『プシュパ 覚醒』で注目されたアッル・アルジュン主演『仕置人DJ』が7月12日(金)公開に公開される。このたび、予告編、本ポスター、場面写真が一挙解禁された。

表の顔は温和な料理人 裏の顔は必殺仕置人

インド本国で絶大な人気を誇りながら、日本では現在『プシュパ 覚醒』と『ザ・フェイス』(特別出演)のみで知られているアッル・アルジュン。2003年に本格デビューして以来、着実にトップスターへの道を歩んできた。テルグ語映画界のスーパースターであるチランジーヴィ(『サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者』)を叔父にもち、ラーム・チャラン(『RRR』)が従弟という芸能一家出身で、ダンスの名手としても名高い。「バニー」「スタイリッシュ・スター」「アイコン・スター」などの愛称を持ち、その別名通り、スタイリッシュで都会的、生意気で頭脳の回転が速く、不敵で朗らかな若者像を多く演じてきた。

しかし2015年ごろから、演技の幅を広げようとする試みが見られるようになった。2017年に公開された本作では、古風なバラモンとしてサンスクリット語のストートラ(神を称える歌)を詠唱し、専門トレーナーをつけて習得したというバラモン方言のテルグ語を操り、伝統衣装を裾さばきも鮮やかに着こなしている。同時に、本来のスタイリッシュさを全開にしたアクションや、セールスポイントのひとつであるダンスの技量を発揮したソングシーンもあり、コントラストも楽しめるものとなっている。

ヒロインは、『アラヴィンダとヴィーラ』のプージャー・ヘグデ。細身のしなやかな体でありながら妖艶さを醸し出し、バラモンの主人公とは対照的な、裕福でファッショナブルな都会の女性を演じる。さらにラーオ・ラメーシュやスッバラージュなど演技派・個性派の俳優陣が脇を固める。

『ランガスタラム』『ザ・フェイス』などでその名が知られるテルグ語映画界トップの音楽監督デーヴィ・シュリー・プラサードも加わり、娯楽映画としてのアトラクションが満載である。

画像: 仕置人DJ www.youtube.com

仕置人DJ

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<Story> 
アーンドラ・プラデーシュ州ヴィジャヤワーダにあるバラモンの集落。そこに生まれたドゥッヴァーダ・ジャガンナーダム・シャーストリ(通称DJ)は、古風で保守的な教育を受けて育った。一族は代々、近くにあるシヴァ神を祀った大寺院で僧としてお勤めをしていたが、現在は一般人の結婚式などへのケータリングを行う宴会料理人を生業としている。その味は評判で、遠くハイダラーバードにまでしばしば出張して調理を行っていた。 少年時代のDJは、ハイダラーバードへの出張に同行した際に、ギャングを逮捕しようとして返り討ちにあった警官の命を助ける。その警官プルショーッタムは、DJの不正を憎む心と実力行使もためらわない胆力に感銘を受け、彼をこっそりと超法規的な仕置き人に仕立て上げ、この関係はその後20年近く続く。大人になった彼は、親族の一人が大規模な投資詐欺事件の犠牲になったことから、その黒幕ロイヤラ・ナーイドゥの成敗にむけ動き出す。

※バラモンとは?

日本では古くは婆羅門の漢字があてられた。インドの言葉ではブラフマン、英語ではブラーミン。ヒンドゥー教の身分制であるカースト制度のなかで最高位を占める僧侶・学者階級。宗教的な浄性とヒンドゥー経典に関しての学識は彼らの誇りだが、現代社会では「特権者」という性質だけでは語れなくなっている。かつて英国統治時代には「唯一の知識階級」として社会的権益を独占していたバラモンたちだが、南インドではそれが却って激烈な反バラモン感情を生み、バラモンであることに肩身の狭さを感じさせる状況までもが出来した。

こうした中で、バラモン階級の一部は教育を武器として政財界に進出し、相変わらず特権的な地位を享受したり、そこまでは行かなくともIT技術者として都市型のアッパーミドル・クラスになるなどしてサバイバルし、新時代の成功者となった。

一方で、財産をあまりもたず、儀軌・経典の知識に固執し、他カーストとの接触を避け続けてきた旧守派も少なくない。映画の中に登場して、多くの場合、軽い揶揄の対象となるこうした人々は、古来の典型的な職能である僧侶、料理人、音楽家として描かれる。厳格な菜食主義、古臭い衣装、儀礼への執着、特徴的なカースト方言、物質文明を拒む性向などといったステレオタイプ描写を含んだコメディーは、南インド映画で時おり現れる。彼らは1本の通りに沿ってコミュニティーだけで排他的な居住区を形成することが多く、そのようなコロニーはアグラハーラムと呼ばれる。

『仕置人DJ』 
2024年7月12日(金)よりシネ・リーブル池袋、池袋HUMAXシネマズほか順次公開 
配給:インドエイガジャパン 
© Sri Venkateswara Creations

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