アンジェリーナ・ジョリーは、生後間もなく両親(俳優のジョン・ボイドとミシェリーヌ・ベルトラン)が離婚。11歳の時に、リー・ストラスバーグ演劇研究所で学び始め、いくつかの舞台作品に出演。ニューヨーク大学へ進学した後はモデルやミュージックビデオの端役なども経験した。1990年代半ばに入ると、低予算のTVムービーや小規模公開作への出演が続いたが、評論家からの評価は徐々に高まり、『ロード・トゥ・ヘブン』(1997)、『ジーア/悲劇のスーパーモデル』(1998)で、いずれもゴールデングローブ賞/エミー賞にノミネート。続く『17歳のカルテ』(1999)では、アカデミー賞助演女優賞を受賞。さらに、メジャー長編映画の初主演にして、『ボーン・コレクター』(1999)が興行的に大成功を納める。以降、『トゥームレイダー』シリーズ(2001/2003)、『Mr.&Mrs. スミス』(2005)、『ウォンテッド』(2008)と、「強くてタフで頭がキレる女」の象徴的なアクション映画がアンジー人気のムーブメントに拍車を掛け、その集大成的なポジションとして心身ともに充実した30代半ばに製作されたのが、出世作『ボーン・コレクター』でもコンビを組んだフィリップ・ノイス監督による、ポリティカルアクション『ソルト』(2010)だった。その世界興行は最終的に累計3億ドルに迫り、当然ながら続編の企画も早々に上がっていたが、フィリップ・ノイスは監督続投を固辞。アンジェリーナ・ジョリーも脚本への不満やスケジュールの調整がつかず、最終的にお蔵入りとなった。
クライマックス—―CIAに潜入していたロシア工作員との死闘の末、間一髪、核の発射を食い止めることに成功したソルト。その後、ヘリコプターで護送される際のわずかな時間に聴取を許されたCIA防諜部職員ピーボディは、今のソルトの目的がスパイ/国家転覆活動ではなく、彼女から全てを奪ったロシア諜報部隊の壊滅だと悟る。かつて、自分を殺せたにも拘らずそうしなかったソルトの言葉を信じたピーボディは、監視の目を一瞬欺きソルトをヘリからポトマック川に逃がす。そして川から上がったソルトは、最終目的を遂行すべく息も絶え絶えに森の中を駆け抜けていく——— SCREEN Collectionsが保管するのは、この次作へ続くかのような衝撃のエンディング・シークエンスで、ソルト=アンジェリーナ・ジョリーが実際に身に着けていた衣装一式となります。