CHECK POINT

ゼメキス監督をはじめスタッフにも『フォレスト・ガンプ』チームが勢ぞろい
『フォレスト・ガンプ』のチームが再集結
監督のゼメキス、脚本のロス、主演のハンクスとライトの4人が同じ作品に取り組むのは、1994年のオスカー受賞作『フォレスト・ガンプ』以来初のこと。ライトは「ボブ(ゼメキス監督)がこのプロジェクトの話を持ってきたときに言った。“あなた達とだったらなんでもやるわ”って。バンドの再結成みたいだった」と当時の心境を振り返る。ほかにも撮影のドン・バージェス、音楽のアラン・シルヴェストリなど『フォレスト・ガンプ』を支えたスタッフが再集結した。
トム・ハンクス&ロビン・ライトが10代に若返り
ハンクスとライトは本作で10代から70代までをひとりで演じわけた。それを実現させたのが最新VFXを駆使した若返り技術。撮影現場にはデュアルモニターが設置され、俳優がデジタルメイクを施した状態と、加工前の姿をリアルタイムで確認できる環境が整えられた。ハンクスとライトはその映像を見ながら、演じるキャラクターの年齢に合わせて瞬時に動きを調整するという、これまでにない革新的な演技に挑戦した。
すべてを“定点撮影”で描くという挑戦
本作のドラマはすべて一つの場所で展開する。そのため、ゼメキスは一つのカメラアングルだけを使うという独創的な撮影スタイルを採用した。「簡単なことのように聞こえるが、すべてのシーンをすべての時代のすべての登場人物に対応させるためには、想像を絶するほど複雑なセットになる」とゼメキスは語る。撮影監督のドン・バージェスによれば、このユニークな撮影のための特別なレンズがパナビジョン社によって開発されたという。
トム・ハンクス インタビュー
『キャスト・アウェイ』『フォレスト・ガンプ』に負けないくらい面白いと思うよ

Photo by Michael Buckner/Variety/Penske Media via Getty Images
──あなたとロバート・ゼメキス監督、ロビン・ライト、脚本のエリック・ロスの4人が揃うのは『フォレスト・ガンプ』以来初、実に30年ぶりとなります。
「ゼメキスは間違いなく信頼ができる。ミーティングや話し合いのときには“ノーエゴ”ルールというのがあって、どんな提案にも耳を傾けなければならない。ボブ(ゼメキス)がいつも“どう思う?”と言って意見交換が始まり、それがすごく助けになる。ロビンはこれまで多忙で、スケジュールがうまくはまらなかったりしたが、いつも私は一緒にやりたいと最初に思い浮かべていた。念願が叶い、一緒に作品を作ることができてうれしかった。ボブと作った映画『キャスト・アウェイ』『フォレスト・ガンプ』はどれも簡潔で豊かな表現にあふれる映画だが、本作もそれらに負けないくらい面白いと思うよ」
──本作では様々な家族の物語が描かれますが、いずれも普遍的でこのドラマに多くの人が共感しそうですね。
「“自分も同じ”という共感ほど心を揺さぶるものはないと思う。“僕もあれはわかる、僕もそれが謎だった”なんてね。この映画を観た人たちは、子どもの頃の家を思いだすんだ。本作を観たある男性は、母親が実家を売ろうと考えている状況と重ねあわせていた。思い出として残しておくのか、それとも次の世代に渡すのか。譲り受けた人は“ここ(HERE)”に新しい思い出を刻むだろう……宇宙みたいな壮大なスケールを感じないかい? 僕が好きなシーンはマーガレットがここで赤ちゃんを産み、その数千年前には同じ場所で先住民族が赤ん坊を産んでいる。あちこちで人が亡くなったりもする。時の流れの中で、そういったすべてが等しく均されてゆくんだなと感じたよ」
──本作をこれから観るファンにメッセージをお願いします。
「本作は大きなスクリーンで絶対に観るべき映画だ。画面が小さくなったら、せっかくの絵画的なアスペクトが変わってしまう。いくつものパネルでの展開は、スクリーンじゃないと捉えきれない。ダ・ヴィンチの最後の晩餐を見るとしたら、僕はiPhoneじゃなくてもっと大きなサイズで見たい。全容が掴めないから。視覚的なことだけじゃなく、見知らぬ人たちと同じ部屋に集まって観るというのもいい。それぞれの人生が一瞬交差して、同じ場所で体験を共有するというのがね。何て言うんだっけ、実体感? 気づきにおいてもエンターテインメントにおいても、個人的、文化的により重みがあることだと思うよ」
『HERE 時を越えて』
2025年4月4日(金)公開
アメリカ/2024/1時間44分/配給:キノフィルムズ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス、ロビン・ライト、ポール・ベタニー、ケリー・ライリー、ミシェル・ドッカリー
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