葛藤の末に正義の象徴である“盾”を受け継ぎ、新たなキャプテン・アメリカとなったサム。人間味あふれる新キャップのこれまでをプレイバック!(文・平沢薫/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より © 2025 Marvel
HISTORY
サム・ウィルソンが“盾”を受け継ぐまで
サム・ウィルソンのMCU初登場は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の冒頭、ランニング中のスティーブとの偶然の出会い。退役軍人のサムは、すぐにスティーブに信頼され、敵に追われる彼とナターシャを自宅に匿いスティーブの協力者に。かつて空軍の落下傘部隊の将校として装着した飛行スーツを身にまとい、空中戦でスティーブを援護した。再登場の『〜エイジ・オブ・ウルトロン』で新生アベンジャーズに召集され、以後“ファルコン”としてアベンジャーズの戦いのすべてに参加し、スティーブとの絆を育んでいく。途中、サノスの“指パッチン”で消滅させられるが、5年後に消滅者たちと一緒に復活。サノスとの最後の戦いにも参加した。
そして、サノスとの戦いの後、スティーブが自分の後継者として“キャプテン・アメリカの盾”を渡したのは、サムだった。サムは最初、「借り物みたいだ」と言いながらも、「ベストを尽くす」と盾を受け取った。
![画像: 「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782943/rc/2025/01/22/a612c54f0ddb09ab2aa7425e6d5e2f4c4cf53ef0_xlarge.jpg)
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より
しかし、彼は「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でその盾を一旦手放す。その理由は「キャプテン・アメリカは、スティーブのものだから」。サムは盾を米政府に寄贈し、政府高官も「正しい判断だ」と言って盾を受け取る。だが彼は、この判断が正しかったのかを悩むことになる。
まず、政府がその盾を渡して新たに任命したキャプテン・アメリカ、白人の元陸軍兵士ジョン・ウォーカーが、政府からのプレッシャーに負け、スーパーソルジャーの血清を打って、キャップの盾で難民の一人を殺してしまうという事件を起こす。
またサムは、“もう一人のキャプテン・アメリカ”ともいうべき黒人の老人イザイア(今回の映画にも登場)にも出会う。彼はかつてスティーブが受けたのと同じ人体実験によりスーパーソルジャーになったが、歴史からは抹殺され、30年間に渡って実験台にされていた。イザイアに「彼らは絶対に黒人をキャプテン・アメリカにはしない。自尊心のある黒人は、そんなものは引き受けない」と言われたサムは、その言葉に裏にあるイザイアの思いに答えるために、盾を引き受けることを考えるようになる。
そんなサムの元に、ワカンダから新たなキャップのスーツが届き、それを身につけた彼は「俺には超人血清も金髪も青い目もない。俺が持つ力は、“俺たちはより良い世界を造れる”と信じていることだけだ」と宣言する。こうして、政府から任命されたのではなく、自ら継承を決意して誕生したのが、新たな“キャプテン・アメリカ”なのだ。
GHECK! もう一人のキーパーソン“サディアス・ロス”
![画像: ウィリアム・ハートが演じたロス(『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』より) © 2025 Marvel](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782943/rc/2025/01/22/85a0901b0f846ffaafb8111949d4470ad262d477_xlarge.jpg)
ウィリアム・ハートが演じたロス(『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』より)
© 2025 Marvel
ヒーロー活動に反対で「スーパーヒーローの活動には、国連委員会の許可が必要である」とするソコヴィア協定に賛同し、それに署名しなかったヒーローたちを戦犯として指名手配した人物。アメリカ軍の将校だったため、ロス将軍とも呼ばれていた。『インクレディブル・ハルク』で陸軍将軍、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で国務長官になり、本作では大統領になっている。娘エリザベス、通称ベティは細胞生物学者で、ハルクことブルース・バナーの元恋人。
彼が赤いハルク、レッド・ハルクに変貌した経緯は今回の映画で描かれるはず。また、2025年5月2日公開のマーベルの新作映画『サンダーボルツ*』にも登場することが決定している。
MCUでは『インクレディブル・ハルク』での初登場以来、ウィリアム・ハートが演じていたが2022年にハートが死去したため、『〜ブレイブ・ニュー・ワールド』以降はハリソン・フォードが演じる。
MEMORIAL
名場面振り返り
「左から失礼!」から始まった絆
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)
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まだ暗い夜明けの光の中で、ランニングするサムをスティーブが「On your left.(左から失礼)」と追い越しまくる出会いの場面は名シーン。後にキャプテン・アメリカを譲り/引き継ぐことになる2人は、最初から軍隊経験の話で意気投合する。
後輩ヒーローに出し抜かれる!?
