“娯楽であること”を強く意識
──主演の佐久間さんが「殺し屋とダンスがどう結びつくんだ」とワクワクしながら脚本を読んだというコメントがありましたが、最初にこのアイデアを思いついたときはどんな作品像を思い描いていましたか。
常にいくつものやりたいアイデアがあって、それはこの映画に限ったことではありません。かつてTVバラエティ番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(1985~1996)でアシスタント・ディレクターを務め、番組内企画の「ダンス甲子園」を担当していた経験もあり、以前から“踊り”をテーマにした作品をやりたいという思いがありました。
それに加えて、昔の香港映画のようなアクションもやってみたかった。とはいえ、どれか一つに絞って作るのはとても大変です。だったらいっそミックスしてしまえば、いろいろな要素を詰め込めて面白くなるし、自分のやりたいことも一気に実現できる。
そうしてさまざまなジャンルを融合させて出来上がったのが、『スペシャルズ』です。

──いわゆる「暗殺」という破壊的な行為と、一方で「ダンス」という創造的な表現。この対比で描きたかったイメージはありますか。
“破壊的”というよりは、アクションの部分でも、少し昔の懐かしい感覚、一人の子どものために大の大人たちが集まり、絆を深めていく姿を描きたかったんです。
そして、そうしてつるんだ彼らが、今度はダンスを通して成長していく。テーマとしては“破壊”よりも“成長”ですね。もちろん暴力シーンはありますが、それはあくまで彼らが絆を深めるための装置のようなもの。敵も、これまで以上に分かりやすく“本当に悪い敵”として描いています。だからこそ、彼らが一丸となる理由がはっきりする。
そう考えると、これは破壊の物語というより、絆の物語なんだと思います。人と人が対立しながらも、その中で関係が深まっていく様子も描いていますし、どちらかといえば、そうした部分の魅力のほうが強い作品かもしれません。
──今回、オリジナル脚本ということですが、監督がこだわった部分を教えてください。
今回は、とにかく“娯楽であること”を強く意識しました。
これまでは、自分なりの物の見方や、世の中や王道とは少し違うと感じている考え方を脚本に取り入れることが多かったんです。でも今回は、むしろその真逆。世の中で広く共有され、多くの人が共感できるものをベースに置こうと考えました。より幅広い世代の人たちに観てもらい、それぞれが素直に共感できる作品にしたい。その点は、これまで以上に強く意識した部分ですね。
──監督の作品は『ミッドナイトスワン』(2020)など、少し大人っぽい、ある種クローズドな印象がありますが、今作は本当に幅広い年代が楽しめそうですね。
いつもフォーカスしてる感じなんですけど、今回解放してる感じですね。

