今後は映画に軸足を置き、人間を掘り下げていく
──作品が完成した今のお気持ちをお聞かせください。
私の感性が何によって作られているのかという問いを自ら立てて、そこに答えていく。私にとってはとても重要な作品となりました。
映画、特に日本映画とは何かをずっと考えてきました。この作品を撮ることで私にとっての映画とは何かに1歩近づけた気がします。
──今後は澤寛として映画や写真を撮ることに軸足を置いた活動をされていくのでしょうか。
映画とは人間の物語であると改めて感じました。衣装でできること、衣装で求められることはとても部分的です。私としては部分的ではなく、映画1本通して何ができるかということを考えていくことに軸足を置き、人間を掘り下げていく作業を行っていきたいと思っています。
──次のテーマは考えていらっしゃいますか。
自分としては「母とは何か」ということが頭にあります。現時点では、私たちのほとんどは、母親から生まれます。「母とは何か」、母親たちの物語を象徴的に描きたいと考えています。
──これから作品をご覧になる方に向けてひとことお願いします。
私はこの作品を海外の方にも見ていただきたいと思っています。吉沢亮さん、永瀬正敏さん、小栗旬さん、阿部進之介さんは日本やアジアでは知名度が高いと思いますが、彼らが有名な俳優だと思わずに見たときに、お芝居に対してどういった評価や印象を持つかということもこの映画においてとても重要だと考えています。
この作品にご覧いただくことで、また違ったコミュニケーションができるかと思いますので、多くの方にとって、どこかでこの作品と出会うタイミングがあると幸いです。
＜PROFILE＞
監督・脚本・編集・衣裳デザイン：澤寛
1984 年生まれ。澤田石和寛(サワタイシ カズヒロ)として、映画『十三人の刺客』(2010 年)、『パンク侍 斬られて候』(2018)にて Asian Film Award Best Costume Designer ノミネート。その活躍は映画だけにはとどまらず、演劇、広告、ファッション等、多岐にわたり、各分野のトップランナーたちに支持され続けてきた。
衣裳デザイナー、キャラクターデザイナーとして関わった主な作品は、『るろうに剣心』シリーズ、『ミュージアム』、『蜜のあわれ』、『クローズ ZEROⅠ/Ⅱ』、『Caught in the Web』、KDDI TVCM「au 三太郎」シリーズ、東京芸術祭 2018・ふじのくにせかい演劇祭 2021 ジョルジョ=バルベリオ=コルセッティ演出舞台『野外劇 三文オペラ(総合演出宮城聰)』など。
2018 年より作家名を澤寛(サワ カン)とし、写真作品、映像作品の発表を始める。悲劇と共に生き、顔と身体を変えながら現代を生き抜く女性を撮りおろした写真作品「RAPTURE」をKYOTOGRAPHIE KG+などで発表し活動開始。スナップ写真で作成したレイヤーに自身の生い立ちを描いたエッセイを重ねるインスタレーション作品「Heavens of Light, Planet of Solitude ある星、地上の孤独」、写真と言葉のレイヤーによって写真に言葉の影を落とした「亡き者たちの記憶と踊る」などを発表。現在は映画制作の傍ら、東京藝術大学美術研究科修士課程に籍を置き、映画と写真を主とした研究制作を行う。
『かぞく』
テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷で公開中
かぞく
youtu.be＜STORY＞
父が失踪したマコトは、母と二人、住み慣れた街を離れて新しい街へと向かう。内縁の妻と密やかに生活を送るケンジ、その妻ハルカはある秘密を抱えていた。妻を亡くし、父 1 人で 2 人の子供を育てるタケオは、子供たちと海へドライブに出かけた。久しぶりに実家へ帰ってきたユウイチは、自分の名を呼ぶ女性に森の中へと誘われていく。
＜STAFF&CAST＞
原作:土田世紀「かぞく」(日本文芸社刊)
監督・脚本・編集・衣裳デザイン: 澤寛
出演：吉沢亮、永瀬正敏、小栗旬、阿部進之介、鶴田真由、渡辺真起子、福島リラ、秋吉久美子、込江大牙、粟野咲莉、田代輝、根岸季衣、野口雅弘、瀧内公美、片岡礼子、山口馬木也
配給:アニプレックス
© 土田世紀／日本文芸社，ANIPLEX, Inc.
公式サイト：https://www.aniplex.co.jp/kazoku/
Amazon Prime Videoにて11月24日（金）より全世界200以上の国と地域にて同時配信がスタート
※作品の視聴には会員登録が必要です。無料体験期間終了後、有料期間に自動移行（Amazon プライムについて詳しくはamazon.co.jp/prime へ）。
