世界中で大ヒットを記録している「死霊館」シリーズを手掛けるジェームズ・ワン。ホラー映画界でその名を知られる一方で、幅広いジャンルで成功を収めている、そんな彼の魅力に迫ってみましょう。(文・平沢薫/デジタル編集・スクリーン編集部)
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若手監督の支援のためアトミック・モンスターを設立

また、ワン監督は、映画には監督業とは別の貢献もしている。それは、若手監督の支援。もともと彼が自身のプロダクション、アトミック・モンスターを設立したのは、それが目的。

その志が同じことから、ブラムハウス・プロダクションズのジェイソン・ブラムと意気投合し、『M3GAN/ミーガン』(2022)など共同製作する作品が増えている。

ワン監督が抜擢した若手監督は、まず『ライト/オフ』(2016)のデヴィッド・F・サンバーグ。彼を『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)の監督に起用し、それが『シャザム!』(2019)への抜擢に結びついた。

また『ラ・ヨローナ~泣く女~』(2019)のマイケル・チャベス監督も『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(2021)に起用。ワン監督の映画愛は、作品だけではなく、人間たちにも向かうのだ。

もう一つ、ワン監督ならではのユニークな現象がある。それは、彼の長年のコラボレーターたちが、なぜか監督業に進出すること。

大学時代からずっと組んできた脚本家・俳優のリー・ワネルは『インシディアス 序章』(2015)で監督業に進出し、SFサスペンス『アップグレード』(2018)やユニバーサル・ホラーを新解釈で描いた『透明人間』(2020)で人気監督に。

また、「インシディアス」シリーズや「死霊館」シリーズ、『アクアマン』に出演してきた俳優パトリック・ウィルソンは、『インシディアス 赤い扉』(2023)で初監督に挑戦し、全米大ヒットを記録した。

画像: 『アクアマン』でタッグを組んだジェイソン・モモアと Photo By Getty Images

『アクアマン』でタッグを組んだジェイソン・モモアと

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ワン監督はこの現象について、彼らはただの脚本家や俳優ではなく、これまでも一緒に映画を作ってきたから自然な成り行きだと語っているが、それだけだろうか。

ワン監督の映画愛が現場で彼らに伝染し、自分も映画を創りたいと思わせるのではないか。ジェームズ・ワン監督の魅力は、そんなところにもあるのかもしれない。

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