季節も秋になり、そろそろ次年度の映画賞レースが始まるシーズンに突入。重要な映画祭も開催され、早くも受賞予想がちらほら聞こえ始めていますが、賞を狙う年末公開作品が待機する中、2つの有力作品が日本公開されます。今回は全米で大ヒットを記録したA24スタジオ史上最大の規模で贈る問題作『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。その気になる内容はどんなものか、先陣を切って詳細をお届け!(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

2025年主要な映画祭・映画賞のスケジュール

  • 2024年
    9月27日 ニューヨーク・フィルム・フェスティバル
    10月23日 AFIフィルム・フェスティバル
    11月17日 ガバナーズ・アワード
    12月2日 ゴッサム・アワード
    12月9日 ゴールデングローブ賞ノミネーション
  • 2025年
    1月5日 ゴールデングローブ賞授賞式
    1月17日 アカデミー賞ノミネーション
    1月26日 サテライト・アワード
    2月8日 全米監督協会賞
    2月22日 スピリット・アワード
    2月23日 全米俳優協会賞
    3月2日 アカデミー賞授賞式
    (2024年9月上旬現在の予定、日程は現地時間)

イントロダクション

画像: イントロダクション

 世界一の超大国アメリカの連邦政府から19もの州が離脱を表明し、テキサスとカリフォルニアの同盟からなる勢力と政府軍による内戦(シビル・ウォー)が勃発。そんな中、ホワイトハウスに引きこもる大統領にインタビューを敢行しようと、戦場ジャーナリストたちが危険な道のりを承知でワシントンDCを目指す……。

A24が同スタジオ史上最大の製作費を投入し、アメリカ合衆国の崩壊を描く超大作。監督・脚本はA24作品『エクス・マキナ』『MEN 同じ顔の男たち』で知られるイギリス出身のアレックス・ガーランドで、分断化の進む現在の社会情勢を盛り込みながら、超大国アメリカが二分化し、政府陣営が追い詰められていく様を、徹底してリアルな迫力の戦闘シーン、戦場ジャーナリストの活躍を描く。アメリカ本国では同スタジオ最大のオープニング成績で、2週連続興行収入第1位を記録した。

 出演者は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でアカデミー賞助演女優賞候補に挙がったキルステン・ダンストをはじめ、『プリシラ』でベネチア国際映画祭女優賞を受賞したケイリー・スピーニー、ドラマ「ナルコス」でパブロ・エスコバルを演じたワグネル・モウラ、『DUNE/デューン 砂の惑星』のスティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソンらが共演。キルステンの夫で『憐れみの3章』のジェシー・プレモンスも印象的な役で特別出演している。

 また撮影を『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のロブ・ハーディ、編集を『エイリアン:ロムルス』のジェイク・ロバーツ、音楽をジェフ・バーロウとベン・ソーリズブリーが担当している。

あらすじ

分断化された超大国の内戦地帯を戦場ジャーナリストたちが危険を冒して記録していく

画像1: あらすじ

1. 分断化が進み、独善的な大統領(ニック・オファーマン)に反旗を翻した19の州が離脱を表明したアメリカ合衆国。テキサスとカリフォルニアが同盟を組み西部勢力を組織。政府軍を相手に各地で武力衝突が起きていた。大統領は「我々は歴史的勝利に近づいている」と主張していたが、実は戦火はすでに首都ワシントンDCから200キロの地点にまで西部勢力の軍勢は迫りつつあった。政府軍の敗色が濃くなる中、その情報はジャーナリストたちにも伝わってきた……。

画像2: あらすじ

2. 政府軍敗退の噂をニューヨークで聞き付けたカメラマンのリー(キルステン・ダンスト)と記者のジョエル(ワグネル・モウラ)のコンビは、首都に乗り込み、陥落前に大統領に独占取材をしようと作戦を立てる。それを聞いたリーの恩師でもあるベテラン記者サミー(スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン)と、リーがピンチを助けた駆け出しのカメラマン、ジェシー(ケイリー・スピーニー)も同乗することになり、4人を乗せた車は戦火のニューヨークを出発する。

画像3: あらすじ

3. 危険地帯を避けるため、遠回りしてシャーロッツビルを経由し首都に向かう4人は変わり果ててしまったアメリカの光景を車中から見つめながら、シャッターを切っていく。そんな間にも「三期目の任期中に公開したことは?」「FBIを解散させたのは正しい判断?」「国民に対して空爆を行ったことをどう考えますか?」と大統領への重要な質問を考えつつ、立ち寄ったガソリンスタンドで、4人は“掠奪者”と呼ばれる者たちが拷問を受ける凄惨な場面に遭遇する。

画像4: あらすじ

4. 過酷な状況もプロとして冷静に対処するリーに尊敬の念を募らせていくジェシー。リーもジェシーの成長を見守るようになり、2人に絆が生まれていく。その後、敵勢力と武力衝突する民兵グループに密着すると、ジェシーは銃撃戦の模様を撮影することに成功し、リーから認められるようになる。避難キャンプで一夜を明かし、平時と変わらない奇妙な街に立ち寄ったり、僻地で正体不明のスナイパーと軍人による狙撃戦に巻き込まれながら、4人の首都への旅は続いていく。

画像5: あらすじ

5. リーたちの車を追って来た記者仲間たちに再会し、喜んだのもつかの間、一行は民間人の遺体を無造作に処理する謎めいた武装集団に遭遇する。その中の一人の兵士(ジェシー・プレモンス)が「お前たちは、どの種類のアメリカ人だ?」と問いかけてきた。答えに窮していると、分断社会の象徴のような兵士たちはいきなり冷酷な素顔を顕してきた。絶体絶命のピンチを機転を利かせたサミーのおかげで切り抜けたが、逃げ延びたリーたちに思わぬ出来事が待っていた…。

画像6: あらすじ

6. すっかりかつての様相を変えてしまった超大国アメリカ。絶望的な気持ちで西部勢力の軍事基地があるシャーロッツビルにたどり着いた一行。彼らはそこで政府軍が降伏寸前という情報を得る。首都を守る政府軍はもうわずかで、一刻も早く現地に乗り込まないと大統領の独占取材は狙えない。リーたちは侵攻する西部勢力と共に最後の戦闘が行われているワシントンDCに乗り込んでいく。果たして彼らは大統領に会い、スクープをものにできるのか?

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
2024年10月4日(金)公開
アメリカ=イギリス/2024/1時間49分/配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督:アレックス・ガーランド
出演:キルステン・ダンスト、ケイリー・スピーニー、ワグネル・モウラ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン

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