登場したヒーローたちの再登板にも期待したい
ここまで “物語的な影響”について書いてきましたが、ここからは本作の大ヒットが今後のMCUの戦略に与える影響を考察してみましょう。まずヒュー・ジャックマンのウルヴァリン。そもそもヒュー・ジャックマンは『LOGAN/ローガン』でウルヴァリン役は終えたと言っていました。しかしライアン・レイノルズと一緒にやってみたい、ということで今回特別に復帰した。この先ウルヴァリンをまた演じるつもりかどうかはわかりませんが、ここまでの大ヒットだとヒュー・ジャックマンにまた登場して欲しいという声があがるでしょう。
同じようにチャニング・テイタムのガンビットももっと観たいという人も多いと思います。MCUはこういうファンの声を無視しないので彼らがMCUでまた活躍する可能性は大。特にガンビットはもともとチャニング・テイタム出演でソロ映画として作られるはずだったのにキャンセルされた過去がある、つまり幻の映画なのです。だからチャニング・テイタムの『ガンビット』企画自体が復活するかも。個人的にはダフネ・キーン演じるX-23/ローラが魅力的で、それこそミズ・マーベルのカマラや2代目ホークアイのケイト・ショップらとヤング・アベンジャーズを組ませたい。
劇中でもネタになっていた新旧「ブレイド」との関係性
ちょっと嬉しかったのはウェズリー・スナイプス演じるブレイドがまさかの登場。彼の「ブレイド」映画3作は20世紀フォックスの映画ではなくニュー・ライン・シネマの作品でした。ではなぜここに登場したのかというとライアン・レイノルズは『ブレイド3』にハンニバル・キングという役で出演しているのです。だから「デッドプール」1作目にはブレイドへのオマージュやネタが出てきます。ライアン・レイノルズとしてマーベルの世界に最初に引き込んでくれたのはウェズリー・スナイプスのブレイドという縁ないし恩があるからの起用かもしれません。
ここでちょっと面白いのがウェズリー・スナイプスがブレイドは全ユニバースで俺一人的なことを言うときにデッドプールがカメラ目線でちょっと困惑した顔を客席に向けますよね。デッドプールは第四の壁でマハーシャラ・アリ出演でMCU版ブレイドが作られることを知っているわけです。ただこの映画何度も監督降板騒ぎがあって全然製作が進んでいません。従ってファンの中には本当に作られるの?との声もあります。このシーンはさりげなくMCU版のブレイドはちゃんと作られますという隠れたメッセージではないでしょうか?
さて『デッドプール&ウルヴァリン』の成功がMCUのビジネスに与える一番大きな影響はR指定映画を「あり」にしたことです。ということはマーベル・コミックの中でもバイオレンスなヒーローたちや過激な物語をMCUとして映画化することが出来る。順当にいけば『ブレイド(原題)』が次のR指定MCU映画になるらしい。そう『デッドプール&ウルヴァリン』はMCUの幅を大きく広げてくれたのです。
『デッドプール&ウルヴァリン』
2024年7月24日(水)公開
アメリカ/2024/2時間8分/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ショーン・レヴィ
出演:ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマン、エマ・コリン、マシュー・マクファディン、モリーナ・バッカリン、レスリー・アガムズ
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