『アントマン』(2015)
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サムは倉庫に侵入しようとするアントマンを発見、彼の縮小能力に驚きつつ戦うが、飛行装置を壊された上、ある物まで盗まれてしまう。サムはこの失態をスティーブに知られたくなくて「キャップには言うな」と口止め。
バッキーとスパイダーマンに対峙!
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)
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ヒーローたちがキャップ派とアイアンマン派に分裂した本作では、サムは当然、スティーブ率いるキャップ派。スカウトしたアントマンとも再会。両派が激突する空港では、バッキーと共闘してスパイダーマンを翻弄した。
決戦の後、“盾”を受け継ぐ
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
![画像: 写真は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』より ディズニープラスで見放題独占配信中 © 2025 Marvel](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782943/rc/2025/01/22/ff604f75605f652a1d59ccf531528445f2efc7b5_xlarge.jpg)
写真は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』より
ディズニープラスで見放題独占配信中
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サノスとの決戦は2度とも奮闘。初戦ではローディと共闘、再戦ではクリントを援護して戦う。『エンドゲーム』のラスト、別次元から戻った年老いたスティーブに、キャップの盾を渡されて「ベストを尽くす」と受け取るシーンは感動的。
バッキーと熱いバディに
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)
![画像: ディズニープラスで独占配信中 © 2025 Marvel](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782943/rc/2025/01/22/18de768e93909bc8aae3f80ac840f6d2e1c5baee_xlarge.jpg)
ディズニープラスで独占配信中
© 2025 Marvel
サムが、空中戦でも、地上での1対1の肉弾戦でも、抜群の戦闘能力を発揮するシーンが続出。さらに、彼がどのようにしてキャップの盾を手放し、それを取り戻すのかという心理の動きも見どころ。それと並行して描かれる、サムがバッキーの頑なな心を和らげていく過程も魅力。ラスト近く、一緒に船を修復しながらサムが「(改造した)左腕を使えばいいだろ?」と言うと、バッキーが「忘れちゃうんだよ、俺は右利きだから」と返す場面は、ここまで親しくなった2人の姿が感動的。
This is Sam!
サム・ウィルソンとはこんなヒーローだ!
![画像: 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』より](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782943/rc/2025/01/22/83625dab6d092c8774051317042098b03c1f35bc_xlarge.jpg)
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』より
“俺には超人血清も金髪も青い目もない。
俺が持つ力は、‘俺たちはより良い世界を造れる’
と信じていることだけだ。”
(「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より)
PERSONALITY〈性格面〉
★家族を大事にする!
家族思い。亡き両親が残した船を手入れし、未亡人の姉が銀行に融資を頼む時には協力。甥っ子2人に懐かれている。
★ユーモアを忘れない!
ジョークが好き。作戦中に上官に「目立つな」と言われると「了解!」と答えてめちゃめちゃ派手に戦うのがサム流。
★バディを組むのが得意!?
スティーブとは初対面から意気投合。他人に心を開きにくいバッキーともいい相棒に。バディになるのが得意?
BATTLE ABILITY〈戦闘面〉
★アクロバティックに“舞う”!
直線的な飛行ではなく、空間を縦横無尽に曲芸のように飛び回るのがサム流。敵をかわしつつ、攻撃力も発揮する。
★“レッドウイング”と連携!
高性能ドローンをペットのように可愛がり、“レッドウイング”というニックネームをつけている。偵察や戦闘支援に活用。
★キャプテン・アメリカの“盾”!
サムのさまざまな思いが込められているのがこのアイテム。猛特訓の末に盾投げもマスターし、攻守両面で魅せる。