オカルト・ブームを牽引した「オーメン」シリーズを振り返る
1974年に悪魔と神の戦いを描いた『エクソシスト』が日本公開されてから2年後の秋、今度は悪魔が人間世界を知らない間に支配する『オーメン』が日本上陸し、大ヒットを記録した。悪魔となるのがまだ幼い子供で、彼には不吉な数字とされる「666」の痣が体に印されている、という設定が話題を呼び、残酷な殺人シーンの連続も相まって、劇場に集まった大勢の観客を震え上がらせた。
1970年代半ば、日本では「ノストラダムスの大予言」(1999年7の月に人類が滅びるという400年ほど前の“予言”が世論を騒がせた)に沸いていたこともあり、神秘的なもの、オカルト的なものがブームとなる基礎ができていたともいえるが、欧米人にとっては、新約聖書ヨハネ黙示録の中の、世界最後の日(ハルマゲドン)に悪魔が甦り、善と悪が戦うという予言の方が身近なものだったかもしれない。
これを下地にしたのが『オーメン』で、悪魔が子供の姿でこの世に甦り、関係者や疑念を持つ者たちを次々殺害して米政界の重要人物の一族に入り込む、という設定自体がもう恐怖でしかなかったのだろう。
悪魔の子ダミアンは第2作『オーメン2/ダミアン』(1978)で13歳となり士官学校に入学する。前作で亡くなった父親の兄弟である実業家の伯父の下で暮らす彼は、また一歩階段を上り、第3作『オーメン/最後の闘争』(1981)では大企業の社長となって世界征服を企む。この時ダミアンを演じたのが若き日のサム・ニールだ。
これでダミアン3部作は一応の完結を見たが、1991年には『オーメン4』が製作された。ただしこれは一作目の話を女の子を主人公にした新設定で作り直したものだった。さらに「666」の設定を生かし、2006年6月に公開されたのがリメイク版『オーメン』。オリジナル版の名シーンの数々も意外と忠実に復活させていたが、怖さはオリジナルに及ばなかった。
そして2016年、オリジナル版の製作40周年を記念したTVシリーズ「オーメン」(原題は「Damien」)は1976年版のその後を描く全10話もの。ただし映画版「2」「3」はなかったことになっていて、1作目の後、戦場カメラマンになった30歳のダミアンが主人公。子供時代のことは忘れていたダミアンだが、あることがきっかけで、自身の暗い過去と運命を思い出す……。と、これまで作られたのはいずれも同じ話のリメイクか、その後を描くものだけ。
今回の『オーメン:ザ・ファースト』はまだ描かれてない前日譚ということで、興味津々のファンも多いだろう。早くその全貌を知りたいものだ。
『オーメン』
ブルーレイ発売中、デジタル配信中 (購入/レンタル)
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
『オーメン2/ダミアン』
デジタル配信中(購入/レンタル)
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2024 20th Century Studios.
『オーメン/最後の闘争』
デジタル配信中(購入/レンタル)
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2024 20th Century Studios.
『オーメン:ザ・ファースト』
2024年4月5日(金)公開
アメリカ/2024/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:アルカシャ・スティーヴンソン
出演:ネル・タイガー・フリー、ビル・ナイ、ソニア・ブラガ、ラルフ・アイネソン
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