「すべて実話」を謳い文句に数々の恐怖現象を描いて大ヒットした「死霊館」シリーズ。ホラー映画には、このように実際に起きた恐ろしい事件や、実在した殺人鬼などを基に映像化した作品も多く、その中にはホラー映画史に残るものも生まれています。これが実話ベースなのかと思って再見すると、恐怖の感じ方も一層増すかもしれません。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『ヴァチカンのエクソシスト』より © 2023 Screen Gems, Inc., 2.0 Entertainment Borrower, LLC and TSG Entertainment II LLC. All Rights Reserved.

悪魔はいつも隣にいる

死霊館」シリーズは、実在のウォーレン夫妻が調査した体験談を基にしているように、ホラー映画には実際にあった事件や、実在人物の恐怖体験をベースにしているものが少なくない。

「死霊館」シリーズのように悪魔祓いや霊にとりつかれた人物を扱った作品では、まずこのジャンルの金字塔『エクソシスト』が“メリーランド悪魔憑依事件”という有名な実話にインスピレーションを受けた作品であることが知られている。これは米メリーランド州に住む少年に起きた数々の怪異現象のために悪魔祓いが行われたのだが、『エクソシスト』の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティはこの実話を小説にする際、関係者から取材禁止とされ、新聞記事などを基にまとめあげたという。映画で少女リーガンに起きる怪現象はこの少年の体験を基にしているそうだ。これに似た作品としては『エミリー・ローズ』が挙がるだろう。これは70年代にドイツで起きたアンネリーゼ・ミシェルという少女の実話で、彼女が長年の治療にも関わらず改善の気配が見られなかった病気が、実は悪魔憑きと判断され、エクソシズムを実施するが彼女が死亡してしまったため裁判となった事件を描いたもので、ホラー要素と法廷劇の側面を持ち合わせた作品だった。

『エクソシスト』

『エミリー・ローズ』

またウォーレン夫妻のように実在の人物をモデルにしたホラーも。アンソニー・ホプキンス主演の『ザ・ライト エクソシストの真実』は、ホプキンス演じるルーカス・トレヴァント神父が実在の人物で、数々の悪魔祓いを行って来たベテランのエクソシスト。そんな彼が神や悪魔に対して懐疑的な神学生マイケルを教育することになるが、やがてルーカス自身に悪魔が取りつき、マイケルは十字架を手に悪魔と戦うことに…!という内容。近年のヒット作ではラッセル・クロウ主演の『ヴァチカンのエクソシスト』でクロウが演じたガブリエーレ・アモルト神父も実在の人物だった。彼は36年もの間、国際エクソシスト協会会長を務め、数万件の悪魔祓いを行ったという(2016年没)。映画はアモルト神父の回顧録を基に、彼が若き相棒トーマス神父と共に悪魔に憑依されたという少年の調査に乗り出し、衝撃の光景を目にするという内容。

『ザ・ライト エクソシストの真実』

『ザ・ライト エクソシストの真実』デジタル配信中

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『ヴァチカンのエクソシスト』

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ブルーレイ+DVD セット 発売中 5,390円(税込)
権利元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング

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また『エミリー・ローズ』のスコット・デリクソン監督による『NY心霊捜査官』は、ニューヨーク市警の巡査部長で霊能力者でもあるラルフ・サーキの手記「エクソシスト・コップ NY心霊事件ファイル」を原作としている。何かに取りつかれたような半狂乱の人物による事件が続出し、担当となったサーキ刑事(エリック・バナ)は、独自の霊能力で事件を解決しようとするが…。いずれも実話が基になっていると言われなければ、信じ難いような出来事だ。

『NY心霊捜査官』

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