いよいよ劇場最新作『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が公開される「スター・ウォーズ」シリーズ。その原点にある“革命”はいかにして生まれ、やがていかに受け継がれ、広がっていったのか。伝説の誕生と、その軌跡を改めて辿ります。(文・神武団四郎/デジタル編集・スクリーン編集部)
Photo by Twentieth Century Fox Pictures/Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images

本記事はSCREEN7月号(5月21日発売)の記事をWEB用に再構成したものです。

PART1
“革命”の名は「スター・ウォーズ」

画像1: 『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』ディズニープラスにて見放題独占配信中 ©2026 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』ディズニープラスにて見放題独占配信中
©2026 Lucasfilm Ltd.

正統派を復活させた勧善懲悪の“物語”

映画、ドラマシリーズと多様化しながら広がり続ける「スター・ウォーズ」。メディアの枠を超え広がり続ける銀河は、約50年前に公開された『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』から始まった。

1977年5月25日『新たなる希望』が公開。当時の興行記録を次々と塗り替えて、社会現象を巻き起こした。当時アメリカ映画界では、既存のハリウッドシステムに反抗するムーブメント“アメリカン・ニュー・シネマ”を機に、スタジオに属さない若手監督が台頭。その中からフランシス・F・コッポラやマーティン・スコセッシら次代を担う監督が登場し、第一線で活躍していた。彼らはハリウッド映画を志向しつつも、暗い現実を反映したリアルでシニカルな作風が持ち味だった。そこに登場したのが勧善懲悪を描いた『新たなる希望』だった。

ルーカスが作り上げたのは、かつて世界中の人々を熱狂させた純真なエンタテインメント。しかも『フラッシュ・ゴードン』などスペースオペラや『捜索者』など西部劇、『633爆撃隊』など戦争映画、『海賊ブラッド』など海賊映画、黒澤明の『隠し砦の三悪人』など時代劇……と、あらゆるジャンルのハイブリッドだ。それを遠い昔、はるか彼方の物語として再構成するという、遊び心も持っていた。ルーカスは比較神話学者ジョーゼフ・キャンベルの著書「千の顔をもつ英雄」で提唱した、旅立ちから試練、真実の獲得を経て帰還する「英雄の旅」を脚本に活かし、神話的ヒーローの物語を構築。アンチヒーローがスクリーンを席巻していた当時、正統派の復活に世界中が喝采を贈った。

画期的なSFXで宇宙SFを変えた“映像”

『新たなる希望』の魅力は、なんといっても宇宙船のバトルなど迫真のSFXにある。『空軍大戦略』や『トコリの橋』など戦争映画の空中戦や爆撃シーンを参考にルーカスが組み立てたのは、広大な宇宙で繰り広げるスリル満点のドッグファイト。そのスピード感や重量感、爆発すると上や下ではなく正面に向かって飛び散る破片や噴煙など、かつてない迫真の映像が次から次に登場する。大小さまざまな宇宙船の個性的なデザインや、使い古され汚れや傷が刻まれたボディの質感を含めリアルな描写は、宇宙SF映画を次の段階に押し上げた。

そんなSFXを生み出したのが、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)だ。本作のためにルーカスが設立した視覚効果スタジオで、メンバーは『2001年宇宙の旅』の視覚効果を担当したダグラス・トランブルのもとで働いたジョン・ダイクストラを中心とする20〜30代の若者たち。スタジオに吊ったミニチュアを動かしながら撮影するのが定番だった当時、ミニチュアを固定しコンピュータ連動のアームでカメラの方を動かしながら撮影するダイクストラフレックス・モーション・コントロール・カメラを設計するなど、従来の手法にとらわれない発想でかつてない宇宙シーンを生み出した。アカデミー視覚効果賞に輝いたILMは、シリーズ化が決まったことで視覚効果会社としての存続が決定。その後も『ジュラシック・パーク』でCGI、『スター・ウォーズ/ファントム・メナス(エピソード1)』でモーションキャプチャ、「マンダロリアン」でバーチャルスタジオを採用するなど技術革新に取り組みながら、驚異の映像を生み続けている。

画像2: 『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』ディズニープラスにて見放題独占配信中 ©2026 Lucasfilm Ltd.

『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』ディズニープラスにて見放題独占配信中
©2026 Lucasfilm Ltd.

“効果音”と“音楽”も本作をより印象的にした

『新たなる希望』のリアルな映像を盛り上げたのが個性的なサウンド・デザインだ。それまでメカ描写がメインのSF映画は電子音を使うなど未来感を強調するのが常套だったが、『新たなる希望』ではオーガニックなイメージを強調。たとえばライトセーバーはハム音(ブーンという電気ノイズ)、ブラスターはピンと張ったワイヤーを叩いた金属音、 TIEファイターの飛行音は象の鳴き声をベースにするなど、リアルの音をベースに音を合成、加工。一度聞いたら忘れられない、印象的な効果音が名シーンを彩った。

賑やかな20世紀FOXのファンファーレに続けて流れるメイン・テーマ。それを聞いただけで胸の高鳴りを覚えるファンは多いだろう。ジョン・ウィリアムズの音楽も本作を象徴する存在だ。当時の映画音楽で主流だったのは、ポップスやロック、ジャズなど現代音楽。しかしウィリアムズはフルオーケストラで、キャラクターやテーマに沿った明瞭な旋律という時代錯誤的なスタイルを持ち込んだ。音楽面でもハリウッド黄金時代の復活で、同じウィリアムズ=ルーカスの「インディ・ジョーンズ」シリーズなど、多くの冒険映画で踏襲された。

ストーリーから映像、音楽まで伝統を踏襲しながら、誰も観たことのない世界を作り出す。「スター・ウォーズ」はまさに革命だったのだ。

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