近年のホラー映画史において、もっとも独自の存在感を放ってきたA24。革新的な製作陣と共に、恐怖の新たな表現を切り開いてきたその軌跡を辿りながら、これから公開される注目ホラー作品をご紹介します!(文・相馬学/デジタル編集・スクリーン編集部)

ヘンだからこそ面白い!A24はジャンルを押し広げた開拓者

A24の製作、または配給のホラー映画を観て、いつも最初に思うのは“ヘンな映画だなあ”ということ。しかし、ヘンだからこそ面白いと思えるほどの強度が、そこにはある。ホラー映画を観慣れた方なら、“どこかで観た展開”を当てはめて先読みすることがあるだろう。

しかし、A24の作品では、それは困難だ。『ヘレディタリー/継承』(18)を観て、あの結末を予想できた人はいただろうか?そういう意味では、A24はホラーというジャンルの可能性を押し広げた開拓者といえるかもしれない。

A24は配給業務を開始した頃から、ヘンな映画を買い付けては世に広めてきた。『アンダー・ザ・スキン/種の捕食』(13)でスカーレット・ヨハンソンふんする主人公がエイリアンであることは観ていて想像がつくが、詳細は説明しないダークな詩的ホラー。

後に『関心領域』(23)を撮るジョナサン・グレイザー監督の圧倒的な画力も光った。A24のベストホラーに挙げる人も少なくない『ウィッチ』(15)はアニャ・テイラー=ジョイの出世作としても有名だ。17世紀のアメリカで、敬虔な一家の間で魔女と思われた長女の運命を描いたドラマも、どう着地するのかまったくわからないまま緊張感を増していく。

15年から製作にも力を入れ多彩なホラーを次々に発表

‘15年からA24は製作にも力を入れるが、最初のホラー『イット・カムズ・アットナイト』(17)もジャンル映画の枠を超えた力作だ。未知のパンデミックが広がる中、ある家族を救った男が、共同生活の中で狂気を目覚めさせていく。

心理ホラーとして見応え十分で、人間の究極の選択についても考えさせられる。極めつけは、『ヘレディタリー/継承』に続いてアリ・アスターが監督を務めた『ミッドサマー』(19)。北欧の宗教コミュニティを訪れた米国の大学生たちが、想像を絶する奇祭に取り込まれていく。祭のクィーンとなるヒロインの表情をとらえたラストシーンはハッピーorバッドエンド、どちら? 観る人によって解釈が異なるのもA24ホラーの特色だ。

以後もA24はホラーの快作を連打。『X エックス』(22)は、『悪魔のいけにえ』(74)を思わせるスプラッター映画。A24の作品にしては珍しい正統派のホラーと思いきや、前日談の『Pearl パール』(22)、続編『MaXXXine マキシーン』(24)を観ると、見方が違ってくる。

そういう意味では堂々たる変化球ホラーだ。また、ヒュー・グラントの怪演が記憶に新しい『異端者の家』(24)は、布教のためにとある屋敷を訪れたモルモン教の若いシスターふたりが一見理知的で人当りは良いが、とんでもないサイコパスである家主に監禁されるというお話。禅問答のようなセリフの応酬も面白く、バイオレントなだけではない何かを確かに感じさせる。

ホラーの常識を塗り替える次なる衝撃作が続々と公開!

ざっとA24製作・配給の代表的なホラーを挙げたが、他にも見逃せない作品は多い。ネオナチ一派に狙われたパンクバンドのサバイバル劇『グリーンルーム』(15)や、灯台守の仕事に就いた二人の男の極限状態を描く『ライトハウス』(19)、羊と人間の半獣半人を育てる農家の夫婦の数奇なドラマ『LAMB/ラム』(21)、男権社会を風刺するかのような『MEN 同じ顔の男たち』(22)、ゲームのように繰り広げられる若者たちの臨死体験を描いた『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(22)などタイトルを挙げればキリがない。

今後日本公開される作品を見ても、ユニコーンが現実世界に出現して人間を抹殺する『Death of a Unicorn(原題)』や、カルト教祖となったロックスターの暴走劇『OPUS(原題)』などなど、あらすじを聞いただけで観ないことには収まりがつかないホラーがズラリ。

製作中の作品も同様で、精神科医の次元を超えた冒険を描くキウェテル・イジョフォー主演の『The Backrooms(原題)や、『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガード監督が、軍基地から逃げ出した未知の脅威を描く『Onslaught(原題)』が待機中。A24のホラーは、今後も観客を未知の領域へと連れていってくれるに違いない。

あなたは一体何本観た? A24が描く恐怖映画年表

2013『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』〇
2014『Mr.タスク』〇
   『エクス・マキナ』〇
2015『ウィッチ』〇
   『グリーンルーム』〇
   『フェブラリィ 悪霊館』〇
   『ザ・モンスター』〇
2017『イット・カムズ・アット・ナイト』〇★
   『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』〇
2018『ヘレディタリー/継承』〇★
   『ホール・イン・ザ・グラウンド』〇
   『ファブリック』〇
2019『ミッドサマー』〇★
   『ライトハウス』〇★
   『セイント・モード/狂信』〇
2021『フォルス・ポジティブ』★
   『LAMB/ラム』〇
2022『X エックス』〇★
   『MEN 同じ顔の男たち』〇
   『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』〇★
   『Pearl パール』〇★
   『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』〇
2023『ボーはおそれている』〇★
2024『MaXXXine マキシーン』〇★
   『異端者の家』〇★
2025『OPUS(原題)』〇★
   『Death of a Unicorn (原題)』〇★
   『BRING HER BACK(原題)』〇 

〇…配給 ★…製作

画像: 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

画像1: まだ誰も知らない“恐怖”を常に更新!A24が切り開いた“ホラーの新境地”

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Blu-ray:5,280円 (税込)
発売元:ファインフィルムズ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
© Seventh Kingdom Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014

画像: 『ウィッチ』

『ウィッチ』

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『ウィッチ』発売中

DVD:4,290円(税込)
発売元:インターフィルム
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©2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

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Blu-ray:5,280円(税込)
発売・販売元:ギャガ
© 2017 A24 Distribution,LLC

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『ヘレディタリー/継承』発売中

Blu-ray:5,170円 (税込)
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:TCエンタテインメント
©2018 Hereditary Film Productions,LLC

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発売・販売元:TCエンタテインメント
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