どんな世代でも、もう一度輝ける可能性がある!
──椎名桔平さん、中本悠太さん、青柳翔さん、小沢仁志さん。スペシャルズのメンバーのバランスはいかがでしたか。
この5人の“凸凹感”をとにかく強く打ち出したい、というのは最初からありました。「この組み合わせ、ちょっとイメージできないよね」というくらいのほうが面白いと思っていたんです。結果的に、それはうまくいったと感じています。
例えば、小沢さんと佐久間さん、小沢さんと悠太さんの並びは、なかなか想像しづらいですよね。桔平さんも同じで、僕は桔平さんのデビュー当時から作品を観ていますが、キレのある怖い役をたくさん演じてこられた。若い世代から見ても、「怖い人」というイメージがあると思います。
一方で、佐久間さんや悠太さんには、どこか柔らかく優しい印象がある。その極端なギャップが、並んだときにものすごく面白いんです。そのコントラストこそがこのチームの魅力で、キャスティングは本当にうまくいったと思っています。
──キャスティングとキャラクターの造形は同時進行かと思いますが、裏設定や背景などはありますか。
小説版(3月13日発売予定)にはかなり詳しく書いたのですが、彼らはそれぞれ異なるバックグラウンドを持っています。ただ、共通しているのは、“殺し屋業界の経済が崩れている”という状況の中で生きている、ということです。需要よりも供給が増え、いわば値崩れが起きている。そんな時代を生きる殺し屋たち、という設定なんです。
その中で、桔平さん演じる熊城のようにヤクザ的な組織に属してきた人物もいれば、悠太さん演じる桐生のような一匹狼の殺し屋もいる。そうした立場の異なる人間たちが融合していく世界観を描きたかった。
桐生のバックグラウンドについては、実はもっと描いている部分がありました。母親との関係をめぐるエピソードなど、実際に撮影もしています。母との物語は、彼のキャラクターを形づくるうえで大きな要素で、強く印象に残っている部分のひとつですね。

──ベテラン勢の踊りの上手さに驚きました。
正直、最初は「踊れ」と強くも言えなかったんです。冗談半分で、「もしダメだったら吹き替えもあるから大丈夫」とか言っていましたけど、それは半分“詐欺”みたいなものですよね(笑)。
でもキャスティングが決まり、本格的に動き出したら、もうやるしかない。結果的に、皆さん本当にものすごく練習していました。こちらが言うまでもなく、自主的に取り組んでいた印象です。1か月という限られた期間でしたが、舞台袖でも、予選の日も決勝の日も、ずっと練習している。映画の中で描かれている姿そのままでした。だからこそ面白いし、リアリティがあるんです。
ダンスが抜群にうまいのは、やはり佐久間さんと中本さんです。でも他のメンバーも必死に食らいついていて、全体で見たときには違和感のない“チームのダンス”になっていた。あれは本当に努力の賜物です。
撮影の1週間前くらいまでは、「正直ちょっと危ないかもしれない」と思った瞬間もありました。でも、最終的にはきちんと仕上げてくる。あの集中力と追い込み方はすごいですね。小沢さんの練習風景もぜひお見せしたいくらい、ちょっと感動的なんですよ。僕には絶対にできません。
──ダンスを通じてそれぞれが「居場所」や自己肯定感を見出していく姿が印象的でした。
これは最近、僕自身が強く感じていることでもあるのですが、人間にとって“居場所”はとても重要だと思うんです。人が人であるためには、他者から認識されることが必要ですよね。誰からも認識されなければ、存在していないのと同じになってしまう。
だからこそ、「自分の居場所を探す」ということは、いまや人類全体のテーマなのではないかと感じています。昔――昭和やそれ以前の時代は、居場所の選択肢が少なかった分、逆に見つけやすかった面もあったのかもしれません。いまはネット空間もあれば現実の社会もあり、職業も多様化している。それなのに、「居場所がない」と感じている人が多いのはなぜなのか。
例えば、熊城や村雨のようなヤクザ社会に生きる人たち。現実でも、いまヤクザ社会は大きく変化していて、かつてのように“悪い人が悪い人として存在できる時代”ではなくなってきている。では、そこに生きてきた人たちはどうしているのか。
殺し屋も当然“悪い存在”ですが、彼らにもまた、それぞれの居場所があるはずです。あるいは、失われつつあるのかもしれない。そうした中で、彼らが新たな居場所を見つけていく――あるいは探していく――物語になっている。もしかすると、それがこの映画の大きなテーマだったのかもしれません。少なくとも、自分の中では強く意識していた部分ですね。

──監督の作品には弱者への眼差しを感じることが多いのですが、本作ではいかがでしょうか。
本作は娯楽映画なので、何か強いメッセージを声高に訴えるタイプの作品ではないと思っています。ただ、いま少し元気がない人たちにこそ観てほしい、という思いはあります。
