カバー画像:『ウルフズ』のプレミアでレッドカーペットを歩いた(左から)アマル・クルーニーとジョージ・クルーニー夫妻、イネス・デ・ラモンとブラッド・ピットのカップル/Photo by GettyImages
レッドカーペットを賑わせたハリウッド・スターたち
8月28日から9月7日まで開催された2024年のベネチア国際映画祭。カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大国際映画祭の一つである本映画祭は、コンペ部門の行方に加え、世界中から集まるセレブたちの動向も大きな話題。今回も大物たちが水の都に続々やってきた。
注目されたセレブと言えば、3日違いですれ違ったアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピット。もちろん鉢合わせすることは最初から避けられていたが、それでも2人が同じ映画祭にやってくるのは今や異例のことだ。先に訪れたアンジーの方は彼女がオペラ歌手マリア・カラスに扮した『Maria』で来場。心機一転、金髪になってレッドカーペットを歩いたアンジーは本作で再びアカデミー賞を狙えるという噂も。
一方のブラッドは友人ジョージ・クルーニーと一緒に共演作『ウルフズ』で来場。さらに新恋人と言われる27歳年下のジュエリーブランド副社長イネス・デ・ラモンを伴ってレッドカーペットに登場しマスコミのフラッシュ攻撃を浴びまくった。クルーニーがアマル夫人とやってきて4人が揃うとブラッドはリラックスモード。フラッシュの嵐にも笑顔を絶やさなかった。アンジーもブラッドもさすがのスター・パワーを見せつけてくれた。
やはりスターカップルで話題になったのはダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズ夫妻。2人が揃ってイベントなどに出席するのは割とレア。今回クレイグはルカ・グァダニーノ監督の新作『Queer』のために来場したのだが、新作の役作りのためかなんとクレイグはブロンドのセミロングヘアで登場。周囲から「007の時と別人のよう」と騒がれた。しかし本作での演技の評判は上々で、オスカー候補もあるかも? 一方のレイチェルの若々しさも注目の的で、ゴージャスカップルの名に相応しい熱烈な歓迎を受けていた。
こちらは夫婦ではないが、共演者として来場したホアキン・フェニックスとレディー・ガガも注目の2人。本映画祭で金獅子賞を受賞した前作『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』で共演した2人がレッドカーペットに登場すると、盛り上がりは最高潮に。プレミア上映後も12分に及ぶスタンディングオベーションが巻き起こり、ベネチアは熱狂に包まれた。
ペドロ・アルモドヴァル監督の尊厳死をめぐる作品が金獅子賞に
そんな熱狂のレッドカーペットで豪華なドレスの数々を見せ、連日スポットを浴びたイザベル・ユペールが審査員長を務めたコンペティション部門の結果を見ると、金獅子賞はスペインの巨匠、ペドロ・アルモドヴァル監督の『The Room Next Door』に贈られた。ジュリアン・ムーアとティルダ・スウィントンの共演で女性同士の友情と尊厳死をテーマにしている。アルモドヴァルは「これは私にとって初の英語長編映画ですが、その魂はスペインにあります」とコメント。金獅子賞は監督にとって初の受賞となる。
また最優秀女優賞には『Baby girl』のニコール・キッドマンが選ばれたが、彼女は最愛の母の急死のためベネチアを離れ、ハリナ・レイン監督が代理受賞し、「美しく勇敢な母の訃報に触れ、大きなショックを受けました。すぐに家族の元に戻らなければなりませんが、この賞を母に捧げたいと思います」とニコールのメッセージを読みあげた。また男優賞は『The Quiet Son』のヴァンサン・ランドン、監督賞は『The Brutalist』のブラディ・コーベットが受賞した。