CHECK POINT
英国を代表する2大俳優が“初共演”!
初共演で夫婦役を演じることになったコールマン&カンバーバッチ。スクリーンの外では長年の友人だったという2人は初共演を楽しんだようで、コールマンは「お互いを憎み合うのは本当に楽しかった」と回顧。脚本のマクナマラも演技を見て「本当の夫婦のようだと驚いた」と相性を絶賛。
色とりどりの機知に富んだ“口撃”!
冒頭のカウンセリング・シーン、お互いの“好きなところ”を問われたアイビーとテオは「オオカミと暮らすよりマシ」「笑い方が病気の犬の断末魔みたい」と褒める気ゼロの回答を連発!コールマン&カンバーバッチが魅せる、英国流の機知と皮肉が詰まった“口撃”の数々がお見事。
美しい“家”にも秘密がある?
物語後半に登場する、テオが建築を進めるローズ家の邸宅はプロダクション・デザイナーのマーク・リッカーらが制作したもの。スカンジナビア風の美しいデザインだが、実は寝室の窓が傾いていたりと、夫婦関係の不安定さを示す要素がこっそり散りばめられている。背景にも要注目だ。
CHARACTER
アイビー・ローズ

アイビー・ローズ(オリヴィア・コールマン)
アイビー・ローズ(オリヴィア・コールマン):シェフ。子育てに専念していたが、10年ごしに夢だったレストランを開業。事業を伸ばすことに夢中になっていく。
テオ・ローズ

テオ・ローズ(ベネディクト・カンバーバッチ)
テオ・ローズ(ベネディクト・カンバーバッチ):売れっ子建築家だったが、トラブルで職を失い、専業主夫に。子育てに生きがいを見出し、独自のメソッドを実践。
アイビーとテオの子ども ロイ&ハッティー

(右)ロイ(ウェルズ・ラパポート)(左)ハッティー(ハラ・フィンリー)
ロイ(ウェルズ・ラパポート)&ハッティー(ハラ・フィンリー):教育の主導権がアイビーからテオに移り、教育方針の違いに振り回されるも立派に成長していく双子。
“カニカニ・クラブ”の従業員 ジェーン&ジェフリー

(右)ジェーン(スニータ・マニ)(左)ジェフリー(チュティ・ガトゥ)
ジェーン(スニータ・マニ):副料理長。オープン当初から店を支える。
ジェフリー(チュティ・ガトゥ):ヘッドウェイター。アイビーの相談相手。
友人夫妻 バリー&エイミー

(右)バリー(アンディ・サムバーグ)(左)エイミー(ケイト・マッキノン)
バリー(アンディ・サムバーグ):テオの友人で不動産専門の弁護士。
エイミー(ケイト・マッキノン):自由主義者。オープンマリッジを宣言。
アイビーの弁護士 エレノア

エレノア(アリソン・ジャネイ)
エレノア(アリソン・ジャネイ):係争相手には超辛辣な、やり手の弁護士。
単独インタビュー ジェイ・ローチ(『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』監督)

ジェイ・ローチ
Photo by Shane Anthony Sinclair/Getty Images
(ベネディクトとオリヴィアは)それぞれがユニークな個性の持ち主ですね
お互いのコミカルな部分を引き出しあっていました
ベネディクト・カンバーバッチとオリヴィア・コールマンが夫婦を演じ、激しいバトルを繰り広げる痛快なコメディ『ローズ家〜崖っぷちの夫婦〜』。ふたりの英国俳優から新鮮なコメディ演技を引き出しているのがジェイ・ローチ監督である。これまで『オースティン・パワーズ』(97)や『ミート・ザ・ペアレンツ』(00)のようなコメディから『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(15)、『スキャンダル』(19)など問題意識のある作品まで手がけた熟練監督が、人なつっこい口調で新作の魅力を語ってくれた。
──この企画を持ち込まれた時、カンバーバッチとコールマンの出演は決まっていたようですが、作品のどこにひかれましたか?
「今回の脚本は『哀れなるものたち』(23)のトニー・マクナマラなんですが、私はもともと彼のファンでした。すこしダークな要素も入れつつ、人間のうまくいかない部分をユーモアもまじえて描ける素晴らしい脚本家です。しかも、主演はオリヴィアとベネディクト。断るなんてありえない話に思えました」
──ふたりの英国俳優はいかがでしたか?
「それぞれがユニークな個性の持ち主ですね。オリヴィアはとても寛大で親しみやすい。いたずら好きで、元気いっぱいです。彼女はエゴが強く出た設定ですが、そんな役も変に考えすぎず、軽々と演じられる。しかも、リアリティも出せる。本当にファニーな人でした。ベネディクトは自分のことをファニーと思っていないはずですが、オリヴィアと一緒にいると独特の雰囲気が生まれる。お互いのコミカルな部分を引き出しあっていました。彼はすごくオープンで、私とは役について前向きに話し合えました」

──ダニー・デヴィート監督の『ローズ家の戦争』(89)がベースになっていますね。
「彼は私の『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』(02)にも出ていて、友人でもあります。事前に今回の映画化の話をして『前作とは、まるで違うものになるだろう』と伝えてありました」
──前作は離婚の話題が後半の中心テーマですが、今回はお互いのキャリアをめぐる葛藤もありますね。夫は建築家で、妻はシェフと“作ること”が仕事です。
「でも、結局、夫は仕事を失って家庭を守り、妻の方は途中からただのシェフでいることに飽き足らず、レストラン帝国を作ろうとする。だんだん彼女のエゴがふくらみ、家族が犠牲になっていく。これは現代の家庭にもありそうな設定で、最後はとんでもない方向にシフトしていくわけです」
──彼が作る邸宅にはHALという名前のAIも設置されていましたが、キューブリックの映画を意識しましたか?
「確かに彼の『2001年宇宙の旅』(68)へのオマージュです。HALは実は危険なキャラクターでもあるので、今回の夫婦にとって脅威となる設定も盛り込みました」
──夫婦はアメリカに住む英国人という設定。アメリカ人のあなたにとって英国のユーモアはどう映りますか? 『オースティン・パワーズ』はボンド映画の風刺でしたね。
「若い頃から英国のコメディにすごく親しみを感じていました。大学時代にオタクっぽい友人たちがいて、みんなでモンティ・パイソン関連の映画を見ていたんです。英国のユーモアはダークで、少しとがった印象があります。『オースティン・パワーズ』ではマイク・マイヤーズがカナダ人としては最高に英国的なセンスを発揮しました。彼は英国好きなのに、その文化をからかう面も持っていて、そんな彼に私も刺激を受けました。私自身は英国男優のマイケル・ケインも大好きです」
──新作のふたりだけではなく、ロバート・デ・ニーロ、ニコール・キッドマンなど、大物俳優も起用していますが、映画でいい演技を引きだす秘訣とは?
「そうですね。まずは素晴らしい俳優をキャスティングすることが大事です。それで99%の仕事は終わったも同じ。こちらは必死に働く必要がないんです(笑)。私は俳優たちを大事にしています。彼らはこちらを信頼しているので、思いっきり役に飛び込む彼らをしっかり受け止めたいと考えています」
ジェイ・ローチ プロフィール
1957年6月14日、米ニューメキシコ州生まれ。監督作の一つ『ミート・ザ・ペアレンツ2』(04)は世界興収5億ドルを超える大ヒット。「オースティン・パワーズ」シリーズなどのコメディから、『スキャンダル』(19)など社会派作まで手掛けている。
『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』
全国公開中
アメリカ=イギリス/2025/1時間45分/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ジェイ・ローチ
出演:オリヴィア・コールマン、ベネディクト・カンバーバッチ、アンディ・サムバーグ、ケイト・マッキノン
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