リアリティとシドニー・スウィーニーは似ている部分がある
──主人公をシドニー・スウィーニーが演じています。彼女をキャスティングした決め手や役への取り組み方、現場での様子についてお聞かせください。
シドニーは最高でした。アメリカではテレビで大活躍していますが、今回の役どころはこれまでシドニーが演じてきたものとは大分違います。オーディションの前にズームで話をしましたが、とにかく頭が切れるし、リアリティについてもシドニーならではの解釈を持っていて、それが面白い。シドニーとリアリティは全く違う人物ですが、監督として見ると、自分で道を切り開いてきて、何かをやり遂げたところが2人は似ていると感じたことも決め手でした。シドニーは女優としてハリウッドの中でもユニークな道を歩んできたのです。
現場でのシドニーはいつでも準備万端。しっかりと自信を持ってやってくれて、トップアスリートのようなパフォーマーでした。まだ若いのにテレビでの撮影経験が豊富でしたから、私自身が彼女から学ぶことが多かったですし、演出に幅を与えてくれました。リアリティの感情の変化についても私が話すことにしっかり耳を傾けて、常に同じ目線で作品を見ていた気がします。シドニーが作品を特別なものにしてくれました。
──リアリティのことを映画化したことで、監督があらためて気づいたことを教えてください。
劇のために3年ほど準備をしてから、リアリティ本人とzoomで話をしましたが、尋問音声記録を読んで直感的に自分が感じていた人物のそのものでした。
リアリティが逮捕された理由はスパイ法でした。これはアメリカの古い法律で、その是非についての気持ちは舞台や映画を作る前と後で変わりません。むしろ、映画化したことでさらに理解を深めていきました。民主主義を標榜しているアメリカという国を信じるのであれば、「これは不正なのではないか」と思った人が立ち上がって告発するということは大事だと思います。しかし告発することのリスクについて、改めて感じることはありました。
<PROFILE>
ティナ・サッター(監督・脚本)
演劇・映画の脚本家・演出家。2021年秋、自身のブロードウェイ・デビュー作として初演されたものを映画化した本作『リアリティ』が長編映画のデビューとなる。これまでに11本のオリジナル戯曲の脚本・演出を手がけ、数多くの短編作品や映像作品を米国内外で上演・上映してきた。
最近では、舞台作品の演出家として ベルリンのシャウビューネ劇場やオフ・ブロードウェイのプレイライツ・ホライズン劇場で仕事をしている。2020年、グッゲンハイム・フェローシップを受賞。
『リアリティ』
11月18日(土)シアター・イメージフォーラム、シネ・リーブル池袋ほかロードショー
<STORY>
2017年アメリカ。リアリティ・ウィナーが買い物から帰宅すると、見知らぬ2人の男性に声をかけられる。笑顔を向け自らFBI捜査官だと名乗る彼らは、ある事件に関する捜査を行っていると告げる。「引っ越してどのくらい?」「ペットはいる?」…気さくで穏やかな口調のまま何気ない質問を繰り返す彼らだったが、会話は徐々にある衝撃の真相へと切り込んでいく…。
<STAFF&CAST>
監督:ティナ・サッター
脚本:ティナ・サッター、ジェームズ・ポール・ダラス
出演:シドニー・スウィーニー、ジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイヴィス
配給:トランスフォーマー
2023年/アメリカ/英語/82分/ビスタ/カラー/5.1ch/G/日本語字幕:額賀深雪
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/reality/
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