ハリウッドの第一線で活躍する製作陣たちが語る『ロード・オブ・ザ・リング／ローハンの戦い』神山健治監督の魅力

フィリッパ・ボウエン「ピーター・ジャクソンと仕事をしているときと同じような感覚になりました」

J・R・R・トールキンによるファンタジー小説の金字塔「指輪物語」を、ピーター・ジャクソン監督が唯一無二の世界観と壮大なスペクタクルで映像化させた「ロード・オブ・ザ・リング」3部作。原作ファンたちを熱狂させるだけでなく、アカデミー賞®史上最多受賞作となった同シリーズの200年前のエピソードを映画化したのが『ロード・オブ・ザ・リング／ローハンの戦い』だ。原作は「指輪物語 追補編」に記された『ローハンの戦い』でほんの数ページしかない短い物語。今まで深く語られてこなかったシーケンスを映像化することにあたり、本プロジェクトの監督に抜擢されたのが日本アニメーションの第一人者の神山健治だ。

「東のエデン」「攻殻機動隊S.A.C.」などで知られる神山監督は、監督を務めるだけでなく脚本家としての一面もある。長年、神山監督とともに作品を作ってきたプロデューサーのジョセフ・チョウは、「今でも神山監督以外考えられなかった」と振り返っており、「彼はアニメ制作業界において数少ない、優れた監督兼脚本家の一人なんです。彼は監督を務めた映画やTVシリーズすべての脚本を書いています。ですからストーリーと脚本を緻密に作り込む方法を熟知しているんです。日本では、監督がどんな工程も厳格に管理する傾向がありますよね。でも、本作は非常に大規模で、コラボレーションを前提に立ち上げられており、日本だけにとどまらない作品です。何といっても、配給元は『ロード・オブ・ザ・リング』３部作を手掛けたワーナー・ブラザース。世界中にコラボレーターを擁する国際的企業です。すべての関係者と連携する必要があるため、監督は柔軟で、今回のようなチャレンジに喜んで取り組める人物でなくてはなりませんでした」と彼が監督兼脚本家であることに加え、作品作りにおいて柔軟に物事に取り組める人物であるからこそ本作の監督にふさわしかったと説明。

また、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の脚本チームの一員としてアカデミー賞®を受賞した経歴を持ち、本作の製作であり作品のストーリーを執筆しているフィリッパ・ボウエンも、「彼は日本のアニメへのリスペクトをもっている。神山さんがいいと思ったのは、トールキンの書いた物語は半分しかないからです。足りない部分がたくさんあるでの、そこは私たちが創造しなくてはいけない。その点、神山さんは脚本も書ける人だから、そこが大きな強みになると思ったんです。実際、そうなりました」と神山監督に称賛の声を送っている。

さらに脚本づくりにおいては、トールキンの原作を知り尽くしているボウエンと神山監督のコラボレーションには目を見張るものがあったそうで、「（ボウエンは）原作に基づくアイデアもすぐ出てくるし、どのキャラクターがどこに出るなんていうのも一発。今回のヘルム王のストーリーにしようというのも彼女のアイデアだったし、ストーリーは彼女が創り出したもの。それを神山さんとやりとりしながら完成版に近づけていった」とチョウは語る。

一方、ボウエンは本作に携わるまでアニメの知識がなかったが、アニメを観て育った彼女の子どもたちが、その素晴らしさを教えてくれたそう。そんな中、神山監督の作品を観てビジュアルのインパクトに圧倒され、胸に迫るものを感じたそうで、「実際に一緒に仕事をしてみると、神山さんのストーリーテリングに対してのアプローチの仕方がとにかくワクワクするものでした。私は、ピーター・ジャクソンと仕事をしているときと同じような感覚になりましたね。もうマスタフル（Masterful/最高の技能をもつ）な感じ。巨匠と一緒に仕事をしているような感覚になったんです。また、神山さんはストーリーテラーであり脚本家であり監督なんですが、そのなかでもとりわけ、ストーリーテリングという才能にあふれた人だと思っています。そして、彼はやっぱりアーティスト。何がビジュアル的に美しいのかということもはっきり見えているし、音楽も大好きでこだわっている。本当に傑出した監督です。彼を実写界がアニメ界から盗まないことを願っています（笑）」と、彼との作品を創り上げる過程でアカデミー賞®受賞監督と働いているような感覚に陥ったこと、そして神山監督が素晴らしいアーティストであるということを冗談交じりに熱を込めて語っている。

トールキンの原作を理解し、「ロード・オブ・ザ・リング」の〈中つ国〉の世界をジャクソン監督とともに創造したボウエンと、そんな彼女がジャクソン監督と働いていると錯覚するほどの才能を持つ神山監督のコラボレーションによって紡ぎ出される、本作の中に息づくであろう世界観にも期待がかかる。

『ロード・オブ・ザ・リング／ローハンの戦い』
12月27日（金）全国劇場公開！吹替/字幕版同時公開※一部劇場除く
<Dolby Cinema®/Dolby Atmos®/4DX/MX4D/IMAX®>
配給：ワーナー・ブラザース映画
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