ダミアン誕生の前日譚を描く最新作
1976年、世界的大ヒットとなった一つの名作ホラーが誕生した。そのタイトルは『オーメン』(悪い前兆の意味)。それまで日本人には耳馴染みのない言葉だったが、この映画の公開と共に“オーメン”は恐怖映画の代名詞のように知れ渡るほどの現象を呼んだ。
6月6日午前6時に生まれたふたりの子供。そのうち一人は死亡し、生き残った一人は死んだ子供の両親の元に本当の子どもとして引き取られていった……。その両親とはアメリカ大使夫妻で、ダミアンと名付けられたその子が5歳になった時、次々と恐ろしい怪事件が大使一家の周囲で頻発する。果たしてそれはダミアンのせいなのか?
という内容の『オーメン』はその後、成長したダミアンを主人公にした続編やリメイクなどが製作されたが、本作は初めてダミアン誕生の前日譚を描く。
監督はこれが初の長編映画となる新鋭アルカシャ・スティーヴンソン。製作を『ダークナイト』(2008)などの脚本家でもあるデヴィッド・S・ゴイヤーらが務め、キャストにはTVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のネル・タイガー・フリーを始め、『生きる LIVING』(2022)のビル・ナイ、『蜘蛛女のキス』(1985)のソニア・ブラガ、『ウイッチ』(2015)のラルフ・アイネソン、『Mank/マンク』(2020)のチャールズ・ダンスらが名を連ねている。
あらすじ
教会への奉仕生活をするためにイタリアのローマにやってきたアメリカ人女性マーガレット(タイガー・フリー)。これまで不運な人生を送ってきた彼女は、ついに到着した新天地で修道女としての新たな人生が始まるはずだったが、実はその教会ではある企みが行われていた。それは神への冒涜とでもいうべき“悪魔の子”を誕生させること。
司祭ローレンス(ナイ)たちの真意は一体何なのか。教会の陰謀を知ってしまったマーガレットは、その裏に潜むおぞましい真実に否応なく巻き込まれていく……
登場人物
マーガレット ( ネル・タイガー・フリー)
ローマの教会に奉仕活動のためやってきたアメリカ人女性。しかしそこで思わぬ事態が。
ローレンス(ビル・ナイ)
ローマの司祭。悪魔の子の誕生に何か関与を?
呪いの数字「666」とは?
オリジナル『オーメン』で“悪魔の子”ダミアンの頭皮に「666」の数字の痣があった。この数字は今回もすでに予告編で登場することが分かっているが、「悪魔の数字」「獣の数字」と呼ばれる。なぜそう呼ばれるかというと、新約聖書の「ヨハネの黙示録」第13章18節に記された言葉に由来している。
この意味については古来から様々な解釈が存在するが、『オーメン』が1976年に公開されたことで世に広く知られたことは間違いない。
【インタビュー】ネル・タイガー・フリー
ネル・タイガー・フリー プロフィール
1999年10月13日、英キングストン・アポン・テムズ出身。TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のミアセラ・バラシオン役で知られる。他に「トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング」でマイルズ・テラーらと共演。次いでシリーズ「サーヴァント ターナー家の子守」でルパート・グリントらと共演。
“撮影中に不思議な出来事が本当に起きたわ!”
──オリジナル『オーメン』のファンだそうですね。なぜ人々は今でも約半世紀前の作品をホラーの名作と呼んでいると思いますか。
時の試練に耐えうる映画だからだと思うわ。そのくらい良くできているの。当時の『エクソシスト』(1973)や『オーメン』は初公開の頃生まれていなかった私でも、その時の観客の反応が感じられるくらい、ストーリーが良くできている。だからシリーズ化されたり、もっとその世界を広げることができるの。語りたいことが次々出てくるのね。
──今回あなたが演じるマーガレットについて教えてください。
彼女は非常に波乱に満ちた暗い生い立ちの持ち主なの。孤児院にいて、ある組織の中で育てられ、大人になった今、ビル・ナイ演じる父親のような存在であるローレンス枢機卿の指示でローマにやってきて、過去を捨てるために修道女になるのだけど、その後、この世には彼女が信じていた以上に多くの闇が存在するのだと知っていく。
子供の頃に聞かされたことが、実はそうでないことに気づき、自分の周囲の世界が崩れ始め、時間との戦いに挑むことになるの。
──若い観客にアピールする点はありますか。
もちろん。この映画の良いところは、オリジナルを見ていなかったとしても楽しめることだと思うわ。こちらを見てからオリジナルを初めて見ることもできる。願わくば私たちが作ったものにティーンの観客が興味を持ってくれて、次の展開が見たいと思ったら、すぐにそれを見てくれればナイスだと思う。
──オリジナルの製作時には、製作中に多くの事故や奇妙なことが起きたそうです。今回の撮影時に何か起きましたか?
確かに撮影現場では不思議なことが起きたわ。だからその噂は本当だと思う。例えばブレナン神父役のラルフ(アイネソン)の娘さんが、この撮影現場に来る前にカラスの群れに襲われたし、私がラルフの着けていた十字架を集中して見つめていたら、その十字架が私たちの前で真っ二つに割れたの! びっくりしたわ! そういうことは他にもあったのよ。
『オーメン:ザ・ファースト』
2024年4月5日(金)公開
アメリカ/2024/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:アルカシャ・スティーヴンソン
出演:ネル・タイガー・フリー、ビル・ナイ、ソニア・ブラガ、ラルフ・アイネソン
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