女優編
表紙を飾るアイドル女優たちの人気が最高潮!

85年はアイドル女優たちの全盛期。1位となったのは前年に続いてダイアン・レインで、『ストリート・オブ・ファイヤー』で来日し爆発した人気が、この年恩師フランシス・フォード・コッポラ監督の『コットンクラブ』の公開でさらに加速。アメリカ本国よりも日本での人気が先行していたほどで、化粧品のCMでもおなじみの顔だった。

画像: ダイアン・レイン

ダイアン・レイン

ダイアンは何度もこの時期の本誌の表紙を飾ったが、2位のナスターシャ・キンスキーもカバーの常連。西ベルリン出身でヨーロッパ的な美貌を誇る彼女は85年に公開された『パリ、テキサス』で好演。同年末に公開された『マリアの恋人』も人気を後押しした。3位に入ったのは実力派として玄人ファンに愛されたメリル・ストリープ。ロバート・デ・ニーロと共演した大人のロマンス『恋におちて』と、シェールと共演した社会派問題作『シルクウッド』が公開され、幅広い層から支持を集めていた。

ナスターシャ・キンスキー

メリル・ストリープ

4位から7位の顔ぶれはダイアンやナスターシャ同様、本誌の表紙のレギュラー陣といえる当時元気いっぱいだったアイドル女優たち。4位のフィービー・ケイツは日本での人気が特に高く、CM出演で顔なじみだったことや前年暮れに公開された『グレムリン』人気の余波で高順位をキープ。5位のソフィー・マルソーは、この年公開されたジャン=ポール・ベルモンド共演のコメディ『恋にくちづけ』ではまだアイドル的な役だったが、この後、本格的女優へ移行を始めようとしていたところ。6位につけたのは初登場のジェニファー・コネリー。ダリオ・アルジェント監督のイタリア製ホラー『フェノミナ』で清純な“虫愛でる少女”を演じ、一気に注目の新星に。7位はブルック・シールズで、20歳を迎えた彼女はこの年、公開映画がなかったが、グラビアやCMなどで日本のファンにとってはもう身近な存在になっていた。

ソフィー・マルソー

フィービー・ケイツ

8位のメリッサ・ギルバートはTV「大草原の小さな家」で主人公ローラを演じ、お茶の間での人気が絶大だったが、この年、第1回東京国際映画祭で来日も果たした。9位にはジャック・ニコルソン共演のブラックコメディ『女と男の名誉』でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したキャスリーン・ターナーがランクイン。美貌と実力を兼ね備えた大人の女優として映画マニアにも評価された。そして10位に初登場したのが年末公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティの母ロレインを演じたリー・トンプソン。ロレインの中年期と少女期を演じ分け、コミカルな演技もいける逸材であり、親しみやすいアイドル的な素養も持ち合わせ、マイケル・J・フォックスと共に人気が急上昇した。

1985年度SCREEN読者選出トップ10(女優)

1位) ダイアン・レイン
2位) ナスターシャ・キンスキー
3位) メリル・ストリープ
4位) フィービー・ケイツ
5位) ソフィー・マルソー
6位) ジェニファー・コネリー
7位) ブルック・シールズ
8位) メリッサ・ギルバート
9位) キャスリーン・ターナー
10位) リー・トンプソン

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が生まれた時代とは?

 1985年、といえば現在公開中の映画『MaXXXine マキシーン』(前号参照)の背景となっている年。ハリウッドは連続殺人鬼の影に脅えながらも、やはり「夢の街」として誰もが憧れる場所だった。しかしアメリカはこの頃、対日貿易赤字が500億ドルにも上っていた。一方日本ではこの時期はまだ昭和。いよいよバブル景気が始まる直前で、この年のニューヨークで行われた「プラザ合意」が発端だったとされている。詳細は省くとして、急激な円高となり、ゼロ金利のため余った金が株式市場、不動産に流れ、戦後空前の好景気となる熱狂の寸前の「日本が一番元気だった時代」と呼ばれる頃だ。また当時アメリカはロナルド・レーガンが大統領、日本は中曽根康弘が総理大臣で2人の友好関係は有名。

当時の米大統領はロナルド・レーガン、日本国総理大臣は中曽根康弘だった

カルチャー面を取り上げてみると、ヒット商品として「ショルダーフォン」「ビデオレコーダー ハンディカム」「シルバニアファミリー」「ビックリマンチョコ」などが挙げられている。流行語としては「新人類」「実年」「投げたらあかん」「金妻」「フォーカスされる」などの言葉が巷で流行っていた。洋楽では“ワム!”やマドンナ、プリンスなどの曲がヒットチャートを賑わした。日本のドラマでは「毎度おさわがせします」「金曜日の妻たちへⅢ」、アニメでは「タッチ」「機動戦士Zガンダム」などが人気を呼んでいる。

懐かしいと思う人もいるだろうし、若い世代には「?」という感じかもしれないが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はそんな時代に初公開され、今も愛され続けている奇跡のような映画だ。そんな『バック・トゥ…』からも主人公マーティが着ていたダウンベストや、ナイキのスニーカー、カルバン・クラインのアンダーウェア、スケボー、ビクターのハンディカム、アイワのカセットボーイ等、マーティの衣装や所持品がファンの間で真似したいと話題に。もちろん主題歌“パワー・オブ・ラブ”(ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース)も大ヒットした。しかしなんといっても本作最大の注目アイテムはタイムマシンとなる「デロリアン」だろう。ただこの車を製造したデロリアン・モーター・カンパニーは当時すでに倒産。世に流通する車両数も決して多くなく、撮影でも3台を揃えたのみ。実物を入手できた人は本当にラッキーといえそう。そのため?プラモデル、ミニカーなどが発売されている。

1985年主な日本の出来事

1月)東京・両国に新国技館が完成
3月)茨城県で科学技術万博(つくば博)が開かれる
3月)日本人のエイズ患者第1号を確認
4月)日本電信電話公社と日本専売公社が民営化。NTT、JTとなる。
5月)第1回東京国際映画祭開催
6月)大鳴門橋開通
8月)日航機、群馬・御巣鷹山に墜落
9月)ファミコン・ソフト「スーパーマリオブラザース」発売
10月)プロ野球で阪神タイガースが日本一に
11月)中核派の同時多発ゲリラ事件発生

Photos by GettyImages

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