどね(笑)。

<PROFILE>
水田伸生

1958年8月20日生まれ。広島県出身。2006年に『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』で初の映画監督デビュー。以降も『舞妓Haaaan!!!』(2007)、『謝罪の王様』(2013)、『あやしい彼女』(2016)、『アイ・アム まきもと』(2022)、テレビドラマでは「Mother」(2010)、「Woman」(2013)、「anone」(2018)、「初恋の悪魔」(2022)といった数々の話題作を生み出してきた。

『ゆとりですがなにか インターナショナル』2023年10月13日(金)公開

画像: 『ゆとりですがなにか インターナショナル』2023年10月13日(金)公開

【STORY】
<野心がない><競争心がない><協調性がない>【ゆとり世代】
かつて勝手にそう名付けられた男たちも30代半ばを迎え、それぞれの人生の岐路に立たされていた…。
夫婦仲はイマイチ、家業の酒屋も契約打ち切り寸前の正和(岡田将生)
いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路(松坂桃李)
事業に失敗し、中国から帰ってきたフリーター・まりぶ(柳楽優弥)
≪Z世代≫≪働き方改革≫≪テレワーク≫≪多様性≫≪グローバル化≫…
彼らの前に、想像を超える新時代の波が押し寄せる!
時代は変わった。俺たちは…どうだ!?

【STAFF&CAST】
脚本:宮藤官九郎
監督:水田伸生
出演:岡田将生 松坂桃李 柳楽優弥 安藤サクラ 仲野太賀 吉岡里帆 島崎遥香 / 木南晴夏 上白石萌歌 吉原光夫 / 中田喜子 吉田鋼太郎
主題歌:「ノンフィクションの僕らよ」/感覚ピエロ(JIJI.Inc)
© 2023「ゆとりですがなにか」製作委員会 
公式サイト:https://yutori-movie.jp/

画像: 『ゆとりですがなにか インターナショナル』予告【10月13日(金)公開】 www.youtube.com

『ゆとりですがなにか インターナショナル』予告【10月13日(金)公開】

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