狂気的な世界観と過激な惨殺描写で支持を得る「テリファー」シリーズ最新作が上陸!ダミアン・レオーネ監督のインタビューとともにみどころをご紹介しましょう。(インタビュー、文・相馬学/デジタル編集・スクリーン編集部)

インタビュー 監督・脚本 ダミアン・レオーネ

画像: インタビュー 監督・脚本 ダミアン・レオーネ

“(最も苦労したのは)シャワー室でのチェーンソーによる惨殺シーンです”

──3作目にしてアート・ザ・クラウンが何者なのかおぼろげながら見えてきました。悪魔のような存在であるアートと、救世主であるシエナの対立の構図は1作目のときから考えていたのでしょうか?

「いや、2作目の製作時からです。スーパーナチュラルを本格化させると同時に、善と悪の戦いを掘り下げようと思いました。私はカトリックの家の出で、神話のビジュアルも好きだったから、宗教的な要素を入れ込みたかったんです。また、ホラー映画ではヴィランの強烈さに比べて、ヒーローの描き込みが足りないと感じていました。だからシエナを際立たせたかった。コミックから飛び出したヒーローのような、そんな存在にしたかったのです。とはいえ、彼女には地に足を付けた存在でもいて欲しかった。そこが今回のチャレンジでした」

──3度アート・ザ・クラウンを演じるデヴィッド・ハワード・ソーントンとは、どのような共同作業を行なったのですか?

「私とデヴィッドのあいだには、すでにあうんの呼吸があります。彼は衣装を着て、マスクを付けただけで、もうアートになれる、そういう自信が備わっています。脚本には細かくアートの表情や仕草について記しているので、あとは基本的に彼にお任せ。デヴィッドは行き過ぎた演技を恐れない。そこが彼の大好きな部分で、ときに映画に良い効果をあたえてくれるのです。公開時にアメリカでバズッたシーンに、アートがシエナの頭を何度もペチッと叩く場面がありますが、あれはデヴィッドのアドリブです」

──アートによる殺りくの描写は今回も強烈ですが、もっとも大変だったスラッシャーシーンを挙げるとすれば、どこでしょう?

「シャワー室でのチェーンソーによる惨殺シーンですね。本作の中で、もっとも強烈な場面になることはわかっていました。スタッフにもそう説明しましたし、かなりの時間を準備に費やしました。犠牲になる俳優ふたりの肉体のダミーを造り、技術的な部分の確認を何度も行ない、あの場面だけで5日間かかけましたね。腕を一本切断する撮影だけでも3時間はかかる。それだけに、あの場面のインパクトが観客のリアクションとして表われていると知ったときは嬉しかったですね」

──ピエロを怖がる子どもは少なくないですが、監督も子どものころはそうだったのでしょうか?

「それはありません。ただ、『マニアック1990』(89)や『IT/イット』(90)を子どもの頃に観て怖いと思ったし、ピエロが不気味なキャラクターになりうることも理解していました。若いホラー映画の作家は誰でも、ゾンビやシリアルキラーの自分のバージョンを作ろうとします。それがただの模倣にならぬよう、自分の色を加えていく。私の場合は、それがピエロでした。ホラーのお約束を踏まえつつ、どう自分の色を出すか? たとえば、先に挙げたシャワー室の場面は、『サイコ』(60)を意識してはいますが、私の色がしっかり出ていると思います」

──「テリファー」シリーズを見ても監督のホラー愛は十分に伝わってきますが、自身のマスターピースと言える作品は?

「なんでしょうね……もっとも好きな作品は『ジョーズ』(75)です。傑作であることは言うまでもありませんね。しかし、ホラーの個人的なマスターピースというと『エクソシスト』(73)でしょう。人間ドラマも俳優たちの演技もホラーとして作用している、きわめて稀な映画だと思います」

PROFILE

1984年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。独学で特殊効果・特殊メイク・特殊造形を学ぶ。長編初監督作『テリファー』(2016)でコアなファンの心を掴み圧倒的な支持を得る。

『テリファー 聖夜の悪夢』
2024年11月29日(金)公開
アメリカ/ 2024/2時間1分/配給:プルーク=エクストリームフィルム
監督:ダミアン・レオーネ
出演:ローレン・ラベラ、デヴィッド・ハワード・ソーントン、サマンサ・スカフィディ、エリオット・フラム、ダニエル・ローバック、クリス・ジェリコ

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