60年代にデビューを果たし、フレンチ・ポップスとファッションの世界で、フランスのみならず世界的アイコンとなったシルヴィ・バルタン。彼女に影響を受け、人生を導かれることになる一人の男と母親。その奇跡の実話を、81歳となって引退を決めたバルタン自身が出演する映画が完成。フランスで150万人以上動員という快挙を果たし輝く、ケン・スコット監督からお話をうかがうことが出来た。(カバー写真撮影:工藤静佳)

誰もの人生にも、希望をもたらす映画を作り続けるケン・スコット監督

『人生、ブラボー』(2011)で、トロント国際映画祭をはじめ、多くの映画祭で観客賞を獲得。観る者を笑いと感動に導いたのが、カナダ出身でフランス映画を作るケン・スコット監督。本作では、またもや笑いと涙を誘い、観る者誰にも、希望と輝きを諦めない人生の歩み方を牽引する作品を完成させた。

画像: 誰もの人生にも、希望をもたらす映画を作り続けるケン・スコット監督

内反足で生まれた男の子、ロラン。医師を始めとする専門家の勧めを退けた母親エステルの行動が、思いもかけない奇跡を親子の人生にもたらす。そこには、あのシルヴィ・バルタンという大スターの存在があったとは。

その50年近くに及ぶ息子と母の人生の歩みを一冊にまとめたのが、本作の主人公で原作者でもある、ロラン・ペレーズだ。シルヴィ・バルタンからの勧めもあり、その事実が明らかになった。
全ては彼の体験で、全てが事実!

本作を観れば、誰もが驚き、賞賛することだろう。彼の母親とシルヴィ・バルタン、そしてスコット監督に拍手を贈り、自分の人生をも諦めてはいけないという希望に抱かれるに違いない。

バルタンが出演していることはもちろん、大ヒット曲「アイドルを探せ」を含む数々の名曲も楽しめ、彼女を知らなかった世代をも惹きつけることは間違いない。

これが実話であることの感動から生まれたフランス映画

――私も今まで沢山の映画を観てきましたが、そして、映画は驚きがないといけないと思っておりましたが、これほど驚かされた映画はそう沢山はありません。一つには、本作に描かれた人生が、すべて本当のことだということに驚きました。もちろん、一人の男と母親の歩んだ長い人生の歩みを、息つく間もなくリズミカルにまとめ上げた監督のお力にも驚きましたが。スコット監督は、原作をお読みになってどんなふうに驚きましたか?

ありがとうございます。私もペレーズさんの原作を読み終えてすぐに、映画にしようとしまして、何よりこの内容を大事にしなくてはと思いました。おっしゃるように、これがすべて事実だからです。そして、脚本も映画も原作どおりに作ることに力を注ぎました。それが観客の心を打つものだと信じて。

画像: これが実話であることの感動から生まれたフランス映画

――そうでしたか。

しかし、50年近くの間に起きた事実を102分に凝縮させることは、決して楽なことではなかったです。

――そこがまた、監督のお力ですね。物語が事実であること、映画に描かれていく歳月の変遷の運びが小気味良くて、観ていると、あっという間に巻き込まれて行き、ダブル・パンチの感動に包まれます。人生、誰にとっても捨てたものではないと、私も励まされてもの凄く元気になりました。

そうですね。ロランさんの母親が周囲の批判を受けながらも、強い意志を持って自分が信じたやり方で、幼い息子の足の障害を乗り越えさせようと奮闘する、その強さと愛に驚かされるのです。

バルタン出演が叶った4つの理由とは

――それにつけても、なんとシルヴィ・バルタンを好きになったことから始まる、とてつもない希望が見えてくる人生だなんて!バルタンと言えば、日本では歌声はもちろん、日本のファッション・メーカーのテレビCFが、毎日のようにお茶の間に流れていたんです。日本語で歌って踊って。私の少女時代はそのいでたちを真似して、バルタンは大流行していました。本作の完成によって、監督のおかげで、彼女が戻って来てくれたという想いで一杯です。古い映像が挿入されているんだろうとばかり思っておりましたら、現在の彼女が本人役で登場するとは!

そうですね。彼女と仕事が出来たということは、私にとっても素晴らしいことです。これもひとえにぺレーズさんが親しい友人であったからこそ、彼女は快く出演して下さったと思います。また、彼女はシンガーとしての実績があつて有名ですが、もとより、女優として映画に出演出来たらいいなという想いがおありだったそうです。また、母と息子の関係性というテーマにも惹かれたとのことでした。

――なるほど。

さらには、今あなたのお話を聞いていてもわかるように、多くの方々がそれぞれに、バルタンとの思い出を持っている。そのように偉大なアーティストから受ける影響は、人生の質を変えてしまうほどの力があるというテーマですから、それも出演したいという理由の一つになったと思います。

シルヴィ・バルタンは、映画ロングラン・ヒットへの大きな影響力に

――素晴らしいです。バルタンは今年引退表明をされましたが、監督はそれを意識してのタイミングで本作を作られたんですか?

というよりも、私はカナダ人ですが、彼女の引退は、フランスにとっては歴史的出来事なんですね。ちょうど、本作が公開される前後あたりで、さよなら公演のツアーもあって、メディアもとりあげることが多くて、映画にとっても良い影響が生まれ、そういうタイミングとなったことは事実ですね。
シルヴィ・バルタンの影響力の大きさを、改めて感じました。

画像: シルヴィ・バルタンは、映画ロングラン・ヒットへの大きな影響力に

――それにつけても、本作でのバルタンの登場の分量が絶妙だと感じましたが。

そうですね。彼女がテレビやステージで歌う姿や声、、そして本人として登場する場面のバランスには、かなり注力しました。

主人公の究極の母親を演じた女優力も圧倒的

――そして、さらに驚いたことは、本作の主人公としての母親役を演じたレイラ・ベクティの演技力です。彼女の前作となる『マリア・モンテッソーリ 創造のメソッド』(2023)では、私はこの作品のレア・トドロフ監督のインタビューを記事にしまして、この映画の紹介をいたしました。この時のベクティの役柄はフランスで名を馳せた高級娼婦で、やはり障害を持つ子供の母親であり、モンテッソーリに彼女のメソッド確立のためのヒントを与えるという存在でした。しかし、演技は極めて抑え気味でした。今回のように才能を出し尽くすという様な演技力を引き出すために、スコット監督はどのような動きをなさったのでしょうか。

それはやはり、今回の彼女の演じるべきキャラクターが、きわめて映画的であったからだったことが大きいでしょう。

感情的な言動や行動の人物で、そこにユーモアも醸し出さねばならない。彼女の持つパッションもカリスマ性も表現しなくてはならない。そのうえ母親でありながらも、欠点も多く完璧とは言えない究極の母親でもある。

こんなキャラクターは、女優であったら、やりがいのある女性像でしょう。
能力全開で取り組んでくれました。

画像: 主人公の究極の母親を演じた女優力も圧倒的

――監督からの指導は無しで?

それはもちろん、私もいろいろと指示を出し演出もしています。でも、何より彼女がいかに情熱的に、この役に取り組んでくれたかの成果ですよ。メイクにしても65歳、75歳、85歳という変化を、彼女が時間をかけて作っていき、息づかい一つにしても、歳を重ねると短くなる様や、背中が丸くなっていく姿など、彼女が研究を重ねた結果の演技なんです。

――すべては、素晴らしい魔法がかかったような作品ですね。そして、完成を観て、シルヴィ・バルタンは何とおっしゃったんでしょうか?

感動的ですと。

――そうでしょうとも。いろいろお聞かせいただき、ありがとうございました。

(インタビューを終えて)

映画そのもののテンポによく似た、ケン・スコット監督の小気味良いインタビューご対応は、幸せを運んで来るような本作にふさわしい時間をもたらして下さった。今年の3月に開催されたフランス映画祭でのプレミア上映とトークのための監督のいでたちがまた、おしゃれで、カナダとフランスのミックスが生み出すエスプリを感じさせた。

シルヴィ・バルタンのファンにとってはもちろんだが、何より彼女の引退前に本作のような珠玉の映画を手がけて下さった、監督の着眼力と完成させた力に大拍手だ。

『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』
2026年5月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本/ケン・スコット
原作/ロラン・ペレーズ
撮影/ギヨーム・シフマン
音楽/ニコラ・エレラ
出演/レイラ・ベクティ、ジョナタン・コエン、ジョセフィーヌ・ジャピ、シルヴィ・バルタン
原題/Ma mère, Dieu et Sylvie Vartan
配給/クロックワークス 
特別協力/ユニフランス
2024年/フランス・カナダ/フランス語/102分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳/原田 りえ/PG12
© 2024 GAUMONT – EGÉRIE PRODUCTIONS – 9492-2663 QUÉBEC INC. (FILIALE DE CHRISTAL FILMS PRODUCTIONS INC.) – AMAZON MGM STUDIOS
公式HP/https://klockworx.com/mamakami_movie 
公式X/@ mamakami_movie

画像: 5月15日(金)公開 『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』|本予告 youtu.be

5月15日(金)公開 『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』|本予告

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