これまでに経験した最も楽しい撮影は、親友リヴァー・フェニックスとの撮影だと語るキアヌ。今もなお、彼にとってリヴァーという存在は“美しい魂”そのもの。今回は、2人に何度もインタビューした金子裕子さんに、印象深いエピソードや言葉と共に、その歩みを振り返ってもらいました。
(文・金子裕子/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『マイ・プライベート・アイダホ』写真:Album/アフロ

『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』で初共演が叶った2人

 60歳になったキアヌ・リーヴス。いまだ衰えないその輝きを目にすると、いまは亡きリヴァー・フェニックスとのかけがえのない時間がよみがえる。

 キアヌがカナダからハリウッドへやってきたのは20歳のとき。その後の数年は“誰かの友だち役”ばかりだったが、『リバース・エッジ』(86)では主演のクリスピン・グローヴァーよりもはるかに印象的な演技を披露して、業界の熱い視線を集めることに。以後は主演作が続き、89年公開の『ビルとテッドの大冒険』が全米で大ヒット。未来を担う若手俳優のトップリストに仲間入りを果たした。

“1989年”は、キャリアだけでなくプライベートでもエポックの年だった。キアヌが親友リヴァー・フェニックスに初めて会ったのは、89年の1月にクランクインした『バックマン家の人々』(89年)の撮影現場。共演者に、リヴァーの弟ホアキン・フェニックスと当時リヴァーと交際中のマーサ・プリンプトンがいた。ある日、彼らを訪問したリヴァーと遭遇。そこから2人の付き合いが始まり、『ビルとテッドの大冒険』のプレミアにはリヴァーが参加したりしていた。しかも、同じ年=89年4月にクランクインした『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』で初共演が叶い、友情は深まるばかりとなった。

 ローレンス・カスダン監督によるこの爆笑コメディでは、リヴァーは年上の人妻から“浮気夫暗殺計画”の手伝いを頼まれるピザ屋の店員。キアヌは店員から依頼を受けた殺し請負人。人妻に恋するリヴァーのプッツン演技もさることながら、虎刈りヘアに鼻ピアスのキアヌのぶっとんだ演技は、登場するだけで大爆笑。ともに“美形イメージをどこまでぶっ壊せるか?”のバトルを楽しんでいるようで、笑いの相乗効果が炸裂していた。

 この共演で意気投合した2人はクランク・アップの時に再共演を誓った。そして、その1年数カ月後の1990年11月にはガス・ヴァン・サント監督の『マイ・プライベート・アイダホ』(91年)の撮影に参加。早くも、約束が果たされた。

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