公開40周年記念で再上映される『ターミネーター』でハリウッド注目のディレクターとなり、以来『ターミネーター2』『タイタニック』『アバター」シリーズと映画史を塗り替えるような革命的な作品を生み出してきたジェームズ・キャメロン。映画界唯一無二の存在であるヒットメーカーのこれまでの道のりを振り返ってみましょう。(文・渡辺麻紀/デジタル編集・スクリーン編集部)
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「アバター」シリーズはじめ休む間もないほど予定作が目白押し

このやり方は、続く『アバター』でも踏襲されている。本作でのキャメロンの目的は3Dによる映像革命。そのためのVFX的なチャレンジをこれでもかと実行し、圧倒的なビジュアルで世界中を驚かせたとはいえ、やはりストーリーは判りやすかった。人類への警鐘も含めて問題提議するという『タイタニック』より一歩踏み込んだ物語ではあったが、基本は異文化の融合を個人レベルで描いたシンプルなもの。このアプローチがまたも大成功し『タイタニック』を抜くスーパーヒットとなり、自分で自分の記録を更新するという離れ業を成し遂げたのだ。22年に公開された第2作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』も大ヒットを記録し、この冬のシリーズ第3弾『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』につなげてみせた。『アバター』と『アバター2』には13年ものブランクがあるのだが、それをモノともしない大ヒット。ということは、ブランクがまだ3年の『3』のヒットは間違いない? ちなみにワールドワイドヒット映画のオールタイムの1位は『アバター』で、3位が『アバター2』、『タイタニック』が4位という成績。自作が3本もランクインしているのはいうまでもなくキャメロンだけである。

画像: 歴代ナンバーワンヒット作となった『アバター』 『アバター』ディズニープラスのスターで配信中 © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

歴代ナンバーワンヒット作となった『アバター』
『アバター』ディズニープラスのスターで配信中
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画像: 『アバター』演出中のキャメロン(右から2人目)

『アバター』演出中のキャメロン(右から2人目)

画像: 『アバター』続編『ウェイ・オブ・ウォーター』も記録的ヒット 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ディズニープラスのスターで見放題初独占配信中 © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『アバター』続編『ウェイ・オブ・ウォーター』も記録的ヒット
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』ディズニープラスのスターで見放題初独占配信中
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「アバター」シリーズは全部で5作品と発表されているから、あと2作残っているのだが、ここにきてキャメロンの新たな動きが世界中から注目を集めている。「アバター」ではない2作品を手掛けるとアナウンスしたのだ。その1本がジョー・アバークロンビーの小説「The Deviles」の映画化。そしてもう1本が、広島と長崎で被爆した山口彊氏を描くノンフィクション「Ghosts of Hiroshima」の映画化だという。後者の作品については「これは撮らなくてはいけない作品であり、これまでの作品のなかでもっともチャレンジング」と強い意志を表明しているほど。これらの進捗状況によっては『アリータ:バトル・エンジェル』をロバート・ロドリゲスに任せたように、「アバター4」をほかの監督に依頼するという選択肢も出てくるかもしれない。

今年で71歳のキャメロンだが、休んでいる暇は一切ナシ! 今でもハリウッドのトップランナーとして爆走している。

ジェームズ・キャメロン監督最新作
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』12月19日(金)公開

ジェームズ・キャメロン監督のライフワーク的なシリーズとなっている「アバター」の第3弾にして最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』がまもなく完成。いよいよ12月19日より日米同時公開となる。

惑星パンドラを舞台にした先住民ナヴィ族と侵略を目論む人類の攻防を描く本シリーズ。今回はナヴィの新たな部族、アッシュ族が登場する。彼らは森の民や海の民と違い、自然に裏切られたという思いから、憎悪を募らせ、人類側と接近する可能性も? また主人公ジェイクと子供たちの物語も描かれ、号泣必至という噂も伝わってきている。もちろん本シリーズ最大の見どころである革新的な映像美もさらに進化している。

 この最新作を十分に楽しむために、前2作をおさらいしておこうということで、第1作『アバター』が9月26日から、第2作『アバター:ウェイ・オブ・ザ・ウォーター』が10月3日から3D上映されることが決定(111ページ参照)。再び「アバター」旋風がやってくる予感だ。

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』12月19日(金)公開
配給ウォルト・ディズニー・ジャパン
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画像2: 稀代のヒットメーカー、ジェームズ・キャメロンの軌跡

ジェームズ・キャメロン略年表

1954年▶8月16日カナダのオンタリオ州に生まれる

1978年▶短編『ジノジェネシス』を製作、ロジャー・コーマンのニューワールドに入社

1979年▶コーマンの元で『ロックンロール・ハイスクール』の雑用係を

1980年▶『宇宙の7人』などにスタッフとして参加

1981年▶長編映画『殺人魚フライングキラー』初監督

1984年▶『ターミネーター』全米公開され大ヒット

1985年▶『ランボー怒りの脱出』の脚本を担当。ゲイル・アン・ハードと結婚

1986年▶監督・脚本作『エイリアン2』が大ヒット

1989年▶『アビス』が全米公開されるが成績不振。ゲイル・アン・ハードと離婚し、キャスリン・ビグローと結婚

1991年▶『ターミネーター2』が公開され世界的大ヒット。当時の夫人ビグローが監督する『ハートブルー』の製作総指揮を担当するが、ビグローと離婚。

1993年▶「ターミネーター」シリーズのリンダ・ハミルトンとの間に娘が誕生

1994年▶『トゥルーライズ』(監督・脚本・製作担当)が公開。

1995年▶原案・製作・脚本を務めた『ストレンジ・デイズ1999年12月31日』が全米公開。監督はキャスリン・ビグロー。

1997年▶2億ドルを超す製作費をかけた超大作『タイタニック』(監督・脚本・製作・編集)が公開。興行収入歴代No.1ヒットを記録。リンダ・ハミルトンと結婚。

1998年▶『タイタニック』でアカデミー賞を受賞。

2000年▶企画と製作総指揮担当のTVシリーズ「ダーク・エンジェル」スタート。『タイタニック』の出演女優スージー・エイミスと結婚。

2002年▶製作担当の『ソラリス』が公開。

2009年▶監督・製作・脚本・編集を務めた『アバター』が歴史を塗り替える大ヒット。

2011年▶『サンクタム』製作総指揮担当。

2012年▶『シルク・ドゥ・ソレイユ3D彼方からの物語』製作総指揮担当。

2019年▶脚本と製作を担当した『アリータ:バトル・エンジェル』が公開。その後やはり原案と製作を担当した『ターミネーター:ニュー・フェイト』も公開された。

2022年▶前作から13年を経て『アバター:ウェイ・オブ・ザ・ウォーター』が公開。これも監督・脚本・製作他を務め、記録的大ヒットとなる。

2025年▶シリーズ第3作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が12月公開予定。

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