(文・SYO/デジタル編集・スクリーン編集部)
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イントロダクション

『ミッドサマー』(19)から『サンダーボルツ*』(25)まで幅広く出演し、個性豊かなキャラクターを生き生きと演じてきたフローレンス・ピュー。そして、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ(12〜14)や『ハクソー・リッジ』(16)で人間味あふれる人物に息吹を与えたアンドリュー・ガーフィールド。映画ファンからの信頼も厚いふたりが、運命のカップルに扮したヒューマンラブストーリー『We Live in Time この時を生きて』。エッジーな作品選びで知られる映画会社A24が米国の配給権を獲得したことでも話題を集めた本作は、アクシデントをきっかけに出会ったシェフのアルムート(フローレンス・ピュー)とシリアル会社で働くトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)がお互いの価値観をぶつけ合いながらも人生を共に歩んでいくさまを描いていく。

お互いに夢中になる恋愛のスイートな側面だけでなく、ライフプランの違いからすれ違うなど、ビターな部分をも魅せきるのが大きな特徴。さらに、仕事に対する価値観のズレと和解、やがて訪れる卵巣がんの発覚と闘病、妊娠と出産、各々の夢と余生の過ごし方—人生の各ステージで待ち受ける幸/不幸織り交ぜたイベントとそこに伴う噓偽りのない心情を確かな実感を込めて現出させた。興味深いのは、それら一部始終を時系列順に並べていくのではなく、時間軸をザッピングするトリッキーな構成で紡いでいく点。

第88回アカデミー賞で3部門にノミネートされた『ブルックリン』(15)を手掛けたジョン・クローリー監督、ワザありの一作として知られる『ベロニカとの記憶』(17)の脚本家ニック・ペイン、『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』(13)や『モーリタニアン 黒塗りの記録』(21)の編集技師ジャスティン・ライトらスタッフ陣の手腕が光る。さらに、ベネディクト・カンバーバッチが製作総指揮を務めているのもポイント。フローレンスとアンドリューの抜群の相性も含め、エモーション×テクニックが両立した奇跡的な一作に仕上がっている。

アムルートとトビアスの関係における3つの時間軸

2人の信じられない出会いから交際へ

妻から渡された離婚届にサインするためペンを買いに出かけたトビアスは、失意の中で路上に出てしまい、車にはねられる。その運転手は、自分の店のオープンを控えるシェフのアルムートだった。気さくで明るい彼女に惹かれ始めたトビアスは、お詫びとしてディナーに招待された際に勇気を出して自身の胸の内を明かし、2人は結ばれる。

娘・エラが誕生するまでの1日

破局の危機や卵巣がんの治療を乗り越え、妊活をスタートした2人。大みそかに陣痛に襲われたアルムートはトビアスと病院に向かうも、子宮口が十分に開いておらず自宅待機に。その夜に再び陣痛が起こるが、渋滞に巻き込まれてしまう。2人は近くのガソリンスタンドに駆け込み、店員たちの協力を得てここで出産する決意を固めるのだった。

病気と闘いながら自分らしく生きるアムルート

3年後、母として、高級レストランの料理長として活躍するアルムートを再び病魔が襲う。がんはステージ3まで進行しており、早急な化学療法を勧められる彼女。延命のための苦しい治療生活か、治療を行わずいまこの瞬間を生きるか—。逡巡の末にアルムートが出した決断をトビアスは涙ながらに受け入れ、支える決意を新たにする。

登場人物

(右から)アルムート(フローレンス・ピュー)、トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)

アルムート(フローレンス・ピュー)

元スケート選手のシェフ。仕事優先で恋愛は遊び感覚だったが、トビアスとの交際で変化。

トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)

安定志向の会社員。自由奔放なアルムートを尊重しつつ、自身の意見も伝える人格者。

エラ(グレース・ディレイニー)

エラ(グレース・ディレイニー)

アルムートとトビアスの娘。限りある生を満喫することを選んだ母と父に愛を振りまく。

『We Live in Time この時を生きて』
2025年6月6日(金)公開
イギリス=フランス/2024年/1時間48分/配給:キノフィルムズ
監督:ジョン・クローリー
出演:フローレンス・ピュー、アンドリュー・ガーフィールド

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