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06 『アメリカン・フィクション』が作った記録とは?
『アメリカン・フィクション』で世間に受けるような小説をわざと書いてベストセラーを生み出す黒人作家に扮したジェフリー・ライトが主演男優賞に、その兄弟でゲイの医者を演じたスターリング・K・ブラウンが助演男優賞にノミネートされたが、同一作品で黒人俳優が主演男優と助演男優の2部門に選出されるのはこれが初めて。
07 助演女優賞候補のジョディ・フォスターがある記録を更新
『ナイアド〜その決意は海を越える〜』でフロリダ海峡を泳いで横断する偉業を成し遂げたスイマーのコーチ兼親友を好演し、助演女優賞候補となったジョディ・フォスターは、同じ部門で最後の候補になった年から最新候補になった年までの期間が最も長い記録を更新。
ジョディが最後に助演女優賞候補になったのは『タクシードライバー』(1976)の14歳の時で、今回2度目の助演候補になるまで47年が経過。昨年の『フェイブルマンズ』でジャド・ハーシュが、『普通の人々』(1980)から42年ぶりに助演賞候補になった記録を5年上回ったもの。ただしジョディはこの間に3度主演賞候補(うち2度受賞)になっている。
08 マイノリティ系俳優たちが次々と躍進
リリー・グラッドストーンが『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でネイティブ系女優として初の主演賞候補になっただけでなく、他にもマイノリティ系俳優が演技部門で初候補に。
Netflix作品『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』で主演男優賞候補となったコールマン・ドミンゴは、本作で黒人で同性愛者を公言する公民権運動家バイヤード・ラスティンを演じたが、LGBTQで黒人でラテン系の俳優が主演男優賞候補になるのは史上初。
また初候補ではないが、『バービー』のアメリカ・フェレーラが助演女優賞を受賞すれば、ラテン系女優としてリタ・モレノ、ルピタ・ニョンゴに続き3人目となる。
09 存命人物として史上最多のオスカー候補数記録を伸ばしたジョン・ウィリアムズ
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でオリジナル作曲賞候補となった御年92歳のジョン・ウィリアムズは、これでなんと驚異の54回目のノミネートとなり、昨年に続き史上最高齢のノミニー記録を更新。
回数としてはすべての部門を通じて故ウォルト・ディズニーの59個に次ぐ史上第2位。初候補となった『哀愁の花びら』(1968)以来、1960年代から2020年代まで7つのディケードすべてで候補になる大記録を持っている。
10 5つの違う部門で候補に挙がったウェス・アンダーソン
『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』で今回の短編実写映画賞にノミネートされているウェス・アンダーソン監督は、個人として5つの違う部門で候補になった。これは3人目の記録。
これまで作品賞と監督賞(『グランド・ブダペスト・ホテル』)、長編アニメーション映画賞(『犬が島』ほか)、脚本賞(『ロイヤル・テネンバウムズ』ほか)で候補になっていたが、ここにもう一つ別部門が加わったもの。
彼は無冠なので、今回受賞すれば初の栄冠になる。またこれを上回る記録ではケネス・ブラナーが7部門(作品・監督・主演男優・助演男優・脚本・脚色・短編実写映画)候補で最多となっていて、6部門にジョージ・クルーニー、アルフォンソ・キュアロンらがいる。