エラ「最終話のルーシーは、打ちのめされ、傷ついています」

エラ:パーネルが演じるルーシー
エラが演じるルーシーは、シーズン2の冒頭から、十字架に磔に割れたり、身体的にもハードなシーンが多い。しかし、シーズン2でもっとも大変だったのは、感情的なドラマだったという。
エラ「もっとも難しかったのは、シーズン2最終話の演技です。その時点で、ルーシーは本当にたくさんのことを経験して、打ちのめされ、傷ついています。彼女は大きな決断を迫られて、肉体的にも、精神的にも、追い詰められるんです。とくに感情的に。シーズン2は、とてもたくさんの出来事が起きる、クレイジーなシーズンなんです」
一方、父親役のカイルは、シーズン1のラストでまるでロボットのようなパワーアーマーを着るシーンが大変だったそう。
カイル「私にとってチャレンジングな経験でした。着用してすぐは、素晴らしくて、ワンダフルな着心地です。自分がパワフルになったように感じます。でも少し経つと、すごく重くなってきて、あと何分でこのスーツを脱げるのか、としか考えられなくなるんですよ(笑)」

カイル・マクラクランが演じるハンク
エラが演じるルーシーは、無法者だらけの世界の中でただ一人、「善」を信じてそれを実行しようとする人物。善人だが、愚かな人物には見えてはいけない難役だ。
エラ「演じる時には、観客にとってルーシーがどう見えるのか、観客がルーシーを好きになってくれるだろうか、ということは考えません。ただ、ルーシーをリアルに、そこに存在するように演じたいと思うだけです。ルーシーがどんな人物なのかは、脚本に書かれていますから。
ルーシーは知識人です、それはシーズン1の第1話から子供達に歴史を教えているし、読書家なことからもそれがわかります。ただ、彼女は地上の世界についての知識がないんです。だからイノセントでナイーブに見える。彼女は賢くない選択をすることもあるし、間違いもしますが、それは彼女が完璧な人間ではないからです。私はそんな彼女が成長していく過程を演じるのを、楽しんでいます」
ハンクはルーシーの優しい父親で、みんなに信頼される地下施設Vaultの管理者だが、シーズン1のラストで、彼には別の側面があることが分かる。その複雑な人物像を演じるのは難しかったのではないだろうか。
カイル「ところが、実は、最初からハンクのすべてを知っていたわけではないんです。最初に知っていたのは、レイダースに連れ去られるまでのハンクだけ。彼の決断はすべて、仲間を守り、彼の管理人としての使命を果たすことのために行われる、そのように演じました。その後、彼には別の側面があることがわかっていきますが、私も最初は知らなかったんですよ」
ハンクがスクリーンに登場しない間も、ハンクとルーシーの絆は続いている
ルーシーとハンクの関係は、このドラマの中の大きな要素の一つだ。2人はこの関係をこう考えている。
エラ「2人は離れた場所にいて、それぞれ別のストーリーが進んでいきますが、常にお互いに関係しあっていると思います。ルーシーが父親を探す目的は、シーズン1とシーズン2では変わります。
シーズン2で彼女は父を探すのは裁きを受けさせるためだと言いますが、心の中には、父への愛と憎しみの両方があって、父が本当はどんな人物なのか答を探すのが、彼女の本当の目的です。なぜなら彼は、彼女に正しさとは何かを教えてくれた人だから。だから彼女は彼を理解したいんです」
カイル「僕が演じるハンクはシーズン1の最初の方で誘拐されて、スクリーンには登場しなくなりますが、脚本家たちの仕事が素晴らしくて、ルーシーがハンクを探し続けることを通して、ハンクはずっとドラマの中に存在していると思います。
ハンクがルーシーと再会するまでは、かなり長い時間が経っていて、シーズン1の最後にルーシーが目の前に現れた時には、ハンクはすごく驚きます。彼は、ルーシーが地上に出て生き延びたこと、自分を見つけてくれたこと、行方不明の父親を探しだすという偉業を達成したことで、彼女をすごく誇りに思います。
でも同時に、彼女が自分を見る目がこれまでとは違っているのを見て、恥ずかしいと感じるんです。自分の子供から、恐ろしいものを見るような目で見られることは、最悪なことです。そして、それまで隠してきた自分の罪が、すべて表に出てきたように感じるんです」

エラ・パーネル、カイル・マクラクラン
ところで、カイル・マクラクランといえば、デヴィッド・リンチ監督の人気ドラマ「ツイン・ピークス」のクーパー捜査官役でもお馴染み。本作のシーズン2のハンクがひたすら熱心に実験をする姿は、本人は真面目なのに側から見るとどこかユーモラスで、その雰囲気がクーパー捜査官と似ているように感じられる。
カイル「なるほど、そういうところは似ているかもしれないですね、僕自身は意識したことがなかったです。2人とも探究者なのは共通ですが、まるで違うと思ってました。ハンクは科学に基づいて研究するし、クーパー捜査官は犯人を見つけるために、ガラスビンに石を投げつけますからね(笑)。でも、言われてみれば、2人ともちょっとユーモラスなところは共通してますね」
「ツイン・ピークス」のファンは、本作のハンクのクーパー捜査官っぽさにも注目だ。そして、エラの発言によれば、シーズン2には、かなりドラマチックな展開が待っていそうだ。エラは、シーズン1のラストで冷酷な賞金稼ぎグールと一緒に旅することになるが、シーズン2では、2人がお互いに影響を与え合うと言う。
エラ「2人は影響を与え合います。でもその結果は、きっとみんなが予想しているようなものとは違うと思います。2人はシーズン2で、希望を追い求めるんです。そして、自分をつき動かしているものは何なのか、何のために生き延びようとするのか。
そしてルーシーは、思っていた以上にダークな方向に進むことになります。自分が自分である存在意義を失ってしまったら? それまで守ってきた黄金律(自分が他人からしてほしいと思うことを他人にもする、という普遍的な倫理原則)を破ってしまったら、それからどうやって生きるのか? シーズン2は、アイデンティティ、希望、善悪についての物語になっていると思います」
このエラの言葉は何を意味しているのか。シーズン2には、かなり衝撃的な出来事が待っていそうだ。
「フォールアウト」シーズン2
Prime Video にて独占配信中
©Amazon MGM Studios

