(文/デジタル編集・スクリーン編集部)
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アンドリュー・ガーフィールド

画像: Photo by Taylor Hill/FilmMagic

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“ある意味物事の中心である必要もない、そんな人物をどうやって演じるかを考えるのは、大きなチャレンジでした”

──この役を演じたいと思った理由を教えてください。

「僕はこれまでにトビアスのような役を演じたことがなかったので、とても惹かれました。とても内向的で繊細で、物静かな男なんです。僕が前作で演じたのはジョナサン・ラーソン(『tick, tick… BOOM! :チック、チック…ブーン!』)でした。彼は大物芸術家で、すごくパワフルな人生を生きていて、とにかくすごく目立っていました。外向的で、情熱家で、表現力も豊かだし、自由で野生的だったんです。だから、もっと控えめで内面の強さがあり、注目される必要もなく、ある意味物事の中心である必要もない、そんな人物をどうやって演じるかを考えるのは、大きなチャレンジでしたし、僕の関心をそそりました。トビアスは、影響力も強さも持っている人物です。だからそれを念頭に入れて、そういうパワフルな要素に敬意を表することが重要だと思いました」

──フローレンス・ピューとの共演はいかがでしたか?

「僕は、『レディ・マクベス』や『ミッドサマー』をはじめとする彼女の作品を見て、大ファンになったんです。彼女のようにどんな役でも見事に演じられる俳優は、なかなかいません。とても才能豊かで、カリスマ性があります。生まれながらのパフォーマーでありアーティストなんです。感受性が豊かで、知性に満ちていて、すごく頭がいい人なんです。でもうまくいくかは、一緒に仕事を始めるまで分かりませんでした。相手のことをとても尊敬しているとしても、俳優として、または人として相性が合うかは別の話です。でも、相性がぴったりだということが分かり始めてからは、ただただ感動の連続でした」

──今回彼女はシェフ役ですが、本人も料理が好きなんですよね?

「そうなんです。面白いことに、フローレンスは素晴らしい料理を作るんです。僕も彼女が作った料理を食べたことがあるんですが、本当に本格的なんです。彼女は料理にとても情熱を持っていて、愛しているんですよ。ただ、彼女が包丁を使うときにはちょっと気をつけた方がいいかもしれません(笑)。自由奔放なところがあって、たまに指を切りそうになるんですよ。でも、それは多くのシェフに共通していることだと思います。だから、彼女もその仲間入りってことですね」

──出産シーンはいかがでしたか? 何か準備はしましたか?

「ガソリンスタンドのトイレでの出産シーンは、まさにハイライトでした。脚本を読んだとき、これは物語の中心となるシーンだと感じました。まるでアクション映画のクライマックスのようで、赤ちゃんが生まれるまでの一連の流れが、まるで『インディ・ジョーンズ』のアクションシークエンスのように壮大に感じられました。読んだ瞬間『これはすごい。こんなシーン、映画で見たことがない』と思いました。出産シーンがこれほどのユーモア、緊迫感、極限の状況、リアルさ、皮肉、そして恐怖と美しさ、優しさ、奇跡のすべてを含んで描かれることは、これまでになかったと思います。そんなシーンをどうやって撮るのか─まったく想像もつかなかったけれど、『これは素晴らしい。でも、どうやるんだろう?』という気持ちになりました。現場には素晴らしい専門家の女性が来てくれて、いわば出産コーチのような役割を担ってくれました。彼女は出産に関する豊富な知識を持っていて、これまでにも数々の素晴らしい作品に関わってきた、本当に一流のプロフェッショナルでした。フローレンスとは特に密接に協力しながら、リアルな表現を作り上げていきました。一方で、僕自身は必要な情報は教えてもらったものの、あえてすべてを知りすぎないようにしていました。というのも、撮影しながらリアルに体験し、トビアスが感じている恐怖や責任感をできるだけ本物として表現したかったからです。実際にその場で発見しながら演じることで、よりリアルな感情が生まれると思っていました」

──今回の演技は、これまでの人生経験を反映したものですか?

「僕は幸い、自分の人生の中で人を愛した体験がたくさんあります。だからその分、喪失もたくさん体験しています。一部の人に比べたら少ないかもしれないけれど、でも自分としては、たくさん愛を失ってきたと感じています。それは、人間として形成される上で重要な体験で、誰もが必ず通ることでしょう。『幸い』と言いましたが、自分が誰かの人生に存在した上で相手を失ったことが、幸いな体験だと僕は思います。愛することをためらわず、また心が揺さぶられても、恐れを優先させずに誰かと一緒にいるという、意味深く美しいことを体験できるのは、素晴らしいことなんです。実際にそういう喪失を体験したことがない人でも、いつかは必ず体験すると分かっているはずです。人間として絶対に体験することで、僕たち一人ひとりの中に息づいています。僕たちは、精一杯生きるためにはどうやって時間を過ごせばいいのか、何をどうしたらいいのか、どうやったら最大限成長できるのか、どうやったら最大限愛せるのか、どうやったらためらうことなく愛せるのか、どうやったら自分を制限することなく愛せるのか、問いかけ続けるのです」

Andrew Garfield

1983年8月20日、アメリカ合衆国・カリフォルニア州生まれ。舞台俳優としてキャリアをスタートし、2007年『大いなる陰謀』で長編映画デビュー。2010年『ソーシャル・ネットワーク』でゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネート。「アメイジング・スパイダーマン」シリーズ(12・14)ではタイトルロールを演じ、ヒロイン役のエマ・ストーンとの交際でも話題を呼んだ。『ハクソー・リッジ』(16)や『tick, tick... BOOM!:チック、チック...ブーン!』(21)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。待機作は、ルカ・グァダニーノ監督のスリラー映画『After the Hunt(原題)』。

画像: ピューが本作のプレミアイベントに参加できなかったため彼女の等身大パネルを持参したアンドリュー Photo by GettyImages

ピューが本作のプレミアイベントに参加できなかったため彼女の等身大パネルを持参したアンドリュー

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