伝説の韓国のカルト作『地球を守れ!』を、奇才ヨルゴス・ランティモスはいかにして現代に蘇らせたのか。この野心作に挑んだのは、監督のミューズであり本作でアカデミー賞主演女優賞候補のエマ・ストーンと、実力派ジェシー・プレモンス。『憐れみの3章』に続き集結したこの最強トリオが、ジョークも交えながら互いへのリスペクトを語ります。
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第98回アカデミー賞4部門ノミネート

作品賞、主演女優賞(エマ・ストーン)、脚色賞、作曲賞

ヨルゴス・ランティモス
脚本を読んで『これを撮りたい』と純粋にワクワクしました

エマ・ストーン
ヨルゴス監督との仕事は大変ではないけれどちょっと面倒(笑)

ジェシー・プレモンス
キャストもスタッフも限界の少し先まで手を伸ばそうとしていました

──『ブゴニア』は2003年の韓国映画『地球を守れ!』が元になっています。なぜ今、この映画を作ろうと思ったのでしょうか?

ヨルゴス・ランティモス「じつはこの話はアリ・アスターとラース・クヌードセン(本作のプロデューサー)から始まったんです。彼らが脚本を送ってくるまで、私は『地球を守れ!』を見たことがありませんでした。私にとっては順序が逆だったわけです。この物語を再び取り上げることに関心を持っていたのは、彼らの方でした。そして私はウィル・トレイシーの脚本を読み、それが素晴らしく、好奇心をそそられ、刺激的で面白く、かつ複雑なものだと感じました。その後でオリジナルの映画を観て、これが異なるバージョン、つまり現代版を作るに値する作品であることを確認しました。脚本を読んで『これを撮りたい』と純粋にワクワクした、それがすべての始まりですね」

── 脚本や物語のどんな部分に惹かれたのですか?

ヨルゴス・ランティモス「とても読みやすく、エンターテインメント性があって、物語がどう展開していくのか、その先を知りたくてたまらなくなりました。脚本だけでも素晴らしい映画になると直感しました。その後改めて、描かれているテーマやシチュエーションがいかに多層的で複雑か、そして私たちが生きている今の世界と深いつながりを感じさせる点に気づきました。そういった要素すべてが、私をすごくワクワクさせてくれたんです。だから読み終えてすぐにエマに送って、『これどう思う?』って聞いたんです。私は彼女の意見や直感を信頼しています。エマはすぐに関心を示し、チーム全体でこれに取り組む決断を後押ししてくれました」

── エマ・ストーンさんは監督とはこれが5度目のタッグとなりますが、監督との仕事で一番大変なことは何ですか? またどんなところに楽しさを感じますか?

エマ・ストーン「ヨルゴスと仕事をする上で一番大変なこと? 時間はどれくらいあります?(笑)今では彼のことを知りすぎているので、何も大変だとは思いません。ただちょっと面倒なだけ(笑)。彼との仕事で一番好きなところは、たとえシーンを撮るときに彼自身がまだ正解が見えていなかったとしても、とにかく細部までこだわっているという点です。彼は独自のビジョンと作品への深い愛着を持っていて、その直感は非常に鋭い。だから、何かを手応えなく演じているような感覚には決してなりません。それはただ、すごく心地いいんです。少なくとも私にとっては、信頼を感じられるし、その中で自由でいられます。そういう環境にいると安心できるからです。でも彼が“ライン・リーディング(監督が役者に手本を見せること)”をしてくるときはちょっと面倒(笑)」

── ジェシー・プレモンスさんはこのお二人との仕事についてどのように感じましたか?

ジェシー・プレモンス「二人との仕事でいちばん刺激的で他とは違う点、それは脚本だけ見ると独特で抽象的な世界の話なのに、いざ映画になるとすごく“人間味”を感じるところです。僕らの現場では、『このシーンの意味はこうで…』といった理屈っぽい分析はまったくと言っていいほどしません。監督はいつものスタッフと何度も組んでいるので、現場には家族のような馴染み深さがあります。でも、そこで共有されているのは言葉ではなく、“感覚”なんです。これは映画を観るお客さんも同じだと思います。彼の作品は、観る側が自分自身を投影して、自分なりに解釈することを求めてくるでしょう? ヨルゴスは自分の正解を押し付けたりしません。役者を外に放り出して、あえて迷子にさせて、そこから何かを持ち帰らせてくれるんです。もちろん、うまくいかないときもありますけどね。だからこそ、キャストもスタッフも全員が、普段の自分の限界のほんの少し先まで手を伸ばそうとする。…言ってること、伝わりますか? つまり、全員が同じ目線に立って、常に新しい発見を探し続けている、そんな現場なんです」

── 人気絶頂のカリスマ経営者を演じるのはどんな体験でしたか? 実際に髪を剃り上げたことも話題になりました。

エマ・ストーン「ネタバレにならない範囲で言うと、明らかに彼女には非常に多くの『層(レイヤー)』があって、そのバランスを演じ切るのは本当に面白いだろうなと思いました。物語全体についても、さっきヨルゴスが言っていたのと同じで、私も脚本を一気に読みました。展開の仕方が魅力的で、驚きがあって、今の時代に通じるものがあり、多くの点で予言的だと感じました。丸坊主になると決めたときは、ヨルゴスにこう言いました。『私との連帯の表現として、あなたも丸刈りにするのよ』と。だから彼がまず丸刈りにして、そのあと彼の手で私の頭を剃ってもらったんです。その後は、2〜3日おきに刈り直さないといけなかったけれど、撮影日の準備時間がかなり短縮できて助かりました」

『ブゴニア』

『哀れなるものたち』の奇才ヨルゴス・ランティモス監督が、『ミッドサマー』のアリ・アスターと『パラサイト 半地下の家族』の製作陣と組んだ誘拐サスペンス。2003年の韓国のカルト映画『地球を守れ!』を現代的なエンタメ作として新たに映画化した。

人気絶頂の女性経営者が、陰謀論者二人組に誘拐される事件が発生。彼女を“宇宙人”だと信じ込む二人組は、今すぐ地球から手を引くよう要求する。女性経営者ミシェル役に、監督と五度目のタッグとなるエマ・ストーン。誘拐犯テディ役には『シビル・ウォー アメリカ最後の日』のジェシー・プレモンス。

『ブゴニア』
公開中
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、エイダン・デルビス
配給:ギャガ ユニバーサル映画

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