Photo by Mat Hayward/The Hollywood Reporter via Getty Images
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第98回アカデミー賞8部門9ノミネート
作品賞、主演女優賞(レナーテ・レインスヴェ)、助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)、助演女優賞(エル・ファニング、インガ・イブスドッテル・リッレオース)、監督賞・脚本賞・編集賞・国際長編映画賞
ヨアキム・トリアー
私は“親密さの映画”を撮りたいんです
レナーテ・レインスヴェ
『わたしは最悪。』とはまったく違った体験でした
エル・ファニング
もし脚本を読む前でも「監督と仕事がしたい」と即答していました
ステラン・スカルスガルド
どう映像化されるのか、光景がありありと浮かびました
インガ・イブスドッテル・リッレオース
レナーテとは物事へのアプローチがとても似ています
── 監督は『わたしは最悪。』の成功を経て、再びレナーテ・レインスヴェさんに役を書き下ろすことを決めたそうですね。“姉妹”というテーマが出発点になったそうですが、どのようにして本作は生まれたのでしょうか。
ヨアキム・トリアー「同じ家庭で育っても、兄弟姉妹がまったく異なる個性を持つという事実に、いつも驚かされるんです。この作品はまず姉妹の物語として始まりましたが、やがて親子、そして家族全体の物語へと広がっていきました。家族のなかで、自分はなぜ父に似ていて母には似ていないのか、そんな問いを私たちは抱きます。本作では、父グスタヴが、自覚のないまま子どもたちに何を“受け渡して”きたのかを見つめ直すことになります。それこそが映画の核です」
── レナーテ・レインスヴェさんにとって監督との再タッグはいかがでしたか?
レナーテ・レインスヴェ「前作とはまったく違った体験でした。遊び心は同じでしたが、テーマが全く違い、感情的な重みが増しています。『わたしは最悪。』では、セットで音楽を流し、合間には踊り回り、あの夏の輝きと雰囲気を保とうとしました。でも今回は扱うテーマがずっと繊細だから、方向性を変えざるを得ませんでした。それでも、変わらず深いコラボレーションができたという点では同じでしたね」
── 主人公ノーラとその妹のアグネスの繊細な絆はどのように作り上げたのですか?
インガ・イブスドッテル・リッレオース「私たちは物事へのアプローチがとても似ているんです。だからレナーテと仕事をするのはとても楽でした。彼女は感受性が高くて、あらゆることに繊細で素晴らしい反応を見せてくれるんです。だから“じゃあ、次はこうやってみようかな?”と試せるのがすごく楽しかったです。常に“生きて”いて、すべてが自然に流れるんです」
レナーテ・レインスヴェ「インガも同じなんです。やりやすいですし、本当に息が合ってお互いの役柄にも深く共感できました。お互いに仕事を尊重しあう姿勢が自然と育まれ、気づけば周囲から“もう姉妹みたいだね”と言われる関係になって、私たちは逆に“あ、確かに”って(笑)」
── この姉妹の関係性やコントラストを通して監督が描きたかったものは何ですか?
ヨアキム・トリアー「私は“親密さの映画”を撮りたいんです。人の顔にカメラを寄せて、人間の体験を誠実に描く。ノーラが象徴する混沌と、アグネスが体現する静けさ。この二人の対照的なキャラクターが、それぞれの人間らしさを物語ってくれるのです」
── ステラン・スカルスガルドさんが監督と仕事をしたいと思った理由は何ですか?
ステラン・スカルスガルド「監督と実際に会って、私は彼が『君に(この映画を)やってほしい』と言ってくれるのを、ただひたすら待っていました。本作の脚本を読んだとき、冒頭は“家”についての長い描写から始まっていました。それが本当に美しく書かれていて……というのも、実に映画的な描写だったからです。 どう映像化されるのか、その光景が目の前にありありと浮かびました。だから、彼と仕事がしたくてたまらなかったんです」
── 監督と仕事をしたかったという思いはエル・ファニングさんも同じでしょうか。
エル・ファニング「ええ、私もです。『わたしは最悪。』は、これまで観た映画の中でも最も好きな作品の一つなんです。本当に美しく作られていますよね。 だから、まさか彼から電話がかかってくるなんて夢にも思っていませんでした。マイク・ミルズ監督がヨアキムの友人なんですが、私はマイクと『20センチュリー・ウーマン』でご一緒しました。そのマイクがヨアキムに『エルに会ってみたらどう?』と勧めてくれたみたいで。それで彼と面会することができたんです。マイクのおかげですね。もし脚本を読む前であっても『監督と仕事がしたいです』と即答していました」
── エルさんはご自身と同じ映画スターの役を演じていますが、キャラクターについてどう解釈されましたか?
エル・ファニング「もしヨアキム以外の誰かが脚本や演出を手がけていたら、このキャラクターはハリウッド女優のありがちなタイプか、もっと高慢な人物になっていたかもしれません。でも私は、彼女に優しさと好奇心があるところ、そして彼女が分別ある大人として振る舞い、状況を悟ったときに『身を引く』という非常に勇敢な決断を下せるところが大好きなんです。そうした要素が、彼女をより複雑なキャラクターにしてくれています。そこが素敵ですよね」
── 本作の父娘には衝突がありますが、父と娘の双方が、自分たちがいかに似た者同士なのかということに気づいていく物語なのではないかと感じました。
ステラン・スカルスガルド「ええ、まさにその通りです。ただ残念なことに、ふたりがしっかりと向き合うシーンは、そう多くはないんです。正直なところ、彼女(レナーテ)とはもっとじっくり芝居をしたかった。でも、ある一つのシーンで、父と娘は邂逅します。セリフもない、ほんの数秒の出来事です。ただ一緒にタバコをふかしているだけ。けれど、そのときの二人の眼差しは、2000の言葉を尽くすよりも、はるかに多くのことを語っているんです」
『センチメンタル・バリュー』
『わたしは最悪。』で世界的に高い評価を受けたヨアキム・トリアー監督最新作。オスロで俳優として活躍する娘と長らく音信不通だった映画監督の父、あまりに不器用な父娘の愛憎を描く。第78回カンヌ国際映画祭で映画祭最長となる19分間のスタンディングオベーションで会場を沸かせ、グランプリを受賞した。
主演は『わたしは最悪。』のレナーテ・レインスヴェが再び務め、映画監督の父親役に名優ステラン・スカルスガルド。さらに、本作の演技で脚光を浴びるインガ・イブスドッテル・リッレオースに加え、ハリウッドからエル・ファニングも参加。
『センチメンタル・バリュー』
公開中
監督:ヨアキム・トリアー
出演:レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング
配給:NOROSHI ギャガ
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