元気をなくしてしまうような環境の中で生きている人が、何か別のものを見出し、再び輝いていく。たとえば村雨のように、栄光の時代が終わり、ただ日々をやり過ごしているだけの存在だった人物が、ある出会いによってもう一度光を取り戻す。
いまの時代、「そんなことは映画の中だけだ」と思われがちかもしれません。でも、そこで諦めてしまったらつまらない。どんな世代でも、もう一度輝ける可能性がある。
自分の映画としては、かなり前向きな作品だと思います。意識してポジティブに振り切って作りました。そうした部分を感じ取ってもらえたら嬉しいですね。
──最後に、これからご覧になる方、ファンの方にメッセージをお願いします。
単なるダンス映画ではありません。オールディーズの楽曲に乗せた、どこか昭和の香りを感じさせる音楽映画としての側面も、ぜひ楽しんでいただきたいですね。
そしてテーマとしては、先ほどお話しした「もう一度輝く」ということ。「自分はもう終わった存在なんだ」と思ってしまうのではなく、どんな年齢でも、どんな立場でも、もう一度輝ける可能性がある。そのことを感じてもらえたら嬉しいです。
アクション映画でありながら、ヒューマンドラマの要素もある。泣いて、笑って、また笑って泣いて、ドタバタして――昔ながらの映画の醍醐味を味わえる作品になっていると思います。難しく考えず、ぜひエンターテインメントとして思いきり楽しんでください。
<PROFILE>
監督:内田英治
ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。「週刊プレイボーイ」記者を経て映画監督に。17年伊藤沙莉主演『獣道』がシッチェス国際映画祭など多くの海外映画祭で評価されたのち、NETFLIX「全裸監督」で監督・脚本を担当。その翌年20年に公開された『ミッドナイトスワン』は第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞 ほか9部門受賞。イタリア・ウディネ映画祭のコンペティション部門では観客が選出するゴールデン・マルベリー賞を受賞し、海外でも注目を集めるきっかけとなった。また本作の原作小説もベストセラーとなり、イタリア、韓国、台湾でも発売された。片山慎三監督とタッグを組んだ異色作『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』はブリュッセル国際ファンタスティック映画祭ホワイト・レイヴン・アワードを受賞。ポルト国際映画祭でも観客賞を受賞。『獣道』と合わせて世界三大ファンタスティック映画祭での上映となる。その後、22年には阿部寛主演『異動辞令は音楽隊!』が公開。翌年23年には北川景子主演 湊かなえ「落日」で原作ドラマに挑戦し、民放連賞テレビドラマ番組優秀賞を受賞した。24年には山田涼介・浜辺美波共演『サイレントラブ』がタイ50館をはじめアジア各国にて公開されるなど国外上映に力を入れ始める。つづく『マッチング』は興収9億円を超える大ヒットを記録。原作小説も10万部を超えるなど、オリジナルストーリーの可能性を広げる。ひとつのジャンルにとらわれず、オリジナルストーリーを用いた幅広い映画作りが特徴である。
『スペシャルズ』3月6日公開
《本予告》映画『スペシャルズ』【2026年3月6日(金)全国公開】/ムビチケ発売中!
youtu.be<STORY>
過去に「ダンス経験がある(⁉)」という理由で集められた、伝説の元殺し屋のダイヤをはじめとするプロの殺し屋たち。裏社会のトップに君臨する組⻑が孫娘の応援のために必ず訪れるダンス⼤会に出演して、暗殺を実⾏するという計画がスタートするが、集められた殺し屋たちはド素人ばかり。仕方なくダンス教室に通い始めるが、ことごとく問題を起こして破門される。そこにダイヤが働く養護施設で暮らすダンス少⼥・明香が救いの手を差し伸べた。最初はいがみ合っていた殺し屋たちも次第にダンスの魅力に目覚め、いつしか<スペシャルな5人>のチームへと。ダンスも成長を遂げ、本気でダンス大会出場への情熱を燃やし、あとは暗殺ミッションに挑むだけであったが…。
<STAFF&CAST>
原案・脚本・監督:内田英治
振付:akane
⾳楽:⼩林洋平
主題歌: Snow Man「オドロウゼ!」(MENT RECORDING)
出演:佐久間⼤介(Snow Man)、椎名桔平、中本悠太(NCT)、⻘柳 翔、⼩沢仁志、羽楽、前⽥亜季、 平川結月/⽮島健⼀、六平直政、⽯橋蓮司
製作幹事:HIAN
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
©2026『スペシャルズ 』フィルムパートナーズ



