原作ものと違って拠り所なし。
新たな挑戦に臨んだ山田尚子監督
2011年『映画けいおん!』にて長編映画初監督を務め、小規模公開にもかかわらず興行収入19億円を突破、同作は第35回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞に輝き、その後も「たまこまーけっと」などの話題作で大躍進を続け、2016年には長編映画監督3作目となる『映画 聲の形』が累計動員177万人・興行収入23億円を突破する大ヒットを記録するなど、全世界から脚光を浴びるアニメーション監督、山田尚子。
今回、完全オリジナル長編作となる映画『きみの色』は山田監督にとって“作ることにおけるすべてが挑戦”だったそうで、「原作ものと違って拠り所がないので、自分で答えを見つけていかなければいけない重責をすごく感じました。もうひとつあったのが、3人の物語を描くということ。1対1でも、より多くでもない3人はこれまで描いたことがなかったので、難しくなることは承知のうえで挑戦してみました。」と明かしている。
そんな本作を共に作り上げた制作スタッフ陣は、山田監督の魅力についてどう捉えているのか。
“世界は常に美しい”ということを信じている”
山田監督と『映画 聲の形』から幾度もタッグを組み、本作で音楽監督を務めた牛尾憲輔は、「山田監督のすばらしさはキャラクターの眼差しのやさしさ、地に足つけるような泥臭さにある。」と明かし、「“どんなに悲しいことが起きたとしても世界は常に美しい”ということを信じているというのが山田監督の作家性のひとつだと思います。」と山田監督の作家性について語っている。
また「平家物語」以来の再タッグで、本作でキャラクターデザインと作画監督を務めた小島崇史は「とにかく話しやすくてやり取りがスムーズなので、山田さんとの仕事は楽しいです。かわいい絵や動きが上がると、すごく喜んでくださるのが印象的ですね(笑)。」と仕事場での山田監督の印象を振り返る。
山田監督の手掛ける短編アニメーション映画『Garden of Remembrance』に続き、色彩設計を務めた小針裕子は「監督は非常に楽しまれながら作品を作られる方だと思いました。キャラクターを説明する言葉にもすごく愛情が感じられるんですよ。監督から“トツ子のアホ毛はチャームポイントなので、ちゃんと見えるようにしてください”と言われて、見えるようにカット毎の調整をがんばりました(笑)。」と、山田監督の人柄に触れつつ、監督ならではのこだわりポイントを明かしてくれた。
そして本作のプロデューサー・岡村和佳菜は「色を通じて、人が他人や自分をどうとらえているかという普遍的で大きなワンダーが描かれており、多くの人に広く開かれている作品。そこに柔らかだけれど芯もある監督の人間性も感じます。」と、登場人物の複雑な感情を、繊細に発想豊かにすくい取れるのが山田監督ならでは、そして監督の手掛ける作品の魅力だと明かしている。
独自の感性で唯一無二の世界観を生み出す山田尚子監督の最新作『きみの色』。本作ではどんな山田監督らしい“色”が描き出されているのか。ぜひ劇場公開を楽しみにお待ちいただきたい!
『きみの色』
2024年8月30日(金) 全国東宝系公開
監督:山田尚子「映画 聲の形」「リズと青い鳥」「けいおん!」「平家物語」
声の出演:鈴川紗由 髙石あかり 木戸大聖 / やす子 悠木碧 寿美菜子 戸田恵子 新垣結衣
脚本:吉田玲子 「猫の恩返し」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「若おかみは小学生!」
音楽・音楽監督:牛尾憲輔 「映画 聲の形」「チェンソーマン」
主題歌:Mr.Children「in the pocket」(TOY'S FACTORY)
キャラクターデザイン・作画監督:小島崇史
キャラクターデザイン原案:ダイスケリチャード
製作:「きみの色」製作委員会
企画・プロデュース:STORY inc. 「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」
制作・プロデュース:サイエンスSARU 「夜は短し歩けよ乙女」「映像研には手を出すな!」「平家物語」
配給:東宝
©2024「きみの色」製作委員会
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