お互いへのリスペクト溢れる対談に!
今回の対談は新海監督のXのポストをきっかけにはじまった。2023年8月、新海誠監督が劇場で映画『マイ・エレメント』を鑑賞し、「作り手があらゆる手法でこちらの感情を動かそうとしてくれている、最高峰のビジュアルを届けようとしてくれている、そういう志に溢れている作品でした。映画から透けるそういう態度とその技に感動するのです。背筋が伸びました!」とXでポスト。
このコメントに対し、ピーター・ソーン監督が「なんと光栄な!新海監督の作品は素晴らしく、私や多くのスタッフにインスピレーションを与えてくれました」とポストしたことを機に、日米のトップ監督による交流が始まったのだ。
そして11月中旬、新海監督の渡米タイミングで、サンフランシスコのピクサー・アニメーション・スタジオを訪れることになり、二人の対談が実現した。新海監督はピクサー・スタジオのクリエイターたちとのQ&Aセッションを実施した後、ソーン監督と1時間に及ぶ対談を行った。
ソーン監督と新海監督は互いの家族に思わぬ共通点があったことがわかるとすぐに打ち解け、対談が軽快にスタート。観客とのコネクト、映画製作のプロセス、などのテーマについてお互いのスタジオの共通点に安堵したり、相違点に驚いたりしながら、お互いを“Makoto”、“ピーター”とファーストネームで呼び合いながら和気あいあいのムードで語り合った。
新海監督は、最初は周りの数人に見て欲しいと思って作った商業デビュー作『ほしのこえ』からキャリアが始まり、10万人超えの観客を集めた『言の葉の庭』までファンに励まされてきた30代。次の『君の名は。』では約2,000万人もの観客動員を記録し、『天気の子』『すずめの戸締まり』と大規模公開作が続き、何千万人の方々に映画を楽しんでもらうには何をやればいいかを考え続けた40代、と自身のこれまでを振り返り、ソーン監督も共同監督から製作途中で監督に替わった映画デビュー作『アーロと少年』と今回の『マイ・エレメント』での製作プロセスの変化を語った。
お互いに製作スタッフと何度もブレストしながら物語を作っていく部分は共通しているものの、ピクサーではたくさんのストーリーアーティストが居るのに対し、新海監督は原案から脚本まで自身1人で仕上げていることを聞いたソーン監督は感心し、逆に新海監督はストーリーアーティストの存在を羨ましがったり、ほぼ3年ごとに新作を発表している新海監督は、『マイ・エレメント』が製作期間7年というのを聞いて驚く一幕も。
他にも、ソーン監督が『マイ・エレメント』製作中に父親が、続いて母親が亡くなり、当初予定されていた物語からどんどんエモーショナルな面が強くなっていったことや、ピーター監督が大泣きしたという『すずめの戸締まり』のクライマックスシーンは新海監督が最初から決めていたもので、そのシーンから映画全体を作り上げていったこと、など次々と語り合い、話が尽きない対談となった。
対談の終わりには、お互いプロセスは違っても「良い作品を観客の皆さんに届けたい」という同じ想いで映画を作っていることを認め合い、良い関係を続けていくことを確認して、固い握手を交わした。
『マイ・エレメント』
ディズニープラスで見放題独占配信中
©2024 Disney/Pixar.
『すずめの戸締まり』
Blu-ray&DVD 好評発売中
発売元:STORY inc./コミックス・ウェーブ・フィルム
販売元:東宝