第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で11月2日、ラトビア・フランス・ベルギー合作のアニメーション映画『Flow』が上映され、上映後に、監督・脚本・音楽を務めたギンツ・ジルバロディス、共同脚本のマティス・カジャによるトークショーが行われた。
画像: アニメーション映画『Flow』の監督・脚本・音楽を手掛けたギンツ・ジルバロディス(左)と、共同脚本のマティス・カジャ

アニメーション映画『Flow』の監督・脚本・音楽を手掛けたギンツ・ジルバロディス(左)と、共同脚本のマティス・カジャ

ジルバロディス監督「僕は、映画はセリフなしで描くほうが居心地がいい」

 アニメーション映画『Flow』が描くのは、次第に水没していき、人類がいた痕跡はあるが、人類の姿はまったく見えない世界。一匹の黒猫が、溢れてくる水から逃れるため、流れてきたボードに乗り、それまで知らなかった生き物と出会い、初めて見る土地を体験していく。

 ギンツ・ジルバロディス監督は、1994年ラトヴィア生まれ。長編映画2作目となる本作は、2024年のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞、観客賞ほか4冠を受賞。ギレルモ・デル・トロ監督が「アニメーションの未来の壮大な幕開け」と絶賛した注目作だ。

画像: 黒猫は、流れてきたボードに乗り、それまで知らなかったさまざまなものを見る

黒猫は、流れてきたボードに乗り、それまで知らなかったさまざまなものを見る

 本作も、前作『Away』(2019)同様、まったくセリフはなく、映像だけで描かれていくが、これは監督の信念によるもの。

監督「私は、セリフで物語を語るよりも、セリフがなしで語る方が居心地がいいんです。作品を構想するときも、まず、ジュアルイメージが湧いて、そこから物語が生まれていきます。セリフよりも、映像、音響、音楽、カメラの動き、ライティングで語る方が、映画を見る人に伝わるんじゃないかと思うんです」

映画の大部分は、ワイドレンズで撮影したような映像で、ワンショットが長い。

監督「映画を見る人には、映画に没頭する体験をして欲しいと思っています。物語の中心となる黒猫の近くにいて、その猫を追いかけていると感じて欲しい。遠くから観察者として眺めるんじゃなくて。そのために、1つのショットを長くしています。観客は、ショットが変わるたびに、無意識のうちに、自分が今、映画を見ているということを思い出してしまうから。
 それと、ほとんどの監督はストーリーボードを作ってから映像を作るけど、僕はストーリーボードは作らずに、直接、3D映像で流れを作っていくから、そのせいでワンショットが長いのかもしれません」

画像: 黒猫は、大きな猫の像がある土地で暮らしていたが、そこに洪水が押し寄せてくる

黒猫は、大きな猫の像がある土地で暮らしていたが、そこに洪水が押し寄せてくる

 日本公開は、2025年3月14日に決定。監督は大画面での鑑賞を推奨している。

監督「この映画を見て、何か新しいものを発見してもらえたら嬉しいです。映像の細かな部分を感じ取るために、大きな画面で見ることをお勧めしたいと思います。水の揺らぎ、風のそよぎ、、、大きな画面でじっくり見ないと、見逃してしまうものがありますから」

『Flow』
2025年3月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他にてロードショー 
監督:ギンツ・ジルバロディス 
2024年/ラトビア、フランス、ベルギー/カラー/85分/映倫:G/原題:Flow 
配給:ファインフィルムズ  
©Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.
  

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