本作は、南インドにのみ自生する高級木材・紅木(こうき)をめぐり、アルジュン演じるプシュパが密輸組織の頂点まで成り上がっていく姿が描かれるアクション超大作。「インドは俺のものだ」と豪語し、国境を越えて勢力を伸ばしていくプシュパ。やがて、政治の中枢へもその支配力を広げていくが、かつてプシュパから屈辱を受けた警視シェーカーワト(ファハド・ファーシル)も「宴の始まりだ 」と復讐に燃えていた。警察や政府を巻き込んだ大規模な抗争、壮絶な肉弾戦、豪快なアクション、そして仲間や家族を守るため自分の信念を貫くプシュパの姿が、圧倒的な熱量で描かれていく。
インタビューではそんな本作の舞台裏や日本への親しみについても語ってくれた。
ダンスシーンの撮影に3カ月半!圧巻の規模で撮影が進んだ舞台裏
——本シリーズでは成り上がりの密輸王プシュパを演じていらっしゃいます。今回は続編となりますが、新作で演じたプシュパは前作と比べていかがだったでしょうか?
「本作のプシュパは、よりパワフルで大物感が出ています。彼が直面する挑戦もより大きなものになっていますが、妻になったシュリーヴァッリのことが、前よりも怖いと感じているようですね(笑)」

——今作『プシュパ 君臨』はインド国内のこれまでの興行記録をすべて更新し、インド映画史上最高の興行収入を記録しました。この快挙について、今のお気持ちをお聞かせください。
「最高ですね!とても嬉しいです」
——今回、劇中では日本のシーンも登場します。日本語のセリフもありましたが、日本語の勉強は大変だったのではないでしょうか?
「難しかったですね。日本語はやっぱり難しいな思います。先生が現場でもついてくれて、あとはアフレコをしたんですよね。セリフが6つぐらいで、自分の言語だったら15分で終わるところを、1日かかってしまったんですけれど。そのアフレコの時には、特別な先生と、それから日本に20年ぐらい滞在していたインドの方が、たまたま誰か知ってる方がいて来てくれて、そのアクセントがいいなと思ったので、その方から結構教えてもらったんです。8時間くらい、繰り返し練習していました」
「こんにちは。日本の友よ、元気か」(日本語でちゃめっ気たっぷりに、日本語のセリフを言ってくれました)
——日本のカルチャーで、もともと好きなものやご存知のものはあったのでしょうか?
「たくさんの例えば、黒澤明作品をはじめとする日本映画も知っていましたし、あとはコミックスとか漫画もそうだし、実は子どもが学校で日本語を学んでいて、日本食が一番、僕の家族のお気に入りです。日本の文化が大好きすぎて、飼っている犬に“カゾク(家族)”という日本語の名前をつけたほどです。
ご飯も、ちゃんとお箸でいただけるぐらいなんですよ。なので日本文化は、もともと親しみがすごくあって、刀とかも好きですね」
——今回アクションシーンやダンスシーンなど盛りだくさんでしたが、最も大変だった撮影はなんでしょうか?
「実はプシュパを演じている時は、ずっと肩を上げているんです。“いかり肩”のような感じで。それが2年間続くわけなので、首を痛めることが多かったですね。一瞬たりとも、1シーンたりとも肩が落ちてるシーンはないので、とても大変でした」

——一番印象に残っているシーンは?
「寺院のシーンでしょうか。寺院で撮ったんですけど、そこにセットを作んだから、フェイクといえばフェイクなんですけど、基本的な寺院へリスペクトをきちっとはらうっていうことは大事にしていて、それが記憶にも残っているけど、挑戦でもありました。
その寺院のシーンは、撮影自体は3カ月かかりましたね。メイクを毎日3時間。それで朝6時半ぐらいに行ってメイクして、9時ぐらいから回すみたいな。
サリーを着たりするシーンですが、あのシークエンスは32個以上のジュエリー、アクセサリーをつけていたんです。それがまた重くて、とっても丸くて重いやつを。またヒップにはベルトを着けて、15個のバングルを片腕につけ、指輪を8つ、さらに二の腕用のアクセサリーや肩用のアクセサリーもあって、3つの違うチェーンもあり、イヤリングや鼻のリングもあったし・・・あの濃いメイクもあって大変でした。
その上にワイヤーとかで吊られるためのハーネスも付けなきゃいけない。それで戦わなきゃいけなかったので、足の爪の先から頭まで痛みを感じていましたね(笑)」
——ダンスシーンもものすごい豪華なスケールです。
「前半に登場するプシュパ夫婦でのダンスシーンは、それだけで撮影は3ヶ月半かけています。毎日2000人のエキストラさんが入ってくれているので、2時間ぐらいは皆さんに立ってもらう位置とか決めるまでにかかってしまいますからね、それから撮影という感じです」
——日本とは規模感が全然違いますね。アルジュンさんのスタイルや立ち居振る舞い、そしてダンスはポップカルチャーの一部となっていますが、映画の枠を超えたその影響力について、どのように受け止めていますか?
「感謝の気持ちでいっぱいですね。ただ年齢を重ねるごとにチャレンジングにはなってきています。白髪も出てきたかなー?みたいな時期だしね(笑)。ただ僕自身が、音楽とダンスが大好きなんです。やっぱり自分が一番好きな瞬間だからこそ、みんなに響いているんだと思うし、やっぱり究極的に自分が楽しんでいるから、皆さんも楽しんでくれるんだと思うんです」
——素晴らしいですね。常にチャレンジングするという気持ちで進んでいるんですね。
「でも若い女性とのダンスシーンが、だんだんきつくなってきてるんですよ(笑)。ラシュミカーさんも若いしね」
——ラシュミカー・マンダンナさんも今回一緒に来日されましたが、今回共演されていかがでしたか?
「本当に素晴らしい役者さんでもあり、プロフェッショナルだし、才能にあふれていて、あと雰囲気づくりをすごくしてくださるんですね。僕や、スクマール監督が居心地がいいように、すごくやりやすい雰囲気っていうのを作ってくださって、それって実は役者にとってすごく重要なやるべきことだと思うので」

来日時のふたり
——スクリーンにもそのいい関係が映っていると思います。
「ありがとう。ラシュミカーさんのおかげだよ」
——では最後に、これからご覧になる日本の方々へメッセージをお願いします。
「(日本語で)こんにちは!日本の友よ、ありがとうございます」
「やっぱり日本でこのインド映画が公開されるっていうのは、僕らにとっては大きなことなんですよね。日本の方に受け入れていただくということが、だからもう公開されることがまずうれしいし、キャリアの当初、まさか外国で作品が上映されるとか、日本の方に観ていただけるなんて夢にも想像にもしなかったです、20年前は。でも20年たった今、僕らは自分たちの作品を他の国で見ていただいて、いろいろ刻んできているわけですよね。インドの文化をやっぱりグローバルに伝えていきたいなと思っています。だから映画っていうもの以上に、やっぱりインドの文化を世界の方々に見ていただいて、何かつながってもらうようなきっかけになればっていう気持ちが大きいです。ありがとうございます」

『プシュパ 君臨』
新宿ピカデリー他にて公開中
配給:ギークピクチュアズ・松竹
©Mythri Movie Makers 2024
※PG12指定作品

