依存症に苦しむ娘と彼女を救おうとする父の2人旅を描くロードムービー
『トレインスポッティング』(1996)などのアート系ムービーから「スター・ウォーズ」シリーズのような大作まで、今年で映画デビュー30年を迎え活躍し続けるユアン・マクレガーと彼の実娘クララ・マクレガーが、問題ありの親子役でW主演するロードムービー。
2023年のサウス・バイ・サウスウェスト映画祭で好評価を得た。実生活で22年間連れ添ったクララの母(エヴ)と離婚し、その後メアリー・エリザベス・ウィンステッドと再婚したユアンに反発し、一時会わないこともあったクララが、ある日、父へ一つの脚本とラブレターを送った。そこから生まれた本作でクララはルビー・キャスター、ヴェラ・バルダーと共同脚本も務め、これが初長編作品となるエマ・ウェステンバーグをオランダから監督に迎えている。
撮影はコロナ禍の2021年にアメリカ南西部で行われ、互いに心に傷を持つ父と娘が、親子の間にだけ存在する“血が巡るような愛(ブリーディング・ラブ)”を描く。またレオナ・ルイスが歌う本作タイトルの同名曲も本編で重要な存在となっている。
あらすじ
サンディエゴからニューメキシコ州のサンタフェに向かう青い1980年代型トラック。その車を運転する父親(ユアン)と助手席に座る娘のターボ(クララ)は、大きな問題を抱えていた。ターボはヘビースモーカーに加えてアルコール依存の傾向があり、父親は娘のドラッグ過剰摂取のトラブルを機に、知人宅を訪ねるという口実で、久々に会った彼女をリハビリ施設に入れようとしていたのだ。
父親自身も過去に重度のアルコール依存症で妻と幼かったターボの元を去った経験があり、今は新たな家庭を築いていたが、元妻からの連絡で依存症に苦しむ愛娘と思わぬ再会を果たしたものの、そんなターボとどう向き合っていいか戸惑っていた。
2人は道中、過去の幸福だった時期を思い出しながら、様々な人たちと出会いを繰り返し、心の距離を縮めて目的地に近づいていくが、やがて偶然この旅の本当の意味を知ってしまったターボは取り乱し、姿を消してしまう。かつての過ちを後悔する父親は必死にターボの行方を追い求めるが……。
登場人物
父親(ユアン・マクレガー)
久々に再会した娘“ターボ”を内緒でリハビリ施設に入れようと一緒に車で旅をする。自分自身、過去に妻子を置き去りにしてしまったことを後悔している。
ターボ(クララ・マクレガー)
アルコール依存症に悩み、薬物過剰摂取で倒れるトラブルを起こすほどボロボロに。子供時代、仲が良かった父と久々に旅をすることになるが、複雑な心境。
実際の複雑な関係を反映したような親子役を演じるマクレガー父娘
現実世界でも大きな社会問題となっている重いアルコール依存症を背景にしながら、一時わだかまりもあったユアン・マクレガーと実娘のクララ・マクレガーがW主演するロードムービー。娘のドラッグ過剰摂取をきっかけに、疎遠となっていた父親が彼女を連れてニューメキシコまでの旅に出るが、その先に待っていたものは? 緊張感がありながら深い親子愛がにじみ出ている。
ユアンとクララのマクレガー父娘は語る
脚本も担当したクララは、「コンセプトを考えている時から父に出演してもらいたいと考えていましたが、一つの目標で、実現するかはわかりませんでした」という。
ユアンは脚本を読んだ時、「物語の美しさに度胆を抜かれました。実話ではないけれど、私たち親子のことを感じることができる内容でもあった」と語り、「映画製作というとても難しいタスクを達成した娘を誇りに思います。共演できたことも素晴らしかった」と感想を述べている。
『ブリーディング・ラブ はじまりの旅』
2024年7月5日(金)公開
アメリカ/2023/1時間42分/配給:ブリーディング・ラブ はじまりの旅
監督:エマ・ウェステンバーグ
出演:ユアン・マクレガー、クララ・マクレガー、ヴェラ・バルダー
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