ジョニー・デップ インタビュー
フランス語のセリフは発音の正確さより自由に言葉が出てくるように心がけた
──フランス国王役をオファーされた時の感想は?
この役はフランス俳優でなく、本当に僕が演じていいのか? マイウェンへの質問はそれだけだった。彼女は僕の役になりきる努力を認め、言葉の障害も越えられることを断言してくれた。
それに彼女はこの企画にとても情熱的で、脚本も時代考証などを含め、現代の問題とのリンクもしっかり書けていたし、大がかりな歴史映画を撮影できるだけのパワーがある人だと確信できた。
──歴史上の人物であるルイ15世の役作りはどのように行いました?
かなり詳細な伝記を2冊読んで、そのうち1冊はこの企画に専門家として雇われた人が書いたものだった。歴史的なことよりルイ15世がどんな食事が好きだったかとか、日常のエピソードを調べた。
フランス語は元々少し話せるけれど、発音を正確にするためにコーチに特訓を受けるようなことはしなかった。それよりも出来るだけ自然な形で言葉が口から出てくように共演者の演技を集中して観察するようにした。おかげで即興で言葉を弄び、相手と会話を楽しむ自由を手に入れることができたね。
──言葉以上に『シザーハンズ』などのように目で演技するタイプの役ですね。
ルイ15世は視線だけで権力と恐怖を示し、口を開く必要がないような人物の一人だ。そんな役だから、僕のヒーローであるサイレント時代の俳優たち、チャーリー・チャップリンやバスター・キートン、独特なボディランゲージを持つマーロン・ブランドなどの演技に倣ったんだ。
──共演者で監督のマイウェンとのコラボはどうでした?
僕も監督をやった経験があるのだけど、僕が演者として彼女に提供できるのは、編集の際に可能な限り多くの選択肢を残すこと。最終的に使わないとしてもせめてテイクだけは撮ってほしいと僕の意見でリクエストしたこともあった。その時彼女は消極的だったかもしれないけど、少なくとも選択肢を残せたと思う。ともかく我々にとって重要なのは同じ目標を達成するための互いの信頼関係なんだ。
ジョニーが出演したフランス関連の必見3作
ジョニーがフランスを舞台にした映画に出るのは『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』以前にもこんな作品がありました。
『ナインスゲート』(1999)
悪魔が書いた本を基にしたと言われる希少本「ナインスゲート」を探すために雇われた“古書探偵”コルソを演じたジョニー。存在する3冊のうち2冊の偽物をあぶりだすため、コルソはパリなど欧州に飛ぶ。
名匠ロマン・ポランスキー作品で、ジョニーは撮影でパリ滞在中にヴァネッサ・パラディと運命の恋におちたという。
『ショコラ』(2000)
世界中を旅しているという一組の母娘がフランスの小さな村にやってきてチョコレート店を開く。母親のヴィアンヌが作る不思議なチョコは村人たちを幸せにしていくが敬虔な村長の反感を買ってしまう。
ジョニーはヴィアンヌが恋に落ちるジプシーの若者ルーを演じ、フランスの名女優ジュリエット・ビノシュと共演する。
『耳に残るは君の歌声』(2001)
ロシアの寒村生まれのユダヤ人少女フィゲレが、数奇な運命に操られるようにたどり着いたパリで、ナチスの脅威が迫る中、スージーと名前を変えコーラスガールとして働いていた時に出会うジプシーの青年チェーザーをエキセントリックな美しさで演じるジョニー。スージー役は3度目の共演となるクリスティーナ・リッチ。