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アントニオ・バンデラス
“僕の中には子供の心がまだ生きているよ。どこかにはあるはずだし、そんな気持ちで常に映画を観てる”

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アントニオ・バンデラス プロフィール
1960 年8月10日、スペイン・マラガ県生まれ。1982年『セクシリア』でスクリーンデビュー。その後も『マタドール』(86)や『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(88)などペドロ・アルモドバル監督作に出演。『マンボ・キングス』(92)でハリウッドに進出し『デスペラード』(95)『マスク・オブ・ゾロ』(98)などで世界的スターとなる。2020 年には、ペドロ・アルモドバル監督の自伝的作品『ペイン・アンド・グローリー』で、第72回カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞。
──ハンターというキャラクターについて教えてください。
「彼は娘と一緒にボートの会社を経営し、ペルーに来た観光客にボートを貸している。観客は物語が始まると、ハンターという人物が自身の在り方について悩んでいると分かる。劇中でハンターの5人の先祖が現れるが、その姿はハンターにしか見えない。先祖の姿が浮かんできて心をとらわれているんだ。取りつかれたような人生観と、過去にこだわらない娘との関係の中で、彼は常に板挟み状態にある」
──体を張った役どころやコメディーの経験はいかがでしたか?
「昔から映画に限らず、舞台でも体を張って演じてきたよ。そのうち数作品では製作も務めた。魅力的に見せるために体を使って表現する。セリフだけでなく仕草や振る舞いまで演じるためにね。例えば女性のパイロットを演じるとしたら。それに合わせて手や体が動き、口調も変わる。その役が自分に乗り移るみたいにね。僕は大胆な性格なんだ。ゴンザーロという最も荒っぽい役も演じたよ。彼は本作の中で2番目に大きな男だが、ゴンザーロはいわゆるマッチョで、昔ながらのあごひげの生えた征服者でね。屈強で動きも独特なんだ。実際の撮影が始まる前に現場に入って、撮影前のテストをした。そこで自分の姿を見て考える。“この役はこういう声で演じよう”、“彼は物静かだからこの声は変だ”、“彼女は小柄だからこんな感じの演技にしよう”と、バランスを取るようにしてる。それから監督が全体を見てパズルを組み立てるんだ」

──最も印象的で楽しかったシーンは?
「ハンターの苦しみは 面白く演じようと思った。彼のまぬけなシーンはとにかく楽しく演じたよ。ユーモアを出すようにしたね。本作にはそんな楽しいシーンが多い。僕自身も父親で子供と映画を観に行ったけど、子供向けの映画で好きなのは親が笑える瞬間があること。この作品もそうだ。僕が思うに『パディントン』は子供だけのものじゃない。最近の映画は特に観客の層が広がってきてる。技術的な側面もあると思うが、みんな面白いものは夢中になって見るからね。楽しむためのものだからきっかけは何でもいい。僕らも子供のときの気持ちをたまに思い出すべきだ。僕の中には子供の心がまだ生きているよ。どこかにはあるはずだし、そんな気持ちで映画を観てる」
──全世代の観客に、この映画を見て何を感じてほしいですか?
「みんなが求めているのはアドベンチャーだと思う。多彩なキャラクターたちがそれぞれの個性を生かして活躍するんだ。力強いメッセージがあってユーモアにあふれた作品だ。ぜひ家族で楽しんでほしい。愛情と発見にあふれたすばらしい作品だと思うよ」
『パディントン 消えた黄金郷の秘密』
2025年5月9日(金)公開
イギリス/2024/1時間47分/配給:キノフィルムズ
監督:ドゥーガル・ウィルソン
出演:ベン・ウィショー(声)、イメルダ・スタウントン(声)、ヒュー・ボネヴィル、エミリー・モーティマー、アントニオ・バンデラス、オリヴィア・コールマン、ジュリー・ウォルターズ、サミュエル・ジョスリン、マデリン・ハリス、ジム・ブロードベント、カルラ・トウス
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