

映画の初主演としては史上最高齢。『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(13)でアカデミー賞®助演女優賞ノミネート、スカーレット・ヨハンソンの初監督作『Eleanor the Great』でも主演を務めるなど超“遅咲き”ながら今絶好調のジューン・スキッブ。93歳(2025年6月現在95歳)にして、その実年齢と同じ93歳のおばあちゃんを演じ、電動スクーターでのカーアクションや、銃撃などアクションもすべて自身でこなした。2024年のサンダンス映画祭で上映されるや話題沸騰し、米映画批評サイトのロッテントマトでは98%(批評家)の高評価を記録。最高齢のアクション、社会問題になっている特殊詐欺へのリベンジ…と痛快なノリで突っ走り、気がつけばテルマを中心に自分の殻を破るチャレンジに勇気がもらえて思わず笑い泣き!登場人物のほとんどがそれほど速く動けない前代未聞のスロー・アクション・コメディが誕生!
スキッブを囲むキャストにも注目。テルマの愛すべき孫のダニエル役は、フレッド・ヘッキンジャー。2024年は本作以外に、『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』、『クレイヴン・ザ・ハンター』、アカデミー賞作品賞ノミネートの『ニッケル・ボーイズ』と話題作に立て続けに出演、いま最も勢いのある若手スターだ。テルマの娘ゲイルに『ボーはおそれている』(23)などのパーカー・ポージー、彼女の夫アランには、MCUで最長を誇るシリーズ「エージェント・オブ・シールド」(13〜20)の主人公、コールソン捜査官で知られるクラーク・グレッグ。監督・脚本を手掛けた、本作が長編初監督のジョシュ・マーゴリンが、自身の愛する祖母テルマとの実体験を基に脚本を書き上げた。
そんな本作に重要人物として登場するのが、『時計じかけのオレンジ』などで知られるレジェンド俳優のマルコム・マクダウェル。単なる娯楽作品ではなく、社会的・哲学的なテーマを深く掘り下げた作品として、多くの人々に影響を与え今なおカルト的な人気を誇る映画『時計じかけのオレンジ』。この巨匠スタンリー・キューブリック監督による唯一無二の芸術作品の主人公アレックスは、単なる反社会的な若者ではなく、自由意志、道徳、社会の構造といった何層にもなるテーマを内包する、非常に奥深いキャラクターで、何よりもそのアイコニックな衣装と相まって強烈なインパクトを残し、後のポップカルチャーやファッションに影響を与えた。そんな映画史に残るようなキャラクターをカリスマ的存在感で演じきったのがマルコム・マクダウェルだ。
テルマ役を演じた主演のジューン・スキッブは、マルコムについて「本当にすごい役者だと思う」と共演シーンの撮影後、思わず彼女のアシスタントに呟いてしまったくらいだと話す。一体どんな役柄で登場するかは劇場で確かめてみよう。
さらにテルマと行動を共にするベン役は、『黒いジャガー』(71)の主演などで、1970年代の“ブラックスプロイテーション”のジャンルを牽引し本作が遺作となった、こちらも伝説の俳優、リチャード・ラウンドトゥリー。93歳で主人公テルマを演じ、アクションシーンをこなしたジューン・スキッブの凄さもさることながら、その脇を映画ファン必見のレジェンド俳優たちが固めている点にも注目だ。
『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』
6月6日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
配給:パルコ ユニバーサル映画
© Courtesy of Universal Pictures