本日10月10日より、海外ドラマ『奥のほそ道 -ある日本軍捕虜の記憶-』(原題:The Narrow Road to the Deep North)全5話の独占見放題配信をU-NEXTにて開始!ブッカー賞受賞原作を豪華国際チームで映像化した、太平洋戦争を背景に人間の尊厳と愛を描いた重厚なヒューマンドラマだ。本作に日本人キャストとして国際チームに参加した笠松将が、ナカムラ少佐という難役と真摯に向き合い、現場での葛藤や撮影秘話を語った。
画像: 海外ドラマ『奥のほそ道 -ある日本軍捕虜の記憶-』でナカムラ少佐を演じた笠松将が撮影秘話を語る

――本作は国際的なプロジェクトですが、参加することになった経緯や、出演が決まった時のお気持ちについて聞かせていただけますでしょうか?

ちょうどこの作品に入る数ヶ月前に、今作のプロデューサーから連絡をいただきました。その時はまだ台本がなかったので、日本語訳された原作を読ませてもらい、とても興味深いものだなと思いました。そこから監督とオーディションのようなことをすることになったので、もちろん緊張感はありました。ただ、オーディションに受かる受からないということよりも、作品をやると決まってからの方が「自分が現場で何ができるんだろう」というところの緊張感があったように思います。

――脚本を読まれたり、作品の世界に触れていく中で、作品自体のストーリーや印象はどのように感じられましたか?

この作品は、どうしても太平洋戦争だったり、戦争というキーワードが一番前に来ると思うんです。もちろんそうなんですが、そういう状況の中での人間のあり方と、その後に傷を負った人たちの人生があるというところが良い部分だなと思っています。

ジャスティン・カーゼル監督がすごくリアリティを追求している方で、1枚の画で今の状況だったり、登場人物たちの心模様みたいなものを表現するのがとても上手ですごいなと感じました。アートとしてもとてもレベルの高いものになり、さらには人間ドラマ、青春なんじゃないかと僕は個人的には思っています。

――歴史的な観点から、ナカムラ少佐という役に臨むにあたって葛藤や覚悟が必要だったのではないかと想像します。この人物に対してどのように取り組まれ、掘り下げられましたか?

一番は、この時代の中でどういう価値観が当たり前で普通だったのか、というものを大切にしました。もう一つは、ナカムラという人物が何を大切にしたくて、どういう風に生きていきたい人なのかというものを監督や現場のいろんな方とお話をして、細かいところまでお互い納得した上でお芝居をしました。

僕が演じたナカムラ少佐だけじゃなく、いろんな登場人物たちのいろんな感情が複雑に混ざり合っていて、善悪ではなかなか判断しがたい。その感情の割合みたいなものを整理してそのシーンに臨むということを現場ではとても大切にしていましたね。

画像: ――歴史的な観点から、ナカムラ少佐という役に臨むにあたって葛藤や覚悟が必要だったのではないかと想像します。この人物に対してどのように取り組まれ、掘り下げられましたか?

――主人公ドリゴとの関係性は、敵対しながらも絆を深めていく緊張感のあるものだったと思います。ジェイコブ・エローディさんとはディスカッションをされましたか?また、関係性を描く上で現場でされていたことや、印象的なシーンがあれば教えてください。

まず、ドリゴとナカムラがやらなきゃいけないことはお互い同じなんです。「これを達成しないとここから生きて出られない」という中で、もちろん国籍や立場が違う。それによって待遇だったり、与えられる物が違うわけですけど。

現場でどうだったかというと、オーストラリアの俳優たちはみんな食事制限をしっかりやっていたので、一緒に食事をする機会もなかったですし、連絡を取り合うことももちろんない。現場で話をするのも、こういう監督のやり方に疑問を持っている数人の俳優たちが挨拶を返してくれるぐらいでした。それが監督の追い求めるリアリティだったんです。僕のやり方とは違いますが、ただ監督が求めるものはそれ、という中で、撮影とはいえすごく難しい毎日でした。

そういう環境だったからこそ、作品も引き締まっているし、僕もオーストラリアの俳優たちにすごく圧倒されました。そういう意味で、どんなディスカッションをしましたかと言われると、シーンについての話し合いは基本的にはできてないんです。ただ、彼らの現場での振る舞いや、「お前も日本から来て大変だよな」って一瞬目が合うとか、そういうのだけで僕はすごく救われた瞬間があったし、そういう日々でしたね。

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