2025年の最終コーナーでハリウッドを震撼させた2つの出来事が、ここ日本でも話題となりました。一つはハリウッドを代表する大手スタジオのワーナー・ブラザースをNetflixが買収するという電撃ニュース。もう一つは名監督ロブ・ライナー夫妻が自宅で息子に殺害されるというスキャンダル。この2大ニュースを現地情報を交えレポートします。(文・ LA在住 荻原順子/デジタル編集・スクリーン編集部)
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1)業界で注目を集める老舗ワーナー・ブラザースの買収劇

画像: ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収をNetflixが提案

ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収をNetflixが提案

競合他社を押しのけて
Netflixが歴史あるワーナーを獲得へ

国際的にビジネスを展開する配信会社、Netflixによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収が、アメリカのエンターテイメント業界で注目を集めている。

ワーナー・ブラザースは、1923年、その名が示すごとくワーナー家の4人の兄弟たちによって創立され、サイレント時代に映画製作を開始。『カサブランカ』や『欲望という名の電車』、『マイ・フェア・レディ』など数々の名作を製作していったが、1989年に出版業のタイム社と合併し、タイム・ワーナーという複合メディア会社になる。2018年、今度は大手通信会社のAT&Tに買収され、社名をワーナー・メディアと改称するが、2022年にはファクチュアル番組の製作会社ディスカバリーと合併。社名もワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下WBD)と再び改称された。

2025年9月、アマゾンやディズニー、Netflixとの競争力強化を狙ったパラマウント・スカイダンスが、WBD買収の交渉を開始。何度か条件を改善して交渉するもWBDに断られ続け、買収は実現せずに終わったが、これをきっかけにWBD売却の可能性の示唆が広まり、Netflixとメディア複合企業のコムキャストが買収交渉に名乗りを挙げた。パラマウント・スカイダンスは、その後、他社よりも条件の良い敵対的買収をオファーするが、WBDの取締役会はこれを拒否。クリスマスを翌週に控えた12月17日、メディアは、WBDがNetflixによる買収の手続きを進めていることを報じた。

画像: パラマウントは敵対的買収案をワーナーに示したが

パラマウントは敵対的買収案をワーナーに示したが

Netflixがワーナーを買収することで
映画界に大きな影響が?

NetflixによるWBD買収が業界の注目を集めている理由はいくつかある。まず、映像業界では新参者である配信会社に老舗の大手映画会社が買収されたということ。これまでの映画会社買収では、同業者によるもの(例えばディズニーによる20世紀フォックス買収)か、異業種によるもの(例えばソニーによるコロンビア買収)がほとんどだった。タイム社やAT&Tといった、ワーナー自身の過去の買収も然り。

しかし、ネット公開優先の配信会社は、主に劇場公開作品を製作する映画会社とは競合関係にあり、そのような配信会社による映画会社の買収は、映画界にとって重大な意味を持つ。(NetflixによるWBD買収に先駆けて、2021年に配信ビジネスも手がけるアマゾンがMGMを買収しているが、その買収額が85億ドルだったのに対し、今回のWBDの買収額は827億ドルという、桁違いの規模である。)

配信会社が映画会社を所有することで最も影響を受けることが予想されているのは、映画公開のかたちである。配信を主たるビジネスにしてきたNetflixは、大作や話題作については、先ずは劇場公開して、数週間後に配信開始するパターンでリリースしてきたものの、配信公開のみの作品も多い。WBD買収後すぐにワーナー作品の多くが配信公開になるという事態は起こらないだろうが、追々、劇場公開作品が減っていくようなことでもあれば、コロナ禍で受けた打撃から完全に立ち直っていない劇場興行ビジネスにさらなるダメージを与えかねない。

もう1つ、今後の状況が不透明になっているのは、WBDのTV製作部門である。ワーナーは1955年からTV事業に参入。以来、ネットワーク局やケーブル局の番組を製作してきたが、自社で配信する作品のみを製作してきたNetflixが、WBD買収後、視聴ライバルになり得る他社の番組の製作を続けていくのかは、未知数である。

Netflixは既にエミー賞ノミネート作・受賞作を多く製作してきたが、WBDを傘下に入れることによって、さらにオスカー・レースにも有力候補として参加していくことになる可能性も大である。

画像: ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOデヴィッド・ザスラフ

ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOデヴィッド・ザスラフ

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