監督リドリー・スコット&主演ホアキン・フェニックス。『グラディエーター』(2000)以来、二人が23年ぶりに顔を合わせた最新作が『ナポレオン』。歴史に名高き皇帝ナポレオンは英雄かそれとも悪魔か。今年最大級のスペクタクル超大作の魅力に迫ります。

本作で再現されるナポレオンの戦い

トゥーロンの戦い(1793年、フランス)

画像: トゥーロンの戦い(1793年、フランス)

フランス革命初期、港町・トゥーロンを舞台にした戦い。王党派を支援するイギリス、スペインなどの軍隊に占領されていた港の砦を取り戻し、砲兵将校だった当時24歳のナポレオンが初めて国際的に名を上げた。

深夜、ナポレオンは奇襲をかけると砦の大砲を強奪、港に停泊していたイギリス海軍の艦隊を次々撃沈した。

エジプト遠征(1798年、エジプト)

画像: エジプト遠征(1798年、エジプト)

29歳の少将ナポレオンは4万の兵を率いてエジプト・アレクサンドリア近郊に上陸。イギリスの植民地インドへの経由地であるエジプトを抑えることが狙いだった。

エジプトのマムルーク軍に対し仏軍は圧勝するも、イギリス・オーストリアによるフランスへの攻撃の再開に加え、ジョゼフィーヌの浮気が発覚し、ナポレオンは戦い半ばでフランスへ帰還。

アウステルリッツの戦い(1805年、オーストリア※現在のチェコ)

画像: アウステルリッツの戦い(1805年、オーストリア※現在のチェコ)

ナポレオンがロシア・オーストリア連合軍を破った戦い。戴冠式から1年後のことだった。

ナポレオンは地の利を活かし、敵を誘い込むように陣形を展開。雪で隠されていた場所は、実は氷の張った湖。そこへ大砲を打ち込んで兵も馬も凍てつく湖に引きずり込んだ。

結果はフランス軍の大勝。ナポレオンの戦績の中でも最も華々しいものとなった。

ボロジノの戦い(1812年、ロシア)

画像: ボロジノの戦い(1812年、ロシア)

モスクワ西方・ボロジノ近郊における、ナポレオン率いる大陸軍(フランス軍を中核としたヨーロッパ諸国連合軍)とロシア帝国陸軍の戦い。

ナポレオンは60万もの兵を率いて進軍。両軍ともに甚大な損害を出し、さらに厳しい寒波による寒さ・飢え、チフスや赤痢といった病が蔓延し、フランスへ帰還できたのはわずか4万人ほどだったと言われる。

ワーテルローの戦い(1815年、現在のベルギー)

画像: ワーテルローの戦い(1815年、現在のベルギー)

モスクワ遠征の責任を問われたナポレオンはエルバ島の統治を名目とした実質流刑となるが、ヨーロッパ情勢は安定せず、1年ほどでナポレオン待望の機運が高まり再び皇帝の座に。

イギリスとプロイセン連合軍は25万を超える兵力を集結させ、ナポレオン率いる12万の兵力のフランス軍と対峙する。これが結果としてナポレオン最後の戦いとなる。

製作秘話

画像: 製作秘話

ナポレオンの物語を映画化することはリドリー・スコット監督の長年の悲願だった。もともとナポレオンという人物に惹かれていたというのが大きな理由だが、そこには巨匠スタンリー・キューブリックの影響も。

キューブリックが『2001年宇宙の旅』(1968)の次回作として構想しながらも実現できなかった幻の映画の題材がナポレオンだったのだ。

本作のプロデューサーのケヴィン・ウォルシュは

「キューブリックはリドリーにとってのヒーローの一人です。キューブリックはナポレオンの映画を作ろうとしましたが、それは実現しませんでした。数年前、リドリーに『まだ実現できていない映画は?』と聞いた時、彼は『ナポレオン』だと答えたのです」

と今回の企画の経緯を明かしている。

『ナポレオン』
2023年12月1日(金)公開
アメリカ=イギリス/2023/2時間38分/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:リドリー・スコット
出演:ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー、タハール・ラヒム、ルパート・エヴェレット

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