河合自身も反映された、カナという役
ーー河合さん演じるカナがミニスカートで街を颯爽と歩くシーンから始まり、友達と会って重めの話をしているのにまったく聞いていませんよね。その冒頭のシーンでカナの人となりが見える気がしました。
「山中さんが脚本を書く前にいろいろお話しして、『自分の嫌なところは何ですか?』と聞かれたので、『人の話を聞いていないところです』とお答えしたんです。それがそのままカナの性格になっていました」
ーー演技について監督とはどんなお話をされましたか。
「お芝居に関しては、現場で私が思ったことをやってみて、それが提案になるという形でした。山中さんは最初から、私が提案することを面白がってくれた印象はありましたね。例えば、友達の話を聞いていないシーンでは、カナの耳には重い話が入っていないのに、聞いているフリをするために、何回も執拗に頷きながら眼をカッ開いてました。それを監督をはじめ、現場のみなさんが気に入ってくださって、作品を見たら『フフッ』ってカメラマンさんの笑い声が入ってました(笑)」
ーー山中監督から具体的に「こうしてほしい」と言われたわけではない?
「完成した作品には山中さんの映画だという色はすごく出ているのに、現場ではいろんな人が出し合ったアイデアを取り入れていらっしゃったんです。なので山中さんが思う正解があって、それを指示として出されるという形ではあまりなかったんですよね。ただ絶対にこのシーンではこれをやりたいというものがあるときは、具体的に言ってくれました。例えばタトゥースタジオで私がイルカの絵を描いているときのちょっと変わった姿勢は、絵画からの引用で。絵の中の女の子を見せられて、『これと同じ姿勢を取れますか?』って聞かれました」
ーーあの場面はハヤシがカナが描いたイルカをタトゥーにして笑ってしまいました。
「バカじゃないの? って感じですよね(笑)」