名優のキャリアを中心にその道のりを振り返る連載の第42回。今回は『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』で先駆的な女性戦場カメラマンを熱演しゴールデングローブ賞主演女優賞候補になったケイト・ウィンスレットをクローズアップします。数々の出演作でタフで繊細な女性役などを演じてきた現代英国映画界を代表する名女優です。(文・井上健一/デジタル編集・スクリーン編集部)
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『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』あらすじ

ケイト・ウィンスレットが20世紀を代表する女性報道記者の人生を熱演

画像: 『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』あらすじ

トップモデルとして有名雑誌を飾り、自由な生活を謳歌していたがやがて報道写真家に転身したリー・ミラー。いかにして彼女は従軍記者となり、ついにはヒトラーの浴室を撮影できたのか。20世紀を代表する女性報道写真家の数奇な運命を『アンモナイトの目覚め』のケイト・ウィンスレットが演じる実話の映画化。監督は『エターナル・サンシャイン』で撮影監督を務めたエレン・クラス。共演にはアンディ・サムバーグ、アレクサンダー・スカルスガルド、マリオン・コティヤール、ジョシュ・オコナーら実力派が揃った。

1938年フランス。モデルのリー・ミラー(ウィンスレット)は友人たちと休暇を過ごしている時に、アートディーラーのローランド(スカルスガルド)と恋に落ちる。やがて第二次世界大戦が始まり、写真家として仕事を得たリーは米“ライフ”誌の編集者シャーマン(サムバーグ)とチームを組み、次々スクープをものに。そしてヒトラーが自死した日、彼の浴室に入り自らのポートレートを撮って戦争の終結を世に伝えるが…。

ケイト・ウィンスレット インタビュー

「悩まずに行動に移すところは私もリーも同じだと思う」

画像1: ケイト・ウィンスレット インタビュー

『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』で主人公リーを演じ、さらに製作も兼任したケイト・ウィンスレット。本作にかけた情熱は並々ならぬものがあったそうだが、出会いはどんなものだったのだろう。

「まずリー・ミラーについては報道写真家だという以外は、詳しいことを知らなかった。7〜8年前にオークション会社に勤めている友人から連絡があって私が手に入れるべき古いテーブルがあるというので落札したんだけど、実はそれはリーの夫だったローランド・ベンローズの親戚が出品したものだったの。その時初めて彼女の映画が作られていないことに気づいて、(本作の原作の著者である)リーの息子アンソニーとコンタクトを取ると、以前書かれた脚本は保管しているけどピンとこないのでお蔵入りしているということだった。そこで協力し合って映画を作ることになったの。」

「私たちが脚本にあれこれ手を入れている間に世界もいろいろ変わった。#Me Too運動が起きウクライナ侵攻も始まった。これらを通じて女性の言葉を聞く態度が変わり、世界中が苦しむ人を協力して助けようとしていると思う。それこそリーが目指していたこと。だからこの映画を作れたことが本当に誇らしい。」

「それに私とリーは似ているところがあるの。それは悩まずに行動に移すタイプということ。『うまくいかなかったらどうしよう』と感じる自分がいる時、リーの声が聞こえたの。『やってみなさいよ』って。すると『やっちゃおう』と思えたわ(笑)。リーを演じていて私の中に彼女の要素が強くなっていくのはなんだか嬉しかったわ」 

画像2: ケイト・ウィンスレット インタビュー

『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』
2025年5月9日(金)公開
イギリス/2023年/1時間56分/配給:カルチュア・パブリッシャーズ
監督:エレン・クラス
出演:ケイト・ウィンスレット、アンディ・サムバーグ、アレクサンダー・スカルスガルド、マリオン・コティヤール、ジョシュ・オコナー、アンドレア・ライズボロー

© BROUHAHA LEE LIMITED 2023

演技派ケイト・ウィンスレットの必見作3

『タイタニック』(97)

画像: 『タイタニック』(97)

豪華客船タイタニック号の悲劇を、ジェームズ・キャメロン監督が映画化。貧しい青年ジャックと上流階級の娘ローズの悲恋が観客の涙を誘い、当時、史上最大のヒット作に。シャーリーズ・セロン、アンジェリーナ・ジョリーらと競ってローズ役を勝ち取ったケイトは、ジャック役のレオナルド・ディカプリオと共に世界的スターとなった。

『エターナル・サンシャイン』(04)

画像: 『エターナル・サンシャイン』(04)

アカデミー賞脚本賞に輝いた異色のラブストーリー。失恋のショックから、恋人に関する記憶の消去を業者に依頼した男が施術中、幸せだった頃の記憶を遡っていくが…。ケイトは主演のジム・キャリーを相手に、エキセントリックな恋人を嬉々として演じる。撮影監督のエレン・クラスは、後にケイトによって『リー・ミラー…』の監督に抜擢された。

『愛を読むひと』(08)

画像: 『愛を読むひと』(08)

第二次世界大戦後のドイツを舞台に、1人の少年と大きな秘密を抱えた年上の女性の恋の行方を描いたドラマ。世界的ベストセラー「朗読者」の映画化で、ケイトの主演は原作者ベルンハルト・シュリンクの希望だった。企画当初は若すぎたものの、相応しい年齢になるまで5年待ち、再度オファーの末に出演が実現したという逸話が残る。

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