初の台湾映画出演を果たした門脇麦
本作をプロデュースした侯孝賢は1989年『悲情城市』でヴェネツィア国際映画祭グランプリ、2015年『黒衣の刺客』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。小津安二郎への敬愛から2003年には『珈琲時光』(2004年日本公開)を製作したが、昨年10月には引退を発表した。これまで自身の作品の助監督を務めてきたシャオ・ヤーチュエンが監督した全作品のプロデュースも務めており、プロデュース作も本作が最後となる。
シャオ・ヤーチュエン監督は台湾ニューシネマの系譜を受け継ぎ、本作は昨年の東京国際映画祭でワールドプレミア上映され、2023年の第60回台北金馬映画祭では監督賞、最優秀助演男優賞(アキオ・チェン)、最優秀映画音楽賞、衣装デザイン賞の4冠を達成した。
主人公のリャオジエには『Mr.Long ミスター・ロン』などで日本でも知られている日台のダブルで、台湾では神童と呼ばれる天才子役バイ・ルンイン。そして日本でもスマッシュヒットを記録した『1秒先の彼女』のリウ・グァンティンがW主演としてリャオジエの父親役に扮している。リャオジエに影響を与える“腹黒いキツネ”(オールド・フォックス)と呼ばれる地主のシャ役には、台湾の名脇役アキオ・チェン。シャの秘書役に『怪怪怪怪物!』のユージェニー・リウ。そして、門脇麦が経済的には恵まれているが、空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイを演じ、初の台湾映画出演を果たした。
『浅草キッド』を見て、門脇麦をキャスティング
この度解禁された場面写真は、主人公のリャオジエと父・タイライの慎ましやかな食卓の様子、リャオジエと地主のシャが所有するゴミ回収場で話し込む様子、タイライが働くレストランにシャが訪れ、情報と引き換えにチップを渡す様子、タイライが初恋相手であるヤンジュンメイ(門脇麦)とレストランで再会したシーンと高校生の時の淡い思い出のシーン。リャオジエをいじめるガキ大将たちとの対立、シャの下で働き、家賃回収をする“綺麗なお姉さん”とリャオジエの交流。タイライの弟の台湾文化を感じさせる結婚式の様子など、ノスタルジックな雰囲気漂う世界観となっている。
なお、ヤンジュンメイに門脇をキャスティングした理由について、シャオ・ヤーチュエン監督は次のように語った。
あの役には、お嬢様気質でちょっとわがままな感じがして、でも憂いが感じられてどこか孤独の影がある、という人を求めていたのですが、30歳くらいでそういう雰囲気のある人が台湾では見当たらなかったんです。それで、侯孝賢監督から『日本の俳優と仕事をしてみるといいよ』と勧められていたことを思い出しました。『浅草キッド』を見て、彼女がとでもいいと感じていたのでお願いしました。
なお来週、シャオ・ヤーチュエン監督が来日し、4月16日(火)には「くらしと読書のカルチャー・ワンダーランド」誠品生活日本橋にてモデル・文筆家の小谷美由と台湾映画の今昔と台湾カルチャーの今を語るトークイベント、翌4月17日(水)には本作で台湾映画初出演を果たした門脇麦と舞台挨拶付き試写会が実施される。
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<STORY>
バブル期の到来を迎えた台湾。11歳のリャオジエ(バイ・ルンイン)は、父(リウ・グァンティン)と二人で台北郊外に暮らしている。自分たちの店と家を手に入れることを夢見る父子だったが、不動産価格が高騰。リャオジエは現実の厳しさと、世の不条理を知ることになる。そんなリャオジエに声をかけてきたのは、“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主のシャ(アキオ・チェン)だった。他人にやさしい父と違い、他人なんか見捨てろと言い捨てるシャ。果たしてリャオジエは、どちらの道を歩んでいくのか…。
『オールド・フォックス 11歳の選択』
6月14日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:東映ビデオ